ピボットを経て、顧客から愛されるSaaSに辿り着いたバベル杉山 大幹に、ここまでの生々しい話を聞いた
公開日
2022/05/24
著者
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創業のきっかけは?
最初のきっかけは、大学入学後の18歳からEast Venturesでインターンを始めたことですね。
スタートアップ業界について何も知らなかったので、社内でみなさんが何を言っているのかまったく分かりませんでした。Andreessen Horowitzって何、みたいな。分からないことはすぐにググってなんとか乗り切っていましたね。
業務としては、メルカリの郵便物を届けるとか、オフィスのゴミ捨てからスタートして、出資先企業の中で実務経験をさせていただきました。
━━━ 今ならともかく、2013年当時では大学1年からVCインターンはかなり珍しい。高校時代からスタートアップに興味があった?
まったくそんなことないです。
一応大学の新歓にもいくつか参加はしたのですが、大学のサークルは毎日同じことの繰り返しだなと思い、何か違うことがしたいなと。
そこでインターンを始めることにして、ちょうどその頃に読んだのが、1990~2000年頃までの日本のネットベンチャーの隆盛を描いた『ネット起業!あのバカにやらせてみよう』という本です。そこで松山 太河さん(East Ventures創業者)の名前を知り、Facebookで彼の名前を検索するとちょうどインターンを募集していたので応募し、大学1年からEast Venturesで働き始めました。
当時は、メルカリやBASEの社員が10〜20人の頃で、家入さんがBASEで石を売る(BASEの初期仮説検証時に家入氏が石ECと名付けて、石を売っていた)などの事例を見聞きして、サービスを作るのは面白そうだと感じるようになりました。
さらにその頃、高校の友達がEast Venturesの出資先で働き始めまして。「友達もいることだし、事業サイドのことを知りたいのなら働いてくれば」と太河さんからお声がけいただき、その会社に出向しました。

