連続起業家のジャスティン・カンから学ぶ10の教訓

 
シリアルアントレプレナー - 投資家は彼らに投資したいと考え、新米起業家は彼らから学びたいと考え、人々は彼らのチームで働きたいと考えます。たしかに連続起業家であることは大きなアドバンテージがありますが、同様に困難もつきものです!また、新しいプロダクトの立ち上げのような大変な経験をすると、多くの面で「やり直したい」と思うことがよくあります。もちろん、次の挑戦ではそれらを修正しようとしますが。シリアルアントレプレナーは、2回目、3回目、4回目の挑戦で何を改善したいと考えているのでしょうか?
 
それでは、多くの会社を立ち上げてきたジャスティン・カンに聞いてみましょう。彼には10の視点があります。ご存知の方も多いと思いますが、ジャスティンは、Kiko Software(Googleカレンダーより4年前のWeb 2.0カレンダー)、Justin.tv(ライフキャスティングプラットフォーム)、Twitch.tv(eスポーツ、音楽、その他クリエイターのためのライブストリーミングプラットフォームで、現在はAmazon傘下)、そしてSocialcamを共同創業した連続起業家です。また、YCのパートナーを務めた経験もあり、もうすぐパパにもなります!(おめでとう、ジャスティン!)
 
彼が新しく始めた会社のAtriumは、Andreessen Horowitzでの私の最初の投資先の1つです。Atriumは、テクノロジーを駆使してスタートアップ企業向けにサービスを提供する法律事務所です。詳細はこちらをご覧ください。
 
※訳注:Atriumは2020年3月にクローズしました。その経験からジャスティン・カンが得た教訓をまとめたnoteがあるので、気になる方はこちらを参照してください。
 
ジャスティンは自分の旅を振り返り、その過程で学んだ10の教訓(ボーナスも1つ)を語っています。
 
動画はこちらです。
 
 
興味深い内容だったので、いくつかのポイントを簡単にまとめて皆さんにお伝えしたいと思います。
 

選択のパラドックス:フォーカスの選択

 
ジャスティン
ある程度の成功を収めれば・・・世界は広がります。ぜひともVCになってほしいとか、一緒にプロジェクトをやってほしいとか、あるいは好きな会社を設立できます。これは素晴らしいことです......しかし、それは選択のパラドックスであり、フォーカスが大事になります。
 
 
これは連続起業家におけるもっとも意外な点で、いとも簡単に様々な方向に引っ張られてしまうのです。また、目に見える機会損失が大きいがゆえに、何かを前に進めるための忍耐力が以前ほどはないかもしれません。ジャスティンは最終的に、Yコンのパートナーも含めて様々な選択肢を試しましたが、学びや成長を感じられず、フィードバックサイクルが遅すぎたように感じました。ジャスティンは結局、新しく起業することを選びましたが、それは自己成長のための第一の手段だからです。
 

B2B企業とB2C企業のトレードオフ

 
ジャスティン
Kikoを始めたとき、私たちには何のスキルもありませんでした。フルタイムの仕事をしたこともありませんでした......私たちは優秀ではありませんでした。長い時間をかけること、血の汗と血の涙を流すこと以外にできることがないときは、マーケットリスクに集中すべきです。能力やスキルのある人になったなら、エグゼキューションリスクを重視すべきです。
 
私は、純粋に消費者向けスタートアップと消費者向けエンタープライズの交差点によく時間を費やしますが、そこには大きな違いがあることに気づきました。最大の違いの1つとして挙げられるのは、B2Bスタートアップの場合は、営業、マーケティング、そして自分が理解しているバイヤーに販売するという、比較的安定したGo-to-Marketの動きがあります。このため、ほとんどの場合、エグゼキューションできるかどうか、市場規模が十分に大きいかどうかが問題となります。一方でB2Cスタートアップは、ディストリビューションチャネルが常に変化しているのが魅力的です。15年前は、SEOとメールによるバイラルな成長が大きな話題でした。15年前は、SEOとメールによるバイラル・グロースが主流でしたが、10年前は、モバイルとFacebookのプラットフォームが主流でした。15年前は、SEOやEメールによるバイラルグロースが大きな話題でした。10年前は、モバイルやFacebookプラットフォームが大きな話題でした。そして現在は、口コミやIRLチャネルに関連するものが多いです。
 

マーケットリスクとエグゼキューションリスク

 
ジャスティン
Justin.tvがTwitchにピボットしたとき、誰もそこに市場があるとは思っていませんでした。エメット(訳注:共同創業者のEmmett Shear)でさえ懐疑的でした。良かった点としては、競争が少なかったことです。
 
(ヒットするスタートアップを)発見するには失うものがない多くの人々が必要となります。
 
消費者向けプロダクトのランダム性については私も記事にしてきましたが、過去10年間にヒットしたプロダクトは次のようなものでした:知らない人の車に乗れるアプリ、知らない人の家に泊まれるアプリ、消える写真。自分はゲームをプレイできないが、他の人がプレイしているのを見ることができるサイト。本気で言ってますか?これが「馬鹿げたアイデアのパラドックス」なのです。
 

資金調達戦略:大きく行くか、リーンを維持するか?

