スーパーファウンダー~データで解き明かすユニコーンの秘密~

スーパーファウンダー~データで解き明かすユニコーンの秘密~

約15か月前、私は個人的な疑問に答える旅に出ました。

10億ドル規模のスタートアップは、創業まもないとき、どのように見えたのだろうか?」

そこには多くの固定観念や先入観があり、何年にもわたって行われたいくつかの記事や研究がありますが、元創業者であり現役のベンチャーキャピタリストである私の疑問に答えてくれるものはありませんでした。これらのスタートアップについての私の主な疑問は、以下のようなものでした。

  • スタートアップを立ち上げたとき、競合他社はどれくらいいたのか?
  • 競合他社の防御力やモート(競争優位性)はどうだったのか?
  • 創業者は同じセクターや業界での職務経験があったか?職務経験は全体で何年あったか?
  • 創業者は以前、従業員としてスタートアップで働いていたのか?創業者として働いていたのか?以前の試みは成功したのか?
  • アクセラレータープログラムに参加していたか?
  • スタートアップを始めてから、最初の小切手を受け取るまでにどれくらいの時間がかかったか?

公開されているデータは企業名や創業者名、バリュエーションなどに限られていますが、私はもっと深く掘り下げて、創業者やビジネスの風景をよりよく理解したいと思っていました。

その結果、Linkedinのプロフィールを調べたり、インタビューを読んだり、ファウンダーにメールを送ったり、crunchbaseやpitchbookからいくつかのデータを収集したりと、かなりの手作業でデータを収集しなければなりませんでした。

それ以来、私は週末の自由時間に300時間以上を費やして、2005年以降に創業され、今日までに一度は評価額が10億ドルを超えた米国のスタートアップ195社すべてのデータを手動で収集し、65の要因を定量化してきました。

ここで注意しなければならないのは、この調査はユニコーン(本来は10億ドル以上の評価を受けたVC出資のインターネット/ソフトウェアのスタートアップと定義されていたが、ほとんどが10億ドルの民間テック系スタートアップを指す)に限定されているのではなく、公募、買収、プライベートでの調達かどうかに関わらず、評価額が10億ドルを超えたスタートアップを含んでおり、ソフトウェア/テック分野に限らず、新しいものを生み出しているスタートアップと考えられるあらゆる業界(バイオテック、製薬、健康、エネルギー、宇宙、ハードウェア、金融など)も含まれているということです。持ち株会社、投資会社、コンサルティング、石油・ガス精製会社などは含まれません。

ディスクレーマー:データは100%正確ではないかもしれません。公開されているデータの不足、歴史的背景の欠如、生存者バイアス、私の判断の誤り、その他様々なバイアスや誤りの原因となる可能性があります。この研究のポイントはトレンドを描くことであり、正確な数字を示すことではありません。

私はDCVC(Data Collective)のVCですが、この作業は自分の時間を使って、自分の仕事を活用して行われました。DCVCの企業や成果について言及しているかもしれませんが、それらを宣伝することを意図したものではありませんし、そこにいる私の同僚が何かを指示したわけでもありません。また、この研究は因果関係の研究ではないので(単純に対照群を作る方法がないため)、これらの企業の状況のレビューとして読むべきであり、何がより高い成功確率につながるのか、創業者や投資家が何をすべきなのかを示唆するものではないことに注意してください。

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私が学んだ50のこと

昨日の「スーパーファウンダー」が今日の10億ドル企業をつくる

シリアルアントレプレナーという言葉が誤用され、あまり意味を持たなくなってきたので、ここでは具体的なものを提案します。

「スーパーファウンダー」 過去に$50M以上のイグジットを少なくとも1度は行っているか、またはその会社が年間で$10M以上の売上があるか。契約書上のバリュエーションは含まない。

