再エネ小売、コンサル、SaaS。脱炭素ソリューションをワンストップで提供するアスエネ
公開日
2022/05/10
著者
この領域の国内スタートアップとしては最大規模となる18億円のシリーズB資金調達を実施し、勢いに乗るアスエネ。調達資金の主な使途である、アスゼロについて詳しく語っていただきました。
アスゼロとはどういうサービス?

CO2排出量を見える化・削減できるクラウドサービスを軸に、サステナビリティコンサル支援まで、「脱炭素のワンストップソリューション」を法人顧客に提供するサービスです。
CO2削減に取り組みたい企業は増えましたが、自社がどれくらいCO2を排出しているかを把握できている企業はまだまだ少なく、全体の8〜9割は把握できていないと思います。
例えると、ダイエットしたいと言っているにも関わらず、自分の体重を測っていないのと同じ状況です。まずはファーストステップとして体重を測り、一緒に削減策を検討して、実行していくのがアスゼロのサービスです。
━━━ 法人はなぜサステナビリティに関する取り組みを行うのか?
1つの背景として、上場企業の場合はコーポレートガバナンス・コード上、特にプライム・スタンダード市場の企業にはサステナビリティの方針策定、気候変動情報の開示が要請されています。企業はどれだけCO2を排出しているかを開示して、それを削減していく必要がでてきております。
━━━ CO2排出量を把握するのは難しいのか?
企業からは、複雑な算定方法や「どこまでが自社の算定範囲にあたるのかわからない」といったお悩みの声をよく聞きます。なぜかというと、排出量データの収集と算出に膨大な工数がかかっているためです。
算定方法が複雑だったり、自社の排出算定範囲がわからなかったりしますが、それを解決できるアスゼロを使うことで、算出の手間を減らし、業務工数を削減することができます。
さらに、TCFD、CDP、SBTiなどのイニシアチブ支援の追加コンサルサービス、CO2クレジットによるオフセットなど、「脱炭素のワンストップソリューション」を提供し、企業の脱炭素化をサポートしています。
また、上場企業のCO2排出量見える化は、自社だけではなく、サプライチェーン全体での実施を推奨されています。たとえばトヨタさんなどの自動車メーカーの場合、サプライヤーに対して「GHG(Green House Gas:温室効果ガス)排出量を毎年3%下げてください」と要請されております。
CO2排出量削減のアクションは、これまで大企業だけが行ってきたことでしたが、大企業と取引するために中小企業も取り組まなくてはならなくなってきています。サプライヤーも納品物のコストやクオリティだけでは選ばれなくなっているのです。
数多くの銀行と提携しているが、その意図は?
現在、農林中央金庫、八十二銀行、名古屋銀行など10以上の金融機関と連携しています。例えば、農林中央金庫さんの場合、2030年までに投融資先のGHGの排出量を50%削減することを目標として掲げています。
そこで、この領域に詳しい私たちと提携して、投融資先にアスゼロを導入し、新たなCO2排出量削減のデータ拡充などを実行していきます。
地域金融機関さんも同様に、お客様から脱炭素の需要は感じつつもソリューションを持っているわけではないので、業務提携をすることで、投融資先のお悩み解決ができるというわけです。
地銀さんとしては脱炭素の需要は感じつつもソリューションを持っているわけではないので、私たちと組むことで、投融資先のお悩み解決ができるというわけです。
創業のきっかけは?
私は大学時代に音楽にのめり込んでいたのですが、Mr.Childrenの桜井さんなどがBank Bandという別のバンドを立ち上げており、ライブやCD販売などで得た収益を、環境系のベンチャーに投資や融資をする活動を目の当たりにしました。
それまではまったくビジネスに興味はなかったのですが、ビジネスを通じて社会にインパクトを与えることに感銘と同時に大義と面白さを感じて、この環境領域の勉強を始めました。
当時は環境と経済の両立は難しいと言われておりましたが、新卒で入社した三井物産の社内公募制度を活用して再生可能エネルギーの投資の部署に手を挙げて部署異動させてもらい、この領域の投資・新規事業の経験・知見をどんどん蓄積していきました。これが1つです。
もう1つは、私はブラジルに赴任していた時期に、出向していた省エネ・再エネベンチャー企業で経営を間近で体感したことです。ブラジル人200人の中で日本人が2人の環境下、ブラジル人社長と日本人副社長の二人が経営で圧倒的な結果を出しながらチーム全体をモチベートさせていく姿を目の当たりにして、私自身も経営にチャレンジしたい想いが強くなったことが大きな原体験です。
まだまだ私たちの挑戦は始まったばかりですが、初心を忘れずにチャレンジしていきます。