スタートアップというプロセスすべてで成長した(3/3)
スタートアップというプロセスすべてで成長した(3/3)

スタートアップというプロセスすべてで成長した(3/3)

福島:そこは案件次第というか。LayerXの仕事って今のところはクリエイティブの仕事なんですね。疲弊する仕事で典型的な物って、まず何か自分たちがアンコントローラブルな状態で仕様が決まってて、それに対して人月をはめるだけの仕事ですと。しかもその仕様が結構ひどくて、下流の工程の人が苦しんで、めちゃくちゃ頑張ってカバーするみたいな。手戻りが発生して本質的には赤字なんじゃないかとか。そういう類の受託は結構キツいかなという。僕らは前工程から設計してたり、ワークフロー全体を変えようとかしているので、あまり疲弊する感じはしないですね。

堀:ちなみに、どんな感じの社風なんですか?外から見てるとまったく見えないんですけど、みんな黙々とクールにやってる感じなのか。

福島:ウチの広報を手伝ってくれた子がいるんですけど、その子がTwitterに「すごいクールなイメージかと思ったら、朝会で『アニマル!』って叫んでるやばい集団だ」って書いてて。毎日朝会やってて、会社のバリューを叫んでいるんですけど、その中にメルカリのGo Bold的な感じで、「Be Animal」という標語があって、みんな叫んでるんですよ。それだけ聞くと入社したくなくなると思うのですが、そういう面もあるよという。むしろ結構ウェットな感じですね。

琴坂:それは世間一般のイメージとズレてるところがあるかもしれませんね(笑)

福島:良いかどうかは置いといて、そういうの僕は結構好きですね。結構ウェットですよ。最近だと、新入社員とかも含めてなかなかオフラインで会えないじゃないですか。なので、Zoomで新入社員歓迎会みたいなのをテスト的にやってみて、ブレイクアウトルームをうまく使ってやったりとか。

社内でもオンボーディング制度みたいな、社内メンターみたいなのを偉いとか偉くない関係なくつけて会社の文化を早く知ってもらうとか、文脈を早く知ってもらうために入社前からオンボーディングもかなり頑張っていたりとか。入社決まって入るまで3〜4ヶ月空くケースあるので、2週間に1回、最初の方は僕とか役員レベルが戦略とか会社の文化とか話して、アサインされそうなプロジェクトとかあれば、そこのトップとかメンバーが進捗をNDAとか結んだ上で共有していくとか、そういうところはかなりこまめにやってます。

何が自分を成長させたのか

琴坂:完成された起業家の話をこうやって聞いていると、自分たちはなれる気がしないと思う人がたくさんいると思うんですね。何が成長の契機、成長の糧だったんでしょうか? 

福島:自分自身が競争にさらされたことかなと思ってるんです。やっぱりこのスタートアップの世界ってサボれるわけですよね。自分でコントロールできるから、サボってもいい。ただサボっただけ、将来倍になって自分に自己嫌悪含めたダメージが降りかかってくる。起業家ってすべての時間を自分でコントロールできるわけじゃないですか。でも必ず結果って形で明確に現れるわけです。1年後2年後とかに今やっていることの結果が。それも客観的な指標で、時価総額とか売上とか利益で出てくる。自分で決めたことに対するフィードバックサイクルがものすごく早くて、競争にさらされてるなという感覚があります。

琴坂:その繰り返しが一番の成長だったという。

福島:そうですね。社員も自分を見てるわけじゃないですか。そういう中で社員に転職とかされると悔しいわけです。でもよくよく考えると自分が悪い。相手が悪いわけではなくて、自分に魅力がない、自分の会社に魅力がない、いるフェーズで意義を説明しきれなかったとか、いろいろあるわけですよね。

琴坂:人、機会、本など、これで自分は成長したというのはありますか?

福島:スタートアップというプロセスすべてで成長したなと思いますね。フェーズごとに。

堀:(本の中の)組織運営のところで、メルカリの小泉さんはmixiでの学びがあったからこそメルカリに入った際に企業文化、ミッションバリューにすごい気合入れたって話がありましたけど、GunosyからLayerXになってからのポイントってありますか?

福島:本当に1回目のスタートアップの人がそうすべきかという話はいったん置いておいて、知っていることによって避けられるリスクってあると思うんですよね。小泉さんみたいにデカい組織を何周もやっている人間からすると、「このタイミングで絶対組織崩壊するから、そこでミッションバリューがしっかりしてれば崩壊しない」とかも分かるわけです。メルカリって多分そういう人の集合体だったので、そういうのを前もってリスクだと認識して潰していた。

でも、1回目ってそれはリスクとして認識できないんで潰しようがないと思うんです。エンジェルとか取締役とかにそういう経験豊富な人を入れてあらかじめ潰す、みたいな方法はあるかもしれないですけど、小泉さんクラスの経験がある人ってそんな採用できないですから。