以下のチャートのいくつかで、私は「スーパーファウンダー」であることと10億ドルの会社を創業することの間の強い相関関係を示しています。

私は特に共同創業者を個別に見てきました。つまり、創業者CEOは他の共同創業者とは異なる特徴を持っていると思うので、それらを分離しているということです。

1) 共同創業者の数は2人か3人が最も多い

共同創業者が2人か3人いるのが理想的なシナリオのように思えますが、10億ドル規模のスタートアップの20%は単独で創業していることには注意が必要です。

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2)創業者CEOの半数以上が35歳以上である

よくある誤解として、10億ドル規模の企業は大学を中退した人たちが創業するというものがあります。

このリストには確かに大学中退者も含まれていますが、これらの創業者の大部分は創業時には24歳から36歳の間でした。

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3)創業CTO/CSOの年齢分布はさらに幅広い

CxOの定義 私はCxOを、CEOに次ぐ最高レベルの権限や重要性を持つ、No.2の人物と定義しています。多くの場合、特にテックセクターではCTOである。バイオテクノロジー/製薬では、最高科学責任者(CSO)や最高医療責任者(CIO)です。より多くの業務/伝統的なセクターでは、社長またはCOOです。

このグラフとCEOのグラフを比較してみると、No.2の方が年齢分布が広いように見えます。

このグラフには2つのピークがあります。1つ目はテック企業のCTOが多い28~32歳の年齢層、2つ目は製薬/バイオテクノロジー/ヘルス企業のCSO(Chief Scientific Officer)やCMO(Chief Medical Officer)が多い60~64歳の年齢層です。

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4) SaaS/エンタープライズ・ファウンダーは若く、ヘルス/ファーマのファウンダーは年配、コンシューマーのファウンダーはミレニアル世代だけではない

上で説明したように、若いファウンダーはほとんどがエンタープライズSaaSをやっていて、年配のファウンダーはほとんどがヘルスケア/バイオテクノロジー/製薬/エネルギー関連の仕事をしています。

コンシューマーのファウンダーはどの年齢層にもいるようです。(これはミレニアル世代だけが消費者になるという誤解に反しているのかもしれませんが)

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5) 50%は10年以上の実務経験がある

テック系企業では実務経験10年前後、製薬・医療系企業では実務経験28年前後が一般的です。

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6) 直接関連する業界経験は重要ではない:CxOに関してはもっと重要ではない

一般的な考えに反して、ほとんどの創業者は、彼らがディスラプトしている業界で直接関連する仕事の経験がありません。また、CEOとCxOの間には明確な違いがあり、CxOにとって業界での経験はさらに関連性が低いです。

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7)ほぼ60%がリピート起業家

VCとして、私たちが見ているファウンダーのほとんどは、初めて創業する起業家です。しかし、このデータによると、10億ドル規模の企業の中には、リピーターの起業家が立ち上げた企業の割合が非常に高いのです。

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8)そうした起業家は、以前に複数のスタートアップを創業し、率いていた

多くの人が2~3年前にファウンダーをしていて、中には複数のスタートアップを創業して20年以上指揮を執っていた人もいます。彼らの多くは、最初の、あるいは2回目のスタートアップも失敗しています。

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9) リピート起業家の約7割が成功企業を創業していた(彼らを「スーパーファウンダー」と呼ぼう)

「スーパーファウンダー」 過去に$50M以上のイグジットを少なくとも1度は行っているか、またはその会社が年間で$10M以上の売上があるか。契約書上のバリュエーションは含まない。

過去にスタートアップの創業者であったCEOやCxOのうち、70%の人が少なくとも1回以上の創業成功経験を持っていました。

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10) 創業者CEOのなかには、1回以上イグジットに成功した経験がある人もいる

一度だけイグジットに成功しただけでなく、これらの「スーパーファウンダー」の中には、複数回イグジットに成功している人もいます。

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11) 学士号とMBAは創業者CEOの間で最も一般的な学位である

MD、Ph.D.など様々な教育パターンが見られますが、ヘルスケア/ファーマでは明らかに教授、PhD、MDの方が多いです。

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12) CxOの半数が大学院に進学(ほとんどが技術系)

