長く愛されるプロダクトの作り方。「ツールを求めてやってきて、ネットワークがあるからとどまり続ける。」

公開日
2022/01/03
ネットワークを立ち上げるための一般的な戦略には、私が「ツールを求めてやってきて、ネットワークがあるからとどまり続ける。(原文:Come for the tool, stay for the network)」と呼んでいるものがあります。
 
これは、まずは個人向けツールでユーザーを惹きつけ、時間をかけて彼らに(複数人で構成される)ネットワークに参加してもらう戦略です。
 
ツールは、初期のクリティカルマスを達成するのに役立ちます。
ネットワークは、ユーザーにとっては長期的な価値を、企業にとっては防御力を生み出します。
 
ここでは2つの歴史的な例を紹介します。
  1. Delicious
    1. Deliciousの個人向けツールは、登録したブックマークのためのクラウドサービスでした。複数人ネットワークは、リンクを発見してシェアするためのタグ付けシステムでした。
       
      💡
      編集注
      Deliciousは、2000年代に一世を風靡したソーシャルブックマークサイト。はてなブックマークのようなサービス。Yahoo!が買収した。(Wiki
 
  1. Instagram
    1. Instagramの最初のフックは、革新的なフィルター機能でした。当時、Hipstamaticのような他のアプリでもフィルター機能はありましたが、これらは有料でした。
       
      またInstagramでは、アップロードした写真をFacebookやTwitterなど他のネットワークで簡単にシェアすることができました。一方で、Instagramのネットワーク上でシェアすることもできました。時間が経つにつれて、Instagramの使用方法としては当然そちらが好まれるようになりました。
 
「ツールを求めてやってきて、ネットワークがあるからとどまり続ける」という戦略だけが、ネットワークを構築する唯一の方法ではありません。FacebookやTwitterのように個人向けのツールを持たずして巨大な成功を収めたネットワークもあります。しかし、ゼロからネットワークを立ち上げるのはとても大変なことなのです。個人向けツールは、ネットワークを立ち上げる上での薪のような存在だと考えればよいでしょう。
 
 
この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
 
Chris Dixon@cdixon
Andreessen Horowitz(a16z)のGPを務め、シードおよびグロースステージの投資家として活躍している。現在はa16zのクリプト・ブロックチェーン投資推進においてリーダーシップを発揮しており、Crypto Startup Schoolなどで講演も行う。