琴坂:前の経験の学びから勘違いしたとかってないですか? スタートアップは当然一社一社違う。前の学びを生かしてみたら今度は通用しなかったみたいな。

福島:スタートアップには情報がデジタルで完結するような会社特有のスピードってあると思うんですよね。プロダクト改善サイクルとか。そういうのが、やっぱり今やってる世界ではないので、それをやりたいとか、そこの正論を通そうとして煙たがられるみたいな話はありますよね。僕らが絶対善だと信じているものが業界によっては善ではないと。それが善であるということを説得しなきゃいけない。

堀:toCよりもtoBだからそこは違うと。

福島:同じやり方をしても別にうまくいかないなと思いますね。そういう意味で考え方めちゃくちゃ変えてます。最近だとリモートワークとかそんな肯定的じゃなかったんですけど、今回2ヶ月ぐらいやってみて、正直自分間違っていたなと思いましたね。それ含めて色々間違った事してるなという。

琴坂:間違っているって気づいて、すぐ変えるというスタンスですか?

福島:それはすぐ変えますね。

堀:福島さん、今日の番組のために500ページの本を一気読みしていただいたという。

福島:ちゃんと読んではいたんです。第5章だけちゃんと読み終わらなきゃなと思って読みました。

堀:僭越ながら、ご自身の出ているところでも構わないので感想があったらください(笑)

福島:いいですよね。それぞれの人が「当時はこういう考えをして意思決定をしていたのか」というのをすごく感じられて。正解はひとつじゃないし、いろんな考え方があって。僕自身が絶対善だと思って意思決定していたことってひとつの経路でしかなかったんだなというのは改めて客観的に振り返れましたね。

堀:誰のどの話が一番面白かったですかそうですね?

福島:フリルの堀井さんですかね。最後のアンケートのところで熱いメッセージを書いていて、それが起業家としての強さだなって思いました。堀井さんとしてはめちゃくちゃ悔しいと思うんです。だって自分たちが(フリマアプリの分野で)先行していて、時価総額5,000億になれたかもしれなかった。しかも、別にプロダクトの質とかで負けてはいなかったと思うんですよね。経営の力で負けたという経験が、後に彼をものすごい起業家にすると思う

琴坂:「逆にこれ違うだろ」「ここはちょっとな」みたいなのがあればご指摘いただければ(笑)

福島:みんな結果出した人ですからね。個別論で間違っていることがあっても、些細な話ですよね。

売上100億ぐらいはSIビジネスでもすぐ行きそうですが1,000億はかなり時間かかりそうなイメージです。10年20年かけてやっていくイメージですか?

福島:これは結構エグくていい質問ですね。確かにその通りだなって思います。僕の中で一応試していることが何個かあって、スケールするビジネスの裏側を選べれば一緒に伸びていくんです。

たとえば皆さんレガシーと思っていると思うんですけどNRIってセブン&アイ・ホールディングスがまだ全然デカくない時にレベシェア型で裏側の保守システムとか全部作って、売り上げの3分の1ぐらいをセブンで作ってるんです。3分の1は言い過ぎだったかな。

彼らの場合もともと野村證券の子会社から始まってるんで金融領域、証券会社領域が3分の1、小売が3分の1、その他3分の1みたいな感じで、小売3分の1っていうのを作ったのはセブンに賭けたみたいな。僕らもどっかに投資家的発想で賭けるみたいなところはありますね。

琴坂:波にすぐ乗れる場所に待ってるというか、大きなところに参加するにはそこにすぐ乗れるようにずっと見てる必要がある。そこにいるからこそ波が来たときにすぐ入っていける…そういう状況なんですかね?

福島:そうですね。あとどっかでリスクとってますよね。さっきの質問の通り、僕らみたいなやり方だと100億までは早いけど、その規模で結構どん詰まりになる可能性はなくはないと思います。

琴坂:あるタイミングでもっとリスクを取りたいということですか?

福島:実はもう取ってます。アセマネの会社とか自分たちで資本的なリスクを取って作っているんです。ちょっと新しいSIerモデルとかを作りたいなと。要はSIerってシステム納品して終わりなんですけど事業を持つSIerみたいな感じでスケールしていけないかなと思ってて、もしそれが当たったら売上1,000億はいけると思うんですよね。

琴坂:それはいつ頃でしょうか?何年ぐらいで?

福島:10年20年かかると思います。

琴坂:LayerXはどこかに終わりを設定しているのか、それともどこまでも行くというビジョンなのか、LayerXの到達点を見つめられてますか?

福島:分かりやすい指標で世の中のEC化率みたいなのあるじゃないですか。日本だと大体5から7パーぐらいかな? もっと大きく見た時に経済のGDPってあるじゃないですか。それのデジタル化率って何パーセントですかね? これが100パーセントになったらLayerXの挑戦は終わりかなと思います。つまり、終わらないということです(笑)

堀:何歳ですか?今。

福島:32歳です。

堀:終わらないですね。あと40年は続きますね(笑)

福島:それぐらいまで競争力を保ってやっていきたいなとは思っていますね。40年間とか50年間とか。人生100年時代、100歳まで現場にいられるような。

琴坂:挑戦し続けるわけですね。ありがとうございました。

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