 
ジャスティン
私は、最初から大金を集めることが正しい戦略だとは思っていません。大量のお金を持つと、大量のお金を使うことになるからです。
 
約10年前、ベン・ホロウィッツは「The Case for the Fat Startup」を執筆しました。これは、会社を軌道に乗せるためには、時には多額の資金を調達する必要があるという考え方です。Atriumはまさにこれに当てはまっています。市場は安定した法的プロバイダーを求めており、明確な競争相手がいる場合のエグゼキューションリスクとして、モデルを証明するためには実際の資本を投入する必要があるからです。
 

スタートアップCEOであることのストレスを管理する

 
ジャスティン
私は、より良いプログラマーになること以外には自己啓発的なことに取り組んだことはありませんでした。もっと賢くなったり、もっと働きやすくしたり、もっと多くの時間を確保するために何かをしたことはありませんでした。すべては偶然の産物です。もし会社で何か問題があっても、私は感情的にそれを避けていたことでしょう。
 
スタートアップコミュニティにおけるメンタルヘルスは大きな話題になっていますが、それには理由があります。スタートアップ企業で働くことは、楽なホワイトカラーの仕事の時代にできる最もストレスの多いことの1つであり、それに対処する方法はあまりありませんでした。ジャスティンは、自己啓発に力を入れるようになったこと、コーチと一緒に仕事をすること、仲間と話すことについて語ってくれました。
 

メンター、コーチ、仲間に助けを求める

 
ジャスティン
シリコンバレーの最も良いところは、先人たちがいて、彼らが進んであなたを助けてくれることです。
 
私は、Twitchの共同創業者であるEmmett、Cruiseの共同創業者である弟、Redditを経営する友人のSteveから学んでいます。問題は実はすべて同じで、チーム内の調整がうまくいっていないことと、適切な経営陣がいないことです。バリエーションはあれど、いつもこの問題なのです。
 
私はインタビューの中で、これこそがベイエリアの最も優れた点の1つであると述べています。ベイエリアは長期的な関係を重視する場所で、人々は何年にもわたってお互いに助け合っています。私がジャスティンと出会ったのは10年以上前ですが、これまで直接仕事をする機会はありませんでした。また、エコシステムのどこにいても一歩先を行く人や、より新鮮な考え方を持った若い新進気鋭の人がたくさんいます。
 

「企業文化が戦略を台無しにする」という落とし穴を避けるために、意図的に企業文化を設計する

 
ジャスティン
「自分が出社したい会社とはどんな会社なのか?」と自問したことはありませんでした。
 
スタートアップとは、最初は機能するプロダクト、すなわち機械を作るものだという言い回しがあります。しかし、最終的には機械を作るための機械を作ることに移行しなければなりません。つまり、プロダクトの構築ではなく、会社の構築ということです。企業文化は、すべてのものをまとめる中核的な接着剤です。スタートアップのアイデアはときに非常に強力なもので、企業文化に関係なく機能することもあります。しかし、企業文化が働いていれば、さらに効果を発揮します。
 

最新のスタートアップで今もやっていること、そして全く違うことをやっていること

 
ジャスティン
高速でイテレーションすること。スピード。コミュニティで役に立つこと。
 
スタートアップでうまくいったことの中には、繰り返す価値のあるものがあります。これは特に、一定の成功を収めたときに言えることです。また、完全に変えてしまいたいこともあります。ジャスティンは、イテレーションを素早く行い、スピードを重視するという「Yコンの気風」について語っています。しかし、a16zや彼の以前の会社がそうしてきたように、コミュニティを助けることが重要だと主張しています。
 

より高い期待に応える

 
ジャスティン
常に肩に乗っている悪魔との戦いです。ヤツらは、お前には大したことはできないと言ってきます。その戦いに勝つためには、何が起きても自分は大丈夫だという考えを持つことです。今より幸せになることも、今より幸せでなくなることもありません。
 
幸福に関する学術研究を読んでいると、興味をそそられる考え方のひとつに、人には自分の幸福度の「設定値」があり、一般的にそれはあまり変わらないというものがあります。それがわかれば、ストレスの多い仕事の浮き沈みを平準化することができます。これはスタートアップに限らず、人生のさまざまな場面で重要なことだと思います!
 

読んだり聞いたりしている本

 
ジャスティン
本はよく読みます。というのも、スマホからブラウザを含むエンタメ系のアプリをすべて削除して、新しいアプリをインストールできないようにロックしたんですよ。私は本当にスマホ中毒でしたから。
 
いくつか教えてもらったリストがこちらです。
 
 

ボーナス:20歳の自分に贈るアドバイス

 
ジャスティン
Facebookをやろう。自己啓発は大事だ。ピザを食べるのはやめよう。物事には時間がかかる。
 
※この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。