メルカリでこのまま働くか起業するかを考えたのですが、当時ソウゾウの社長を務めていた松本 龍祐さん(現カンカクCEO)から「起業するならプロダクトがなくても投資するよ」とおっしゃっていただき、太河さんと松本さんに創業投資していただき、起業しました。
その後も着実に資金調達されているが、どうやって投資家を選んだ?
ファウンダーフレンドリーかどうか、ですね。
自分自身や、自分の会社を応援してくれる人たちに投資家になってほしいと思っていたので、そういう構成になっていると思います。
あとは条件やタイミングなど色々な兼ね合いがあるので、多めに投資家と話した方がいいと思います。未上場の増資は相対取引なので、10社に断られても11社目で本当にフィットする投資家と出会う可能性があります。創業者の役割の1つは機会の最大化だと思っているので、できる限り会った方がいいと思いますね。
投資家にやってもらってよかったことは?
バベルの株主は「創業者の味方である」というスタンスをとってくれていて、人の紹介やフォローオンでの投資など、要所要所でのお願いを聞いてくださったりするのがありがたいですね。
たとえば、藤田ファンドのはやまりさんにはお手伝い頂いているエンジニアの方を先日紹介していただきましたし、スパークス(未来創生ファンド)の出路さんには国内トップクラスのSaaS企業の取締役の方をご紹介いただき、アドバイスを得ることができました。他にも視座を上げるアドバイスをいただけたりしています。
━━━ 視座を上げるアドバイスとは?
たとえばスパークスの出路さんの場合、上場マーケットを長らく見てきているので、上場企業の水準やレベル感を把握しているんですよね。スタートアップだけを見ているとどこまでやり切ればいいのかがわからなくなるので、俯瞰的なアドバイスをいただけて助かっています。
他には会社運営についてのアドバイスですね。
プロダクトについては「メルカリと比べてサクサク動いてないな」とかわかると思うんですけど、会社運営や経営に関しては、やはりVCの方が社数を見てきているので、上手く運営されている会社との差分を教えていただけるのはありがたいです。
バベル社は、いくつかのピボットを経て ailead にたどり着いているが、ピボットのたびに組織はついてきてくれるか?
これは難しい問いですね…
ついてきてくれる人は一定数いますが、残念ながら別の道を選んだメンバーも多くいました。
ここまでのピボットを経て、求心力がどこにあるのかを理解しておくべきだったと思います。会社によって異なってきますが、プロダクト、メンバー、創業者、帰属意識などが求心力になっているケースが多いです。
「この事業をやりたい」という人が多いと、その事業をクローズするとその人たちは離れていくみたいな力学を当時はわかっていませんでした。昔はスキルや経験を見て、仕事ができる人がいればそれでいいと思っていて、カルチャーフィットを甘く見ていました。非常に反省していることです。
今はカルチャー作りのために、現在進行形でミッション・バリューを擦り合わせているところです。
そのタイミングで共同創業者がいなくなった?
ピボットのタイミングで、共同創業したメンバーが会社を去りました。彼のやりたいことと会社の方向性がずれてしまったのが原因ですね。
私が次の起業家たちに伝えたいのは、共同創業者が辞めてしまってもどうにかなるはずだってことです。絶対にどうにかなるから、希望を失わずにやり続けましょうということ。絶対になんとかなるし、助けてくれる人が現れる。
もちろん、メンバーが去ることはとても寂しいことです。ですがその度に自分自身の未熟さが招いた結果であると受け止めることで、会社・事業・組織・自分の成長のために必要なことだったと思えるようになります。そして、後から振り返ると、そこまで大きなハードシングスではなかったと思うはずです。
━━━ どういう人が、どういう手助けをしてくれたのか?
GREEの田中さんからは、ご自身の経験から「創業者がやりたいと思うこと、楽しいと思うことをやった方がいい」という起業家目線でのアドバイスなどを多くいただきました。現在、弊社取締役として営業を管掌している一村さんからは、マネジメントや緊急を要する意思決定に関して重要なことを教えていただき、感謝しています。
私の起業家の知り合いを見渡してみても、共同創業者が途中で辞めてしまうケースは少なくないと思います。たとえば、良い社長が率いており、サービスもグローバルで伸びている会社でもそのような前例はあるので、一定の確率では起こりうる事だと思って良いと思います。
それでもついてきてくれるメンバーは、本当に大切にした方が良いです。そのあたりをAzitの吉兼さんに教えていただきました。
日本版ライドシェアサービス「CREW」を展開していたAzitは、2019年11月にメンバーの整理解雇を発表した。
吉兼さんの会社では、レイオフの後に残った人の中で頭角を表す人が出てきたらしいんですが、バベルでもそれが起きたんですよ。
この現象について考えてみると、上の人が抜けて必然的に裁量が増えたこと、逆境の中で踏ん張ることで能力が急激に伸びたことなどがあると思います。
今度は杉山さんから、苦しんでいる起業家にアドバイスはあるか?
自分自身もまだ道半ばで、何かアドバイスできることがあるかというと全く自信がないのですが、少なからず一般的にハードシングスと言われる事を経験した身として、今苦しんでいる起業家の方に私から伝えられる事があるならば「勇気を持った方がいい、自信を持った方がいい」ということです。
私も苦しい時期が暫く続きましたが、周囲の方々の支えがあって、どうにかサバイブすることができています。
そして、スタートアップを創業している方たちは、全員仲間だと思っておりますので、この記事を読んで、私が過去に経験したことと同様の悩みで困っている起業家の方や、もっと話を突っ込んで聞きたい起業家の方などいらっしゃいましたら、お気軽に Twitter や Facebook Messenger からご連絡いただけたらと思います。

バベルが提供する ailead について
aileadは、リモート営業時代に「売れる」営業人材を育て続けるための、再現性ある人材育成を支援するSaaSだ。これを最近はセールスイネーブルメントと言ったりもする。
ZoomなどのWeb会議ツールやSFAツールと連携し、日々の営業活動を記録するだけでなく、記録されたデータをAIが自動で解析し、ailead上の様々な機能を使うことで営業組織を支援してくれる。

正式リリースからまだ数ヶ月ながら、すでにエン・ジャパンやネオキャリアやインフォマートやポーラ・オルビスHD、チャネルトークやCyberACEなどが導入している。直近では、ITreview カテゴリーレポート 2022 Springのセールスイネーブルメントカテゴリにおいて顧客満足度No.1 を獲得している。
ailead が気になる方は、以下から問い合わせてみてはいかがだろうか。