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"Meta" に込めた想い。創業者マーク・ザッカーバーグからの手紙

日付
2021/10/30
ライター
Facebook Liveでマーク・ザッカーバーグがプレゼンした内容を編集したもの
 

創業者からの手紙(2021年版)

 
私たちは今、インターネットの次章の出発点にいます。そしてそれは、私たちの会社にとっても次章となります。
 
ここ数十年のテクノロジーのおかげで、より自然につながりあい、より自然に自分自身を表現することができるようになりました。私がFacebookを始めた当時は、Webサイトにテキストを入力することがほとんどすべてでした。しかし、カメラ付きの携帯電話が登場すると、インターネットはより視覚的で身近なものになりました。接続速度が速くなるにつれ、動画はよりリッチな体験を共有する手段となりました。デスクトップからWebへ、Webからモバイルへ。つまり、テキストから写真へ、写真から動画へと私たちは変化してきました。しかし、これは始まりに過ぎません。
 
次のプラットフォームは、より没入感の高いものになるでしょう。ただ視聴するだけでなく、体験の中に身を置くことができる、具現化されたインターネットです。私たちはこれをメタバースと呼んでおり、私たちが作るすべてのプロダクトに影響を与えるでしょう。
 
メタバースを決定づける特徴は、自分が他の人と実際に一緒にいる、あるいは他の場所に実際にいるかのような臨場感です。誰かと一緒にいるような臨場感は、ソーシャルテクノロジーの究極の夢です。だからこそ、私たちはメタバースを作り上げることに注力しているのです。
 
メタバースでは、友人や家族との交流、仕事、学習、遊び、買い物、創作など、想像できるほぼすべてのことは実現可能で、今日のコンピュータやスマートフォンの概念には当てはまらない、まったく新しい体験もできます。私たちは、近い将来にあなたがどのようにメタバースを使うかについて紹介する映像を作りました。
 
この映像が描写する未来では、あなたはホログラムとして瞬時にテレポート可能で、通勤時間なしでオフィスに行ったり、友人とコンサートに行ったり、実家のリビングに行って話を聞いたりすることができるでしょう。これにより、あなたがどこに住んでいようともチャンスが広がります。自分にとって大切なことにもっと時間を使えるようになり、交通機関を利用する時間を減らし、二酸化炭素排出量を削減することができます。
 
今、あなたが持っているたくさんの物理的なモノが、未来にはホログラムになるかもしれないと考えてみてください。テレビ、複数のモニターを使った完璧な仕事環境、ボードゲームなどが、工場で組み立てられた物理的なモノではなく、世界中のクリエイターによってデザインされたホログラムになるのです。
 
物理的な世界に留まるならARグラス、完全に没入するならVR、そして既存のプラットフォームから飛び込むなら電話やコンピュータなど、さまざまなデバイスでこうした体験を行き来することになります。こうしたことは、スクリーンで過ごす時間を増やすのではなく、すでに過ごしている時間をより良いものにするためのものなのです。
 

私たちの役割と責任

 
メタバースはひとつの企業が構築するものではありません。クリエイターや開発者が、相互運用可能な新しい体験やデジタルアイテムを作り、今日のプラットフォームやそのポリシーに制約されているものよりもはるかに大きなクリエイターエコノミーを解き放つことによって構築されるのです。
 
この旅における私たちの役割は、メタバースを実現するための基盤技術、ソーシャルプラットフォーム、クリエイティブツールの開発を加速させ、これらの技術を私たちのソーシャルメディアアプリに織り込んでいくことです。私たちは、メタバースが史上もっとも優れた社会的体験を可能にすると信じており、そのポテンシャルを実現するためにエネルギーを注いでいきたいと考えています。
 
(上場するときに公開した)創業者の手紙にも書きましたが、 「我々はお金を稼ぐためにサービスを作るのではなく、より良いサービスを作るためにお金を稼ぐ」のです。
 
 
このアプローチは、私たちにとって非常に有益です。私たちは、より良いサービスを構築するための大規模かつ長期的な投資をサポートするために事業を構築してきましたし、メタバースの構築においてもそれを実践していくつもりです。
 
この5年間は、私にとっても当社にとっても、さまざまな意味で謙虚さを思い起こさせるものでした。私が学んだ主な教訓の一つは、人々に愛されるプロダクトを作るだけでは十分ではないということです。
 
また、インターネットの物語は一筋縄ではいかないということもよくわかりました。すべての章で、新しい声や新しいアイデアが登場するだけでなく、新しい課題や新しいリスク、既得権益の崩壊も生じます。可能な限り最高の未来を実現するためには、最初から一致団結する必要があります。
 
プライバシーと安全性は、最初からメタバースに組み込まれている必要があります。オープンスタンダードや相互運用性に関しても同様です。そのためには、クリプトやNFTプロジェクトをコミュニティでサポートするなど、新しい技術的な作業だけでなく、新しい形のガバナンスも必要になります。そして何よりも、より多くの人々が未来に関わり、消費者としてだけでなくクリエイターとしても利益を得られるよう、エコシステムの構築を支援していく必要があります。
 
この期間は、私たちが大企業であると同時に、他社のプラットフォーム上で構築することがどのようなものかを学んだという点でも謙虚な気持ちになりました。他のプラットフォームが定めたルールの下で生活することで、テクノロジー業界に対する私の見解は大きく変わりました。消費者には選択肢がなく、開発者は高額な手数料をとられていることが、イノベーションを阻害し、インターネットエコノミーを停滞させていると考えるようになりました。
 
