資金調達をする前に自問自答すべき20の問い

公開日
2021/03/12
以前の記事でも触れましたが、スタートアップの中には愚かな理由から資金調達をする人もいるかもしれません。 以下の質問集は、あらゆる起業家がラウンドを調達する前に自問自答すべきだと私が思うものです。
 

なぜ資金を調達するのですか?資金調達することは、起業家であるあなたにどのような影響を与えるのですか?

 
 
1)なぜあなたは資金調達しているのですか? それは虚栄心を満たすためなのでしょうか、それともあなたのビジネスに本当に必要だからなのでしょうか?
 
2)調達した資金を何に使うのですか? 事業の性質上、究極的にキャッシュ集約型なのでしょうか?(クリエイティブに考えてください:マーケティング、在庫、その他の考慮に入れていないコストはありませんか?)実際に必要とされている分の金額を計算してください。(コストと売上の単純なスプレッドシート予測を行い、さまざまなシナリオにおいて調達した資金はどれくらいで枯渇するのかを確認してください)
 
3)創業者としての目標は何ですか? 資金調達はこれらの目標にどのような影響を与えますか?
 
4)どのようにして会社のコントロールを維持しますか?
 
5)シリーズ n の資金調達の後、あなたの最終的な持分はどれくらいになるでしょうか? スプレッドシートでこれを計算してください。そしていくつかのシナリオ分析をしてみてください。 - 会社に対するあなたの持分は調達後、いくらの価値になりますか?(VCはよく「パイを大きくすれば全員が勝つ」と言いますが、希薄化とバリュエーションを拮抗させながら計算をしてみると、この発言は起業家にとって必ずしも正しいとは限りません。)
 
6)今回の資金調達が会社の将来の選択肢にどのような影響を与えるでしょうか? (たとえば、バーガーキングからの「戦略的」投資は、マクドナルドとともに仕事をする可能性を低下させるでしょうか?もしも売却があなたの目標である場合、この大きなベンチャーラウンドは会社を5,000万ドルで売却する可能性を閉ざしますか?)
 

実際にどれほどの金額が必要ですか?今回の調達によって達成される次のマイルストーンは何ですか?

 
7)たとえば、シードラウンドで25万ドルを調達する場合、50万ドルの場合、100万ドルの場合、その調達から6-12ヶ月後にはどのような影響がありますか? (この非常に戦術的なポイントは考え抜く価値があります)
 
8)今回の調達によって達成される見込みのマイルストーンは何ですか? このマイルストーンを達成すると、(a)損益分岐点に到達するのにつながるのか、(b)会社の価値が前回ラウンドの2~3倍以上になるような次回ラウンドの資金調達につながるのでしょうか? 答えが「いいえ」であれば、より多くの資金を調達するか、コストを削減するか、あるいは何か別のことをする必要があります。
 
9)上記を踏まえた上で、過剰な調達、過小な調達になるのをどうやって避けますか?(これはたとえば大規模なシリーズA、B、Cなど、より大きいラウンドではますます重要になります。)
 
10)同業他社はどのように出資を受けているのでしょうか、またそれはあなたにとってどのような意味が(もしあるとしたら)あるのでしょうか?(これは誤解を招くこともあります。資金調達はしたけれど今や停滞しているFacebookアプリの会社を見てみましょう。言い換えると、あなたのビジネスがたとえば多くのトラフィックを買うことに依存していて、競合他社がメディア買収のための軍資金を調達している場合、彼らはあなたのマーケティングチャネルを侵食することができるでしょう。)
 
11)資金が尽きないように、思いついた数字に50%の水増しをしましたか?
 
12)マクロ経済情勢はどうなっていますか? 経済は成長/縮小していますか、そして6ヶ月後にはどうなりますか? こうした見解は、あなたの会社が将来的に良い条件で資金調達できるかどうかに強く影響を与える可能性があります。(これまでのように不況が始まるたびにベンチャー市場が冷え込むと、資金調達自体できなくなることもあります)
 

誰から資金を調達すべきか?

13)あなたの事業はキャッシュビジネスですか、それともエクイティビジネスですか?
 
14)あなたの目標は、ベンチャーエコノミクスの影響を受けていますか?
 
15)あなたが検討したいと思う将来の資金調達のアプローチは何ですか? この資金はいつ必要になりますか?
 
16)エンジェルや投資家に対して、資金以外にどのような類の価値をもたらすことを期待していますか? 他の方法でこの価値を得ることができますか?(例:アドバイザー)
 
17)これまで検討したことのない代替の資金源はありますか? (ベンチャーデット、従業員にコストをカバーするのを手伝ってもらう、顧客に開発費を支払ってもらう、など。- これについてのブログを近日中にアップします)
 

潜在的な投資家は何を求めているか?

 
18)あなたの投資家や潜在的な投資家は何を望んでいますか? 彼らのモチベーションは何ですか、そしてなぜ彼らは関与しようとしているのですか?
 
19)資金を調達するために犠牲にしてもいいことは何ですか? 同様に重要なこととして、これがあるとその投資家からは資金調達しないであろう、ウォークアウェイポイント(そしてBATNA)(編集注:Best Alternative to Negotiated Agreement, 最も望ましい代替案)は何ですか?
 
20)投資家の評判はどのようなもので、過去にどのように企業を支援してきましたか? 投資した他の企業が経営難に陥ったり、買収されたりした場合、どのように対応してきましたか?
 
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※この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
 

📕関連書籍

 
『爆速成長マネジメント』by イラッド・ギル
 
CEOの役割、採用やマネジメント、チーム・組織のつくり方、プロダクトマネジメント、マーケティング・広報などスタートアップに興味がある人なら誰でも知っておくべきことを体系的にまとめた書籍。
 
 
Elad Gil(@eladgil
 
Airbnb、Coinbase、Instacart、Pinterest、Square、Stripe、Wishなどシリコンバレーにおける有名企業の投資家・アドバイザーを務めている。2013年から2016年12月までカラージェノミクスの共同創業者兼CEOを務め、現在は会長に就任。カラージェノミクスの創業前はTwitterでコーポレート戦略バイスプレジデントを務め、M&Aや事業開発チームの担当を務めた。過去にはGoogleにも在籍しており、さまざまな買収案件に携わった。
 
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