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LINEで聞くだけで、自分に合った公共制度をチャットボットが教えてくれるCivichat

日付
2022/04/06
自治体が作った公共制度は山ほどあるが、今の自分に合った制度を使いこなせている人はほとんどいないと言っても差し支えないだろう。
 
制度の存在を後から知って、「あのときに申請しておけば10万円浮いたのに...」と後悔することもあれば、制度のことを知る機会がなさすぎて後悔すらしない場合もある。
 
今回は、自分の状況にぴったりの公共制度をLINE botで教えてくれるサービス「Civichat」を運営する高木 俊輔氏(@0xtkgshn)をインタビューした。
 

 
Civichatとはどんなサービス?
(断りがない限り、発言はCEO高木氏)
 
Civichatとは、LINE botによる支援制度の案内ツールです。たくさんある社会保障制度の中から、自分が利用できるものを探すのはとても大変ですが、Civichatを使えば、チャットボットの質問に答えていくだけで自分に合った制度を見つけることができます。
 
たとえば、ひとり親なら300万円まで借りられる制度や、大学授業料が公私立問わず無料になる制度がありますが、そもそも知らなければ使えない。
 
Civichatを使うことで、こういった制度を簡単に見つけることができます。
 
LINEで はい / いいえ を答えていくだけで、自分が利用できる公共制度を発見できる
LINEで はい / いいえ を答えていくだけで、自分が利用できる公共制度を発見できる
 
(以下、エンジニアの井上氏
 
公共制度って、自治体の公式サイトに行ったら探せるわけじゃないですか。でも大量にある制度の中から自分にあった的確なものを見つけるのってすごく難しいことですよね。
 
たとえば無料で海外留学したいとして、「無料 海外留学」で調べても良い情報にすぐにはたどり着けない。でも「トビタテ」というワードを知っている人は、そう検索すれば一発で出会えるわけです。
 
他にも例えば、50万円の開発資金をもらってプロジェクトを進めることができる未踏ジュニアに私は参加していましたが、これも未踏ジュニアのアカウントにフォローされたから知ったんですよね。当時はプログラミングも何もわからない状態でしたが、同世代でもすごく活躍している人たちを見てすごく衝撃を受けた覚えがあります。どんなきっかけであれ、知ってるか知ってないか、知れるか知れないかって人生レベルで変わってくることを身をもって体感したんです。
 
そんな背景もあり、Civichatのビジョンに共感し、LINE botの開発に携わらせていただいています。
 
「今18歳で、海外に留学したいんです」と伝えたら、検索しなくてもチャットで「トビタテ」の存在を教えてあげられる。このように、今後は公共制度だけでなく色々な分野において、チャットで聞いただけで知らなかったことを知れたという体験をCivichatなら作り上げられると思っています。
 
どうやってその課題に気づいたのか?
 
私は当初、海外大学の受験を検討していたんですよね。奨学金制度がたくさんあることはわかっていたのですが、どれが自分に合う制度なのかまったくわからなかったんです。
 
最初は奨学金制度を1つ1つリストアップしていき、自分に合ったものを抽出するということをやっていました。
 
これを広げていくと、公共制度を見つけることにも使えるのではないかと考えて作ったのがCivichatです。将来的には、どんなデータでも自分に合ったものとマッチングさせるサービスを目指しています。
 
マネタイズはどうしているか?
 
現状はマネタイズしていませんが、将来的には次の2つを考えています。
 
  1. 行政の広報予算をいただく
  1. 行政の業務効率化サービスとして利用料金をいただく
 
中長期的には「情報銀行」になることも考えています。レシート買取アプリONEの公共制度版をイメージしていただけるとわかりやすいのですが、助成金をお渡しする代わりに個人情報を集めて、データを活用することでマネタイズするという構想もあります。
 
━━━ ユーザー(toC)から課金してもらうことは考えていない?
 
単価がものすごく低いのが懸念点ではあるのですが、検討はしています。
 
今は渋谷区などと提携しているのか?
 
いえ、熊本市で実証実験はさせていただき、渋谷区では将来的に何か一緒にやれたらというお話をさせていただいている最中です。
 
━━━ 普通に行政の窓口に連絡した?
 
最初は渋谷区のデータをスクレイピングなどを使って収集していたんですよ。便利なモノを作った自信があったので満を持してリリースしたら、保育課からお叱りのメッセージが来まして(笑)
 
 
データの正しさや、なぜやっているのかを説明する場を何とか設けさせていただき、8ヶ月ほどの交渉を経て正式に許可をいただけました。
 
━━━ なぜ渋谷区から始めた?
 
人口が多いのが明らかだったからです。あとはチームメンバーの畠中が渋谷に住んでいたので、オフラインのコミュニティに直接お話を伺う場合、都合がつけやすいというのもありました。NHKさんに取材していただいた時は、子連れ100人カイギというママ友のイベントに突撃してもらいました。
 
 
ユーザー数はどれくらい?
 
2022年3月末現在で3,000人くらいですね。
 
エゴサをしてみてもわからないですし、思い当たる節もないのですが、最近になって日次10%くらいでユーザーが増えています。市役所などのオフライン窓口にCivichatのLINE QRコードが貼られたんじゃないかと思っています。
 
━━━ 現状、ユーザー層には主婦が多い?
 
そうですね。Civichatがリリースしたものの中で最も伸びたのが「渋谷区の保育施設がわかる」というサービスだったのもあり、半数くらいは主婦層だと思います。
 
━━━ 保育領域を手がけた理由は?
 
シンプルに、本当にすごいニーズがあったからですね。保育領域はみんながみんなヤバいって言ってるんですよ。(Twitterで「保活」と検索した結果がこちら
 
一目するだけでかなり闇が深そうなのがわかるのですが、その中でも「保育施設が見つからない」という悩みが多く見られたんですよ。ここでCivichatのシステムを使えば保育園を推薦できるのではないかと考えて、早急に開発してリリースしたところユーザー数が一気に増えました。
 
知りたい制度を知れたらユーザーは離脱しそうな気もするが、ユーザーを維持するために考えていることはあるか?
 
現状、私たちはインターフェースにはなれているのですが、直接ユーザーにお金を振り込むことはできていないんですよね。
 
将来的には「デフォルト申請」といって、あらかじめユーザーの個人情報を持っておいてワンプッシュで電子申請して着金まで完了する、というのを構想しています。あとはキャッシュフローさえあれば、「この人って公共制度の申請が通りにくいんだな」と自動で判定して私たちが行政側の代わりになって振り込むこともできると考えています。
 
将来的にSaaSになるための取っ掛かりとしてのツールを今は作っているところです。
 

 
今のところCivichatが対応している制度は300以上とのこと。今後も増えていき、利便性が高まることは間違いないので、これを機にLINEを登録しておいてはいかがだろうか。