20年変わっていなかったECの購買体験を、Figniは3Dコンテンツで変革する

Amazonや楽天でモノを買うとき、不安になることはないだろうか。
 
何度も買っている商品・お店ならともかく、初見で服や靴を買ったり、テーブルを買ったりするのはサイズ感がわからなすぎて失敗するのが怖くなる。場合によっては購入をやめることもある。
 
今回は、3Dコンテンツを使ってこれを解決してくれるサービスの「Figni(フィグニ)」を作っている吉村 啓氏(@kay_ysmr)をインタビューした。
 

 
Figniとはどんなサービス?
 
EC商品を立体的に表示する機能をコピペだけで埋め込める、3Dワンストップ導入サービスです。メインターゲットはEC事業者様です。
 
インターネットでモノが買われるようになってから20年以上経ちますが、モノを買うときの判断材料は写真5〜6枚だけという体験はいまだ変わっていません。Figniは3Dコンテンツを使うことで、この体験を進化させるプロダクトです。
 
Image credit: Figni
Image credit: Figni
 
マネタイズはどうしている?
 
導入する商品1点ごとの初期導入費用と、閲覧された分だけしかかからない従量課金制の継続費用による料金システムを採用しています。(現在は期間限定で、閲覧数に関わらず1点ごとの3D制作費だけ徴収するプランを展開)
 
料金体系はかなり考えましたね。最近のスタートアップってとりあえず月額課金というパターンが多い気がしています。でも極端な話、クリスマスツリーを売っている事業者がいた場合、1月〜10月の間はほとんど閲覧数がないにもかかわらず固定費がかかってしまいます。そうした商習慣に配慮した結果、このような料金体系になりました。
 
━━━ 「商品1点ごとの初期導入費用をとる」とあるが、3Dモデリングはコストが高いのか?
 
そうですね。3Dモデルはイラスト制作などに比べるとどうしてもリードタイムが長くなるという特徴があります。
 
しかし、弊社では3Dモデルの制作プロセスを自動化しているので、他社に発注するよりは素早く作成することができています。
 
Figniをリリースする前に検証はしたか?
 
検証はしていませんが、数多くのリサーチを重ねました。
 
私たちはもともと3Dの基礎技術開発をやっていて、3Dコンテンツを配信する会社の基盤となりうるものを作っていました。
 
Figniの前は、3D版のECモールを作ろうとしていました。3Dで商品を出したい事業者に出店いただく形ですね。
 
でもそうではなくて、ECモールを作るときに使っていた機能を外販した方がいいと判断してピボットして生まれたのがFigniです。
 
━━━ 900人にインタビューしたとのことだが、どうやってターゲットを見つけた?
 
リサーチサービスを使いました。あまり偏りがないように全国各地から男女半々で属性もバラバラに抽出してヒアリングしました。
 
━━━ なぜリサーチしようと思った?
 
EC × 3D/ARのような分野は、まだ日本にデータがないんですよ。検証をする前には仮説を立てると思いますが、先立つものがないのでその仮説を立てようがなかったんです。その代わり、リサーチは入念に行いました。
 
3Dモデリング人材はまだまだ希少だと思うが、どうやって集める?
 
日本の場合、アニメやゲームの制作会社の下請けが3Dモデリング人材を抱えている場合が多く、彼らに対する報酬が少ないんですよ。それに現状の3Dモデリングではアニメやゲーム制作に使うのが大半です。
 
なので私たちは、そこにECという新しい風を吹き込む。私たちが案件を取ってきてクリエイターに仕事をお渡しすればいいので、そこには下請け構造はなく、彼らの取り分は増えます。
 
現状は業務委託契約をしていますが、将来的には3Dモデリング人材のコミュニティを作りたいと思っています。
 
2019年にNOWなどから数千万円の資金調達をしているが、ここまでキャッシュは尽きなかったのか?
 
私たちはかなりコストを抑えて運営しているので大丈夫でした。チームメンバーが学生だったこともあり、社会人を雇うのに比べると人件費が安く済んだのが大きいですね。私個人のお金をつっこんだりもしていました。
 
━━━ 3Dモデリング案件で受託はしなかったのか?
 
していないですね。受託を始めてしまうと沼にハマると思っていたので、初めから受託はやらないと決意していました。
 
プレスリリースを出してから、問い合わせは増えているか?
 
おかげさまで相当増えています。家具等の事業者様はもちろん、アパレル領域や日用品メーカーなどからも何社かお声がけいただいていますね。
 
━━━ 相性の良い商材・悪い商材はある?
 
そうですね。たとえばトイレットペーパーなどのコモディティを3Dで表示したところで、だいたい同じなので意味はないですよね。
 
私はキャンプが趣味なのですが、キャンプ道具は従来のECサイトでは情報が全然足りてないんですよ。たとえばテントって、寸法が書いてあるだけだと大きさのイメージがつかないんです。だから店頭に向かうのですが、実店舗だと場所をとってしまうのでテントは張られていないことが多いんです。
 
こうした経験から、実際に目で見ることができない商品って多いなと感じたんですよね。
 
━━━ 高単価商材は相性が良い?
 
EC事業者様が商品写真を掲載する場合、1点あたりのコストはおよそ1,000円以内なんですが、3Dモデルになった途端に10倍以上になってくるんですよね。そうなってくると資金の回収が問題になってきます。
 
アパレルなど、商材の更新頻度が高いものだと儲けが出にくいです。なので、3Dモデルはロングセラーの高単価商材と非常に相性が良いですね。
 
CVRはどれくらい上がる見込みか?
 
CVRが上がるのが一般的な見立てだとは思いますが、むしろ下がる可能性もありうると思っています。
 
Figniが提供する主な価値は、閲覧数を伸ばしたり、滞在時間を伸ばすことです。3Dモデルでリッチな情報を提供することで、CVRではなくリピート客が増えたり、直帰率(*)が下がったりするのではないかと思っています。
 
直帰とは、サイト内の1ページしか閲覧されなかったセッションのこと。
直帰率
直帰とは、サイト内の 1 ページしか閲覧されなかったセッションのことです。Google アナリティクスの場合、Google アナリティクス サーバーに対するリクエストを 1 回だけ発生させたセッションを特に区別して直帰として扱います。たとえば、ユーザーがサイト内のページを開いた後で、そのセッション中に Google アナリティクス サーバーに対する他のリクエストを発生させずに離脱した場合、このセッションは直帰のセッションになります。 直帰率とは、1 ページのみのセッション数をすべてのセッション数で割った値のことです。つまり、すべてのセッションの中で、ユーザーが 1 ページのみ閲覧して、Google アナリティクス サーバーに対するリクエストを 1 回のみ発生させたセッションが占める割合のことです。 この 1 ページのみのセッションでは、Google アナリティクスによるセッション継続時間の計算に必要な 2 回目のヒットが発生しないため、セッション継続時間は 0 秒になります。詳しくは、セッション継続時間の計算方法について ご確認ください 。 直帰率の高さが問題になるかどうかは状況によります。 直帰率の高さが問題になるのは、ユーザーがサイト内の複数のページを閲覧することが必要な場合です。たとえば、サイトのトップページがサイト内の他のページ(ニュース記事、商品ページ、購入手続きなど)の入り口として機能している状況で、多くのユーザーがトップページのみを閲覧しているとすると、高い直帰率は望ましくありません。 一方で、ブログのような 1 ページのみのサイトや、その他の 1 ページのみのセッションが想定されるようなコンテンツを提供している場合、直帰率の高さはまったく問題になりません。 直帰率はさまざまな視点で確認できます。例: [ユーザー サマリー] レポートでは、サイト全体の直帰率を確認できます。 [チャネル] レポートでは、チャネル グループごとの直帰率を確認できます。 [すべてのトラフィック] レポートでは、参照元とメディアのペアごとの直帰率を確認できます。 [すべてのページ] レポートでは、個々のページごとの直帰率を確認できます。 直帰率が高い傾向にある場合、全体が等しく高いのか、あるいは 1 つ、2 つのチャネル、参照元とメディアのペア、ページだけなのかといった実態をさらに詳しく確認できます。 たとえば、ごく少数のページのみに問題がある場合は、広告の内容が適切にページへのアクセスをユーザーに促しているか、そのページにユーザーが次の適切な行動を起こすためのわかりやすい経路が用意されているかを確認します。 特定のチャネルの直帰率が高い場合は、そのチャネルに使用している広告を確認します。たとえば、ディスプレイ広告経由のユーザーの直帰率が高い場合は、広告の内容がサイト コンテンツに対して適切かを確認します。 問題の範囲が広い場合は、トラッキング コードの設定を確認して、必要なすべてのページが適切にタグ付けされていることを確認します。場合によっては、サイト全体のデザインを見直して、言語、画像、色彩、行動を促すフレーズ、重要なページ要素のわかりやすさも確認します。 オプティマイズ を使うと、サイトのページをさまざまなテストパターンでテストし、ユーザーが利用しやすいデザインを確認できます。 サイトが 1 ページのみの場合は、 非インタラクション イベントについてご確認ください 。非インタラクション イベントを使用すると、ユーザー エンゲージメントを適切に取得し、直帰していない 1 ページのみのセッションを把握できます。
 
1商品あたりのCVRは下がるかもしれないものの、長期で見ればファンが増えて売上は増加するという見立てです。
 
━━━ 「CVRが下がる」としたら、潜在顧客は導入したくなくなるのでは?
 
CVRという言葉を知っている方がまず少ないです。わかりやすくお伝えするために「導入すれば売上が上がります」「ブランドロイヤリティが上がります」といった営業をしていますね。
 
Figniの提供価値は「詳細にイメージさせること」だと思うが、その観点では競合はRentioなどになる?
 
そうですね。
 
この前もCAMPFIREさんとビックカメラさんが提携していました。クラファンって、まだ物を見れない段階から購入することが多いので、試作品をビックカメラの店舗で見れるようにしようという新規事業だと思います。
 
 
イメージさせることが重要になってくるので、それこそ実店舗も競合の1つだと思っていますね。
 
━━━ CAMPFIRE創業者の家入さんはNOWを通じて株主だが?
 
そうなんです。クラファンとARは非常に相性が良いので、ぜひご一緒させていただきたいですね。
 

 
Figniを自社サイトに導入するとどのようになるか、以下のリンクからデモを見ることができる。