あなたのスタートアップはエクイティビジネスか、キャッシュビジネスか

ビジネスの価値を構築する方法には、大まかに言って2つのタイプがあります。
 
  1. 「エクイティ」ベースのビジネスで、株式の価値が時間とともに大きく成長する
  1. 「キャッシュ」ベースのビジネスで、会社は年間で多くのキャッシュを生み出すが株式の価値は低PERでとどまる
 
あなたがどのようなビジネスを始めたいか(または振り返ってみて、どんなビジネスを始めていたか)を把握することは、資金調達すべきかどうかといったことから、従業員の報酬をどのようにまかなうかといったことに至るまですべてに影響を与えます。 あなたが運営しているビジネスがどのタイプに当てはまるかを根本的に誤解していると、会社の成功とポテンシャルを逸脱させるミスにつながりかねません。
 

エクイティビジネス

 
  • 資金調達: エンジェル、VC、ヘッジファンドなどからの資金調達です。 通常、実際に価値を創造し、一定の規模でお金を稼ぐ前に、事業を成長させていきながら(通常は外部の投資家やオペレーションから調達した)多額の現金を投資する必要があります。 うまくいけば、あなたの会社はうまくいき、リターンはベンチャーエコノミクスを満たすのに十分なものになります。
  • 従業員の報酬:オプションと少額の現金に偏っています。あなたはお金を調達し続ける必要があるので、従業員に多額の報酬を支払いたくはありません。資金を調達することは、ロングタームで見て価値がある株式を希薄化します。
  • タイムホライズン:平均的なM&Aイグジットには6.5年かかり、ほとんどの企業は上場するまでに何年もかかります。価値というものは通常、企業のライフサイクルのかなり後半部分で創造されます。
  • 企業の例:Google、Facebook、Twitter
  • 他の重要な特徴:これらの企業は通常、前もって多くの現金を投げ打っているのではなく、むしろ事業の成長とスケールに再投資している期間があります。エクイティベースのビジネスは、業界での独自のポジションが定着し、キャッシュマシーンとして台頭するまでの最初の数年間は資金を失う場合があります。(Facebookを考えてみてください)同様に、これらのビジネスは強力なネットワーク効果、参入障壁の高さ、顧客のロックインなどの特徴を持っていることが多く、それがビジネスの株式価値を高めています。
 

キャッシュビジネス

 
  • 資金調達: エンジェル/個人投資家、または自己資金/ブートストラップに焦点を当てましょう。 期待されるリターンはベンチャーリターンほどではありませんが、配当金として現金をペイアウトすることはできるでしょう。
  • 従業員の報酬:この手の企業の株式価値は低いので(つまり、他の買い手に会社を高く売ることはできない)、株式で報酬を支払うことはほとんど考慮の対象になりません。得た利益から現金で払いましょう。
  • タイムホライズン:多くの場合、この手のビジネスはすぐに現金を生み出し始めます。(数ヶ月から1年ほどです。-Hot or Notを考えてみてください)
  • 企業の例:ほとんどの小規模なソーシャルゲーム会社。ほとんどのGroupOnのクローン。
  • 他の重要な特徴:多くの場合、これらのビジネスは参入障壁が低く、ネットワーク効果が少なく、ビジネスの買い手が少ない小規模またはニッチな市場に焦点を当てています。
 
 
会社が成熟すると同時に、エクイティビジネスからキャッシュビジネスにシフトする可能性があり、そしてその逆も然りということに注意してください。 たとえば、Microsoftは株の上昇率という点ではもはや大きな賭けにはなりませんが、健全な配当を支払い、良好なROEを生み出しています。同様に、GroupOnは、ブランディング、ディストリビューション、およびスケーリングを通じて時間をかけて株式の価値を構築するキャッシュビジネス(即座にキャッシュを稼いでいる小規模なあらゆるGroupOnクローンを考えてみてください)でもあり、両方の側面があります。
 
※この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
 
 

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Elad Gil(@eladgil
 
Airbnb、Coinbase、Instacart、Pinterest、Square、Stripe、Wishなどシリコンバレーにおける有名企業の投資家・アドバイザーを務めている。2013年から2016年12月までカラージェノミクスの共同創業者兼CEOを務め、現在は会長に就任。カラージェノミクスの創業前はTwitterでコーポレート戦略バイスプレジデントを務め、M&Aや事業開発チームの担当を務めた。過去にはGoogleにも在籍しており、さまざまな買収案件に携わった。
 
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