スタートアップのチーム崩壊を防ぐ唯一の一手

公開日
2021/04/12
配信者のTwitterはこちら(堀江さん柴田さん
 
みなさんこんにちは。dely CEOの堀江です。Good to Greatでは、スタートアップが成長するためのメソッドや、最新のテック企業の動向などについて話すチャンネルです。本日はdelyの人事責任者である柴田さんとスタートアップのチーム崩壊を防ぐ唯一の一手について話しました。
 

 
堀江 裕介氏(以下、堀江):みなさんこんにちは。今日は第4回目のGood to Greatということで、タイトルとしては「スタートアップのチーム崩壊を防ぐ唯一の一手」です。うちのバリューとかを紹介しながら、それについて話していきたいと思います。
 
今日もまた人事本部の柴田さんを呼んでます。よろしくお願いします。
 
柴田 快氏(以下、柴田):よろしくお願いします。
 
堀江:まあちょっとdelyっていう会社でいうと、結構みなさん良いイメージを持たれてますが、昔はチーム崩壊してみんなやめましたみたいな話はキャッチーだから記事とかで取り上げられやすいんですよね。まあでも結構多くのスタートアップが大なり小なりチーム崩壊したりしてプロジェクトが失敗してるので、そもそもプロダクトどうこうの前にこの辺が上手く行かないと何回もプロジェクトにチャレンジできないというか。ピボットして何回でもやれるようなチームにはならないかなと思って。
 
1回プロダクト失敗したくらいですぐ崩壊するチームってスタートアップとしては全然ダメじゃないですか。10回に1回当たるかどうかだと思ってるんで。(ユニクロの)柳井さんは100回やって1回当たるかどうかみたいな話してたんで、それぐらいプロジェクトの成功確率が低いからこそ、やっぱりチームの崩壊を防ぐっていうのが非常に重要かなとは思ってるんですけれども。
 
そもそも僕らのチームというのは、僕が最初にこの会社を作ったときに(CTO)大竹君を誘ったんだけど、大竹くんは同じ大学の同級生だけどそもそも1回も会ったことなくて。
 

delyはあえて友人とは起業しなかった

 
柴田:なんかメッセンジャーをいろんな人に送りまくってって感じでしたよね確か。
 
堀江:Facebookのメッセンジャーでいろんなエンジニアの人にめちゃくちゃ連絡送って、その中で一番最初に返ってきたのが大竹くんだったというだけで。たまたま横の駅に住んでて、同じ授業に出たことあって、その同じ授業っていうのもすごくて。その時クックパッドの佐野さんが授業来てたりしてて、その後2人でたまたまインターