バーニングニーズの発火原因を特定する
公開日
2021/03/03
著者
近澤さんのTwitterはこちら
こんにちは。Burining castです。私バーニング近澤ことAutifyの代表をしております、近澤と申します。
バーニング近澤というリングネームを拝命したわけなんですけれども、去年の年末くらいにですね、「顧客のバーニングニーズを解決する」というブログポストを書きまして。それが大変ありがたいことに多くの方にお読みいただきまして、バーニングニーズという言葉が広く浸透しまして。それによってですね、どこからともなくバーニング近澤というあだ名が付きだして(笑)
プロレスラーのリングネームのようなニックネームもいただきましたので、それにあやかってですね、このポッドキャストもバーニングポッドキャストとして今回から始めていきたいと思います。
簡単に自己紹介しますと、私Autifyというスタートアップの代表をしておりまして、AutifyはAIを使ったソフトウェアテストの自動化サービスです。
私自身もですね、エンジニアとして10年以上開発に従事してきまして、日本とシンガポールとアメリカのサンフランシスコ3カ国で経験を積んできて。そのなかからテストの課題がグローバルで非常に大きい課題であるというのがわかりまして、このテストの自動化サービスを始めたというところでAutifyの代表に至るという経歴です。
このポッドキャストで話していきたいのは、当然タイトルにあるようにバーニングニーズにかかわるようなスタートアップのネタであるとか、あとは我々はソフトウェア開発周りのツールを提供しておりますので、そういったソフトウェア開発周りのツールのネタであるとか、私自身エンジニアとしてキャリアを積んできましたので、そういったエンジニアのキャリア観など、いろいろなトピックについて話していきたいと思います。
バーニングニーズとは
今回は初回、第一回というところで、まさしくバーニングニーズについて話していきたいと思うんですけれども。
バーニングニーズってどうやって見つけたらいいのっていう話をしていきたいと思います。
そもそもバーニングニーズとは何かという説明を簡単にすると、バーニングニーズはですね、頭に火がついてる、今すぐ消さないとやばいというような課題に対して発生するニーズのことを指しています。
英語で実際に、髪の毛が燃えてると"hair's on fire"というふうに言ったりするんですけれども、そういった課題に対するニーズのことを指しています。

まずですね、スタートアップなどにおいて新しい製品を提供する・開発するっていうときにまずやらなければいけないのがこのバーニングニーズを見つけるということです。なぜならば多くのスタートアップの失敗の理由が「ニーズがなかった」というようなこととか、ソリューションから入ってしまってそこから実際のニーズがないという状態の上に製品を作ってしまって失敗するというようなケースが非常に多いかなと思ってます。
何よりも先にバーニングニーズを見つけよう
私自身もですね、起業直後2年半くらい、エンジニアなので良い製品を思いついたらすぐに作り出して、そこから実際にお客様に持っていっても買われないというような日々を非常に長く体験してきて、最終的にAlchemist Acceleratorというアメリカのアクセラレーターに入ることができて、そのなかでこのバーニングニーズを解決しろというのが非常に強く言われてまして、このバーニングニーズを見つけるという重要性を本当に強く実感したというところで。実はそこからAutifyが生まれたんですけれども。
そういうなかでですね、まずこのバーニングニーズを見つけるというところに重きを置かなきゃいけない。一番最初にやらなきゃいけないことはコードを書くことでも製品を開発し始めることでもなくて、このバーニングニーズを見つけることです。
ここに何年かけてでも、まずこれを見つけるというところが何よりも大事です。「で、どうやって見つけていくの?」っていう話なんですけれども。やはり新しいアイデア、スタートアップやっていくとか新しい製品を作っていくっていうなかでみなさんですね、「こういうのニーズあるんじゃないか」「こういう課題があるんじゃないか」自分自身が感じてきた課題とかあると思うんですね、最初に。そういったところから製品開発していくと思うんですけれども、その前提の課題とかって間違ってることがほとんどだと思っています。
バーニングニーズの見つけ方
自分自身がユーザーである場合、合致してる可能性もあるんですけれども、とはいえ偏見とか結構入ったりはするので。実際にお客様が抱えている課題、バーニングニーズというものを見つけないというわけですね。
じゃあどうやってそれを見つけていくかというと、当然聞くしかないんですよね。自分でわからないのであれば。はい、ヒアリングをします。ヒアリングを進めるにあたって、まず準備しなければいけません。最初はですね、当然先ほど言ったように、課題というものは自分が考えているものなので正しくない可能性もあるんですけれども、まず仮定します。こういう課題があってこういう解決策で解決するに違いないという仮定をまとめる必要があります。
実際にその課題を抱えている人たちがどういう人たちなのかというですね、ターゲットの顧客を想定します。ターゲットセグメントを決めると。その人たちに聞きに行かなければいけません。で、聞く人を間違えるとまったく意味がない。課題を抱えていない人に聞いてもしょうがないし、間違った人に聞いては絶対にいけません。誰がそれを抱えているのかっていうのをきちんと定義して、次にその人に聞きにいくということをします。で、聞きにいく前にきちんと何を聞くかっていうのを事前にまとめておいて、そのポイントがちゃんと聞けたかどうかを確認する必要があります。なので、ヒアリング項目をきちんと最初にまとめておく必要があります。
自分の仮定は間違っているという意識を持つ
あとはですね、やはり先ほど申し上げたように、自分の仮定というのが間違っているという前提でですね、きちんとヒアリングを進めます。なので、本当にお客様が何と言うのかをベースにちゃんと聞いていくのが必要です。自分が間違っているという仮定をちゃんと持ちましょう。
で、一番大事なのが、この課題をお客様が言いますね。それによって「なるほどこういう課題があるんだ。じゃあこういうソリューションが良いだろう。」っていうふうに安直に考えてはいけない。このバーニングニーズの発火原因を探るっていうのがものすごい大事だと思っています。先日10Xの矢本さんとポッドキャストで話させていただいたときにも話したんですけれども、階層構造になっているという話をしました。イシューは階層構造になっていると。
お客様がこういったヒアリングで出てくる「こういうの課題なんだよね」っていうのって本当に、見えている一番表層の部分でしかないんですよね。それがなぜ発生しているのかっていうのを本当に深く深く深掘って、根本の発火原因を探さない限り、バーニングニーズは特定できたとは言えません。で、この発火原因を探るっていうのは結構スキルがいるかなと思っているんですけれども。どうやってやっていくか、本当にここが一番大事だと思うんですよ。そういった意味でいろいろ前提が必要で、その人がどう言う人なのかターゲットを決めるってこういう意味でも大事で、その人が誰なのかっていうのを深く知るのも大事なんですよね。どういう規模の組織にいて、どういうポジションで、チームの構成がどうなっていて、だからこの課題が発生しているみたいな、そういうバックグラウンドのなかに出てくる課題があるわけですよね。なので、そういう前提をとにかく深く聞く、一見関係ないと思われる質問もしなきゃいけないわけです。
Autifyが深掘りの末に行き着いた課題
たとえばですね、Autifyの例とかだと、ちょっとテスト自動化に寄っちゃうんですけれども。結構みなさんが言ってたのが「時間がない」。自動化する時間がないとか、あとは自動化技術のスキルが足りないみたいなことを最初にポロッと言うんですよ。で、「あっそうなのか」とそこで止まってしまうと全然ダメで、これ深堀っていくと結局同じ課題に行き着いたんですよね。
何かって言うと、結局自動化をするには自動化ができる人の頭数がどうしても必要になってくるので、そういった人材が足りないと結局自動化が普通の開発に追いつかないので時間がないって言ったりとか、あとは自動化ができない人たちがチームにいるとやっぱり自動化のスキルがチームとして足りないみたいなことを言うので、結局自動化エンジニアのリソースが足りないっていう根本的な課題に行き着いたわけですね。
これを探し当てるために僕が聞いた質問は、たとえば「誰がテストしてますか?」とか「テストしている人たちのチーム構成はどうなってますか?」というのを聞いていくと、たとえばテストチームの人数の比率に対して自動化できる人が極端に少ない、もしくは誰もいないとか、そういった事実がわかるわけですね。なので「ああなるほど、だから自動化が進まないんだ」っていうのがわかるわけです。
そういった背景をとにかく深く知る。「なぜ、なぜ」って自分が腹落ちするまでですね、きちんと顧客にいろんな聞き方をしていって発火原因を探るというのをしていくことによってバーニングニーズを特定していく。
最初はですね、先ほどのターゲット顧客とかって仮定なので粗いんですよね。こういうふうに発火原因を深く知っていくと「こういう背景がある人たちだとこういう課題があるんだ」っていうのがだんだん見えてくるんですよ。そうすると共通項が見えてくるので、このPDCAサイクルを回すようにですね、実際にまた戻って「じゃあこういう課題でした」と。それをもって「こういうターゲットです」というのをきちんとどんどん精度を高めていくことによって、このヒアリングを繰り返して、このバーニングニーズを特定していくというプロセスになります。
バーニングニーズが特定できたら、それを解決するためのソリューションを提示します。実際の製品ですね。こういう製品を作ればこれらのバーニングニーズを解決できるというものをまとめて、スライドみたいなものに落としていってですね、次にやるのは実際にそれを売ることです。これはBtoBのスタートアップの話にはなるんですけども。製品を作る、コードを書く前に、スライドをまとめて売りに行ってみるというところで実際にそれが売れたら、製品がない状態でですね、そうしたらもう間違いなくそれはバーニングニーズであるということが証明できると思います。
実際お客様の頭が火で燃えてますので、製品がなくてもですね、これによって解決してくれると思ったら契約してくれるはずなんですね。なのでBtoBのスタートアップにおいては、次のステップはそれを売ってみましょうということになります。
はい。今回はここまでで、次回以降ですね、実際にそれをどうやって売っていくのかみたいなお話をしていきたいと思います。ぜひですね、ハッシュタグ#burningcast つけていただいて、今回のご感想であるとか、どういった話を聞いていきたいかみたいなフィードバックをですね、Twitterなどからいただければ幸いです。
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