No.2ではMBAよりも博士号や修士号の方が多いです。

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13) 技術系のCEOと非技術系のCEOの数は同じくらい

技術的な創業者 VS 非技術的な創業者は昔から常に議論されてきました。

CEOに関しては同水準の結果となっており、当然、CxOの方がより技術的です。

製薬/バイオテクノロジー企業にとって、技術的であるということは、バイオ/医療分野において十分に科学的であることを意味していることに注意してください。

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そして、これは直感に反するようですが、CEOが非技術者だった場合、No.2も非技術者である可能性が高くなっていました。

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14) 創業者はティア1企業での勤務経験がある

創業者が企業環境で働いたことがある場合、(彼らの大部分は自分のために働いたことしかないが!)彼らは以前にTier1企業で働いていたことがあります。

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15) Google、Oragle、IBMは10億ドル創業者をもっとも輩出している

黄色が創業CEO、紫が創業CxOを表しています。FacebookやCiscoは多くのCTOを輩出し、McKinseyやMicrosoftは多くのCEOを輩出しています。

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16) 他のスタートアップでの職務経験は重要ではない

スタートアップで働くことは、自分で会社を立ち上げる方法を学ぶのに最適な方法であるというのは誤解であり、そうではないようです。

(私は最初の4年間を "スタートアップ "の段階として測定したことに注意してください。たとえばUberで2014年に働いていた人がいたとしても、それは他のスタートアップでの職務経験とはカウントしていません。編集注:Uberは2009年創業)

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17) スタンフォード、ハーバード、マサチューセッツ工科大学、さらにはあまり期待されていない大学も

ハーバードは他より多くのCEOを輩出し、MITは他より多くのCTOを輩出しています。

しかし、ランキングを考えると目立つ大学もある(カッコ内の数字は各大学の2018年QSグローバルランキング)。例としては、インド工科大学(IIT)、ウォータールー大学、ブリガムヤング大学、ダートマス大学などが挙げられます。黄色は創業CEO、紫は創業CxOを示しています。

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18) 半分ジョークですが。Johns、Robs、Davesがたくさん

そして残念ながら、ジェンダーの多様性はあまりありません。私は心から、VC業界により多くの女性がいること、より多くの女性起業家に投資すること、リストの中でより多くの女性が表示されることを願っています。移民であるかどうかを数値化したわけではありませんが、創業者の非常に大きな割合が移民です(姓に基づいた調査)。

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業界/セクター

19) 最も一般的なテーマ:クラウド、データ、モバイル、マーケットプレイス

これからの14年のテーマは、必ずしも過去の14年のテーマとは限りません。

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20) ソフトウェアが世界を飲み込みつつあるが、すべてではない

これらの企業の大部分はソフトウェア(SaaS、Webなどを含む)で、次いで消費財企業(衣料品ブランドなど)、ビジネス製品(3Dプリンターなどの物理的な製品)、ヘルスケア/製薬が続いています。

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21) ソーシャル、電子商取引、ネットワーク、データベース、バイオテクノロジー、自動化が最大のサブセクター

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22) バイオテック企業はすぐに株式を公開し、フィンテック企業やソフトウェア企業は非公開の状態が長く続く

下のグラフは、2005年以降に創業された10億ドル規模の未上場スタートアップ業界を表しています。非常に少数の割合を占めるのが民間のバイオテック企業で、大部分を占めるのが民間のソフトウェアやフィンテック企業です。

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23)がん、ライドシェア、貸し出し、自動運転がバズワードだった

下の表は、これらの企業の説明文の中で主に繰り返されているキーワードを示しています。

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ビジネス

24) 2000年と2008年の崩壊は悪影響を及ぼした - 2017年は例外だった

ドットコム・バブル崩壊以降、毎年のように創業される10億ドル企業の数は徐々に増えていき、2007年をピークにしていましたが、2008年の崩壊(編集注:リーマンショック)で減少しました。2013年から2016年にかけて徐々に減少しているのは、まだ10億ドル企業に成長するまでの時間がなかったためで当然のことではあります。2017年は興味深いことに、通常よりも10億ドル企業が増えていました。(ソフトバンクの影響もありますが、電動バイクやスクーターの影響もあります)