私たちは、これまでとは異なるアプローチを試みました。私たちは、できるだけ多くの人が私たちのサービスにアクセスできるようにしたいと考えています。そのためには、サービスのコストを上げるのではなく、下げる努力をしなければなりません。私たちのモバイルアプリは無料です。私たちの広告モデルは、企業が最低価格で利用できるように設計されています。私たちのコマースツールは、無料または少額の料金で利用できます。その結果、何十億もの人々が私たちのサービスを使ってくださり、何億もの企業が私たちのツールに頼ってくださっています。
 
このようなアプローチで、メタバースの構築を支援していきたいと考えています。私たちのデバイスは、より多くの人が利用できるように少額あるいは補助金を付けて販売する予定です。また、PCからのサイドローディングやストリーミングをサポートすることで、ユーザーに選択肢を提供していきたいと考えています。また、開発者やクリエイター向けのサービスは、可能な限り低価格での提供を目指し、クリエイターエコノミー全体の最大化を図っていきます。ただし、その過程で資金を浪費しないようにしなければなりません。
 
私たちは、今後10年以内にメタバースが10億人の人々に利用され、数千億ドルのデジタルコマースをその上に載せ、何百万人ものクリエイターや開発者の雇用を支えることを目指しています。
 

WHO WE ARE

 
次の章に歩みを進めるにあたり、私はこれが当社にとってどのような意味を持つのか、また当社のアイデンティティについてよく考えました。
 
私たちは、人と人をつなぐことにフォーカスしている企業です。多くのテクノロジー企業は、人々がテクノロジーをどのように使うかにフォーカスしていますが、私たちは常に、人々がお互いに交流できるようなテクノロジーを構築することにフォーカスしてきました。
 
今日、私たちはソーシャルメディア企業として認識されています。Facebookは、史上最も利用されているテクノロジープロダクトのひとつです。ソーシャルメディアの象徴的ブランドです。
 
ソーシャルアプリケーションの開発は、私たちにとって常に重要であり、これからもたくさんのアプリケーションを開発していきたいと考えています。しかし、それが私たちの仕事のすべてではなくなってきています。私たちのDNAは、人と人を結びつけるテクノロジーを構築することです。メタバースは、私たちが創業したときのソーシャルネットワーキングのように、人と人をつなぐための次のフロンティアなのです。
 
今のところ、私たちのブランドは1つのプロダクトと密接に結びついていて、このブランドでは将来はもちろんのこと、現在行っていることすべてを表現することはできません。将来的には、当社はメタバース企業として認識していただきたいと考えています。そして、私たちが目指しているものを基盤にして、私たちの仕事とアイデンティティをその上に載せたいと思っています。
 
私たちは先日、会社を根本的に変更することを発表しました。現在、当社は事業を2つの異なるセグメントとして捉えて報告しています。1つは当社のアプリ群、もう1つは将来のプラットフォームに向けた取り組みです。私たちのメタバースへの取り組みは、これらセグメントに単純には当てはまりません。メタバースには、社会的体験と未来のテクノロジーの両方が含まれています。私たちのビジョンが広がるにつれ、ついに新しいブランドを採用する時が来たのです。
 
私たちが何者であるか、そして私たちが築きたい未来を反映するために、私は当社がMetaへと社名変更することを満を持して発表します。
 
私たちのミッションは変わることなく、人と人を結びつけることです。私たちのアプリとそのブランドも変わりません。私たちは、人を中心にテクノロジーをデザインする会社です。
 
しかし、アプリを含むすべてのプロダクトは今や、メタバースに命を吹き込むという新しいビジョンを共有しています。そして、私たちの活動の幅広さを反映した名前になりました。
 
これより先は、Facebookファーストではなく、メタバースファーストを目指します。つまり、今後はFacebookのアカウントがなくても私たちの他のサービスを利用できるようになります。新しいブランドが私たちの抱えるプロダクトに反映されることで、世界中の人々にMetaブランドと私たちが目指す未来を知っていただきたいと思います。
 
私はかつて古典について勉強していましたが、「Meta」という言葉は、ギリシャ語で「Beyond」を意味する言葉に由来します。私にとってこの言葉は、常に構築すべきものがあり、物語には常に次の章があることを象徴しています。私たちの物語は、寮の一室から始まり、私たちの想像を超えて成長しました。人々が互いにつながり、自分の持てる声を見つけ、ビジネスやコミュニティ、世界を変えるようなムーブメントを起こすために使用するアプリ群へと成長したのです。
 
私たちがこれまでに築き上げてきたものを誇りに思うと同時に、私は次に来るものに興奮しています。今日可能なことを超え、スクリーンの制約を超え、距離や物理学の限界を超え、誰もがお互いに存在し、新たな機会を生み出し、新たな経験をすることができる未来に向かって進んでいるのです。それは、一企業の枠を超えた、私たち全員の手で作られる未来です。
 
私たちはこれまで、新しい形で人々を結びつけるものを作ってきました。私たちはこれまで、難しい社会問題と格闘したり、閉鎖的なプラットフォームの下で生活することで学んできました。そして今、これまでに学んだことをすべて活かして、次の章を作るお手伝いをするときなのです。
 
私は、世界のどの企業よりもこの目的のためにエネルギーを捧げています。これがあなたの見たい未来であるならば、ぜひ私たちの旅に参加してください。未来は、私たちの想像をはるかに超えるものになるでしょう。