VCのエコノミクス|なぜ$50Mのイグジットには何の意味もないのか

私の友人が、最近聞いた中で最もクールなアイデアの1つであるスタートアップに取り組んでいます。 私たちは、彼がシードラウンドでVCに投資してもらうべきかどうかについて話し合いました。 彼は早期にイグジットする選択肢を持っておきたいと考えていました。また彼は、なぜVCは100万ドルを投入して会社の20%を取得し、1,000万ドル(5,000万ドルでのイグジット)、つまり10倍のリターンを得ようとしないのか興味津々でした。
 

大規模ファンドのエコノミクス

 
その理由は、大規模ファンドのエコノミクスにあります。 あなたが5億ドルの運用資産を抱えるベンチャーファンドだとしましょう。 もしあなたがトップティアのファンドであれば、ファンドの5~10年(3~5年は積極的に投資を行い、その後の3~5年はポートフォリオ企業にプロラタ/フォロー投資を行うとします)にわたって、LPに対して20~25%の内部収益率(IRR)は確保したいでしょう。
 
これは、ファンドの存続期間にわたって、ファンドは投資から15億ドルのリターンを得る必要があることを意味します。 つまり、VCは投資した当初の5億ドルを回収したうえで、さらに10億ドル追加で獲得する必要があるということです。
 
この計算には、追加的な詳細は含まれていません。たとえば、年間2%の運用手数料を5年間かけてチャージした場合、あなたはその分追加でファンドの10%(5,000万ドル)を獲得する必要があります。
 
つまり、5,000万ドルのイグジットの一部としてVCに返したリターン1,000万ドルは、VCがLPにリターンを返すために必要な資金の1%ということになります。 投資の成功1件につき数億ドルを稼ごうとしているパートナーの時間の機会費用に見合うものではないことは明らかです。
 
これが理由で、VCのなかには「大胆に行くか、さもなくば帰れ」というメンタリティを持っている人もいるのです。 5,000万ドルのヒットでは、大規模ファンドの針は動きません。 これが理由で、VCのなかには迅速なイグジットよりも、継続的に資金調達させて追加的に希薄化させようとする人もいるのです。 残念ながら、多くの企業がこのプロセスの間に潰れてしまいます。
 
※この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
 

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『爆速成長マネジメント』by イラッド・ギル
 
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Elad Gil(@eladgil
 
Airbnb、Coinbase、Instacart、Pinterest、Square、Stripe、Wishなどシリコンバレーにおける有名企業の投資家・アドバイザーを務めている。2013年から2016年12月までカラージェノミクスの共同創業者兼CEOを務め、現在は会長に就任。カラージェノミクスの創業前はTwitterでコーポレート戦略バイスプレジデントを務め、M&Aや事業開発チームの担当を務めた。過去にはGoogleにも在籍しており、さまざまな買収案件に携わった。
 
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