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25) 多くの企業は技術的複雑さをあまり持たず、不釣り合いなほど多くの企業がディープ・テックを行っている

エンジニアリング/科学的なイノベーションと仕事のレベルは様々で、純粋なシステムインテグレーション(付加価値の大部分がビジネスモデルにある)から、これまでになかった新しい技術が主な価値となるハードテック企業まで、あらゆるタイプの企業を見つけることができます。

毎年創業されるディープテック企業の全体的な数(それほど多くはないが)をベースにすると、10億ドル規模の企業が不釣り合いに多いのがディープテックです。

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26) B2BとB2Cの企業数はほぼ同数であり、両方手がけている企業はほとんどない

B2BとB2Cは同時にやろうと思わないこと。

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27)あなたがお金を集めることができるのなら、多額の設備投資が必要な会社でも良い!

10億ドル規模のスタートアップのうち、(すべてのスタートアップと比較して)不釣り合いな割合で、プロダクトをスケールさせるために多額の投資を必要とする企業が多いです。これは、こうした企業は資本集約度が低いという信念に反しています。

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28) 2008-9年がエンタープライズのピーク、2011-12年がコンシューマーのピーク

B2BとB2Cの企業数は全体的に同程度で、2008-9年にスタートしたエンタープライズの10億ドル企業の数が多く、2011-12年にスタートしたコンシューマーの10億ドル企業の数が多くなっている。

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29) 50%以上が創業時から複数の既存企業と競合していた

複数の大規模な既存企業と競合することは良いことのように思えます。それは、市場機会が大きく、大規模な既存企業が市場を教育してきたことの表れですから。

しかしスタートアップは、既存企業の非効率性やレガシーシステムを持たない利点を利用して、市場に勝つことができます。また、分断された空っぽの市場はディスラプトを起こすのに適しています。

最悪のケースは、他のスタートアップがやっていること、具体的には最近多額の資金を調達したところをコピーすることです。

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30) エンジニアリングとネットワーク効果が最も防御力が高い

スタートアップの中には複数の防御力を持つ企業もあり、エンジニアリングだけで防御力が生まれるとは限らないことに注意が必要です。(製薬会社では研究開発活動がエンジニアリングといえます)

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31) プロダクトこそが重要! ほとんどのスタートアップは、競合他社と非常に差別化されたコアプロダクトを提供していた

ほとんどの企業は既存企業と競合はしていましたが、プロダクトはすでに出ているものとの差別化が非常に高いレベルで行われていました。

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32) 創業時にはすでに市場は大きかった

彼らはすでに非常に規模が大きく、高い需要があることが証明されている市場を狙っていました。大半のケースでは需要を生み出したわけではなく、市場が成熟するのを待つこともなかったようです。

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33) 65%以上のケースでは、新市場の創出ではなく、他の企業からシェアを奪うことを目的としていた

大抵の場合「間接的に」です。(例:Airbnbがホテルからシェアを得るなど)

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34)タイミングの秘密を解くのは難しい! 最先発でもいいし、早めでもいいし、または最後発でもいい

まだ残っている最も難しい問題は、タイミングです。

タイミングは企業が失敗する主な理由の1つであるようですが、市場に参入するのは最初でも最後でも勝つことができます。(後発によってディスラプトされる先駆者や、既存のリーダー企業によって潰されている後発企業といったスタンダードな考えとの比較)

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35)あなたはペインキラーである必要があるが、ビタミン剤でもいい

60%以上の企業が、明確に定義されたペインポイントを取り除いています。約3割はシンプルに物事を良くしています。(つまり、それらがなくても生活/仕事はできるが、生活/仕事を大幅に改善している)

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36) 時間を節約する、お金を節約する、または物事をより簡単にする

圧倒的にパフォーマンスの高いカテゴリーは生産性(Productivity)です。

私は生産性を、企業や人がより早く目標を達成すること、つまり時間を節約することに価値を発揮するプロダクトやサービスのカテゴリーと定義しています。

しかし、ほとんどの場合、時間を節約することは間接的にお金を節約することを意味し、企業のビジネスにおいては、時間を節約することがお金を節約することにつながるという明確な投資収益率(ROI)を示す必要があります。

第2のカテゴリは、直接お金を節約している、すなわち、あなたのソリューションが直接競合他社よりも安いということです。

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37) カリフォルニア州がもっとも多く、ニューヨークとマサチューセッツがそれに続く

しかし、フロリダ州、テキサス州、ワシントン州、ユタ州などの州にも、それぞれ数十億ドル規模の企業が存在しています。

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資金調達

38) これらの企業のほぼ90%はアクセラレータプログラムを経ていない。残りの10%ではYCombinatorが1位

ほとんどのアクセラレータプログラムがスタートしたのはここ10年のことで、最近まではソフトウェア/技術系のスタートアップに採択が限定されていたことは注意しておきたいところです。

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39) 90%以上がVC出資

残りの企業は、ブートストラップ(持続可能な収益で運営)で初期の数年間はVC資金を調達しなかったか、裕福な創業者の自己資金で運営されています。

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40) テック企業はほとんどが$250M以下、製薬/ヘルス企業は$400M以下を調達

10億ドルに達し、そこに留まった企業は非常に多いです。

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41) 2009 年と 2012 年のシードラウンドが、10億ドル規模の企業を最も多く輩出した

異常な数のユニコーンが生まれた2017年がそれに続いています。(主に電動スクーターや自転車の会社が原因)

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42) バリュエーションはべき乗則(パワーローカーブ)に従う。50%以上が$1B〜$2Bの間

下のグラフは未上場の10億ドル企業のみを示しています。

しかし、Uber、Workday、Airbnb、Square、Twitter、WhatsApp、WeWork、Stripe、Snap、Juul、Pinterest、Kite Pharma、Lyft、Juno Therapeutics、StemCentrxは、過去14年間に作られた企業の中で最も価値のある企業です。

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43) ティア1のVCは最高のディールを獲得し、最高のリターンを得る

VCというのは指数関数ゲームなので、ブランドのあるVCは最高のディールを獲得し、最高のリターンを得ることができます。最初のラウンドの投資家がブランドのある投資家であるかどうかはとても重要です。

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44) 元創業者は最高のエンジェル投資家になる

Elad Gil (Mixer Labs, Color Genomics)、David Sacks (PayPal, Yammer)、Biz Stone (Twitter)、Peter Thiel (PayPal)、Alexis Ohanian (Reddit)、Marc Benioff (Salesforce)、Matt Ocko (Da Vinci)、Kevin Hartz (Eventbrite)、その他多くの創業者もエンジェル投資家として成功しており、複数の10億ドル規模の企業に投資している。これらの人たちの中にはVC(あるいは後にVCになった)の人もいますが、以下のグラフは個人的に投資したエンジェル/シードラウンドの投資先のみを示していますのでご注意ください。

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45) アーリーステージ投資は難しい

最高のVCファームでさえ、過去14年間でこれらの10億ドル企業のうち最初のラウンドから入れた投資先は10社もありません。

以下のチャートについて注意すべき点をいくつか挙げます。

  • これらのチャートは、公開されているプロフィールが必ずしも実態を反映しているとは限らないため、エラーが発生しやすい
  • このグラフはVCがシードまたはシリーズAで投資した企業のみをカウントしている。以下のVCの多くはもっと10億ドル規模の企業に投資しているが、それはレイターステージでのことである
  • 最も重要なことは、10億ドル規模の企業への投資が多いからといって、ファンドへのリターンという意味でVCの成功率が高いとは限らないということである。一部のVCには、少数の所有権しか持たないかわりにより多く投資するかもしれず、それ故に10億ドル企業への投資のチャンスはより高い
  • 情報が公開されていないので下の表には載っていない、もしくは10億ドル企業への投資社数が3社以下なので載っていない、成功しているVCもある
  • 10億ドル企業も失敗することがある。195社のうち、14社(7%)が最終的に失敗したり、評価額が10億ドル以下になったりしている(以下のチャートからは除外した)

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そして最終的に、投資をリードしているのはVCパートナーです。以下は、所属するVCファームを代表して、これらの企業への投資をリードしているVCパートナーです。

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46) レイターステージファンドは10億ドル規模の企業により多く投資する

すべての投資ラウンド(アーリーステージとレイトステージの両方)を考慮すると、より大きな資金を持ち、より後のステージで投資できる(したがって、イグジットあたりのリスクとリターンが少ない)VCファームの方が、より多くの10億ドル企業に投資しています。

以下の数字は公開プロフィールが示す通りの数字であり、おそらく誤差が含まれていることに注意してください。

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47) 彼らはすぐに資金調達し、そのペースを緩めなかった

ほとんどがシードラウンドを創業から半年以内に、シリーズAラウンドを創業から18ヶ月以内に調達しています。

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そしてこうした企業は多くの場合、最初のラウンドから12ヶ月以内に2回目のラウンドを調達していました(通常は18ヶ月がよくあります)。

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48) 彼らは最初のラウンドから大規模だった

$2Mのエンジェルラウンド、$5Mのシードラウンド、そして$15MのシリーズAラウンド?

特にここ14年間のことであることを考えると、これは普通よりも大きな数字です。

多くの資金を素早く調達できた理由は、「スーパーファウンダー」と彼らのコアバッカー(編集注:最初から彼らに投資したい投資家たちの意)による資金調達力の高さにあります。これは、市場が創業者の質の高さを認めたことを示しています。

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49) テックユニコーンは非常に速く、場合によってはわずか2年でユニコーンになった

1年足らずでユニコーンになった会社もあれば、10年以上かけてユニコーンになった会社もあります。

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50) シードラウンドは50万ドル以下から、数百万ドルのラウンドへと成長している

最初の投資ラウンドの規模がここ数年で明らかに大きくなっています。下のグラフは対数で表示しています。

$10M以上のシードラウンドが目立ちますが、これはほとんどのスタートアップでは極めて稀なことです。これらの10億ドル規模の企業の創業者の多くが「スーパーファウンダー」であったため、非常に大きなラウンドを調達することができました。

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結論

勉強したことや上のチャートからの学びは多かったですが、特に以下が私にとってもっとも強いシグナルです。

①昨日の「スーパーファウンダー」(過去のイグジットが$50M以上か、または$10M以上の売上)は、今日の10億ドル企業を作る。

②創業者にとっては、全体的な仕事の経験が重要であり、直接関連する業界での経験はそれほど重要ではない。

③これらのスタートアップは、すでに巨大化した市場で勝負しており、大多数は新たな需要を生み出してはいない。

④競争は良いこと、少なくとも絶滅のリスクではない。 これらのスタートアップの過半数は、創業時に複数の大規模な既存企業と競合していた。

⑤プロダクトの差別化こそが非常に重要である。これらの企業は、既存のプロダクトと比較して、自社の主力プロダクトの差別化が非常に高水準にあった。

この記事は、私がスタートアップの成功をよりよく理解するために追求している長期的なプロジェクトの第一弾です。まだ100のチャートをすべて公開したわけではありません。今後のプロジェクトについては、このmediumLinkedInTwitterをフォローしてお待ちいただきたく思います。

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。

この記事をフルアップデートした本「Super Founders: What Data Reveals About Billion-Dollar Startups 」が2021年5月18日に発売されます。(洋書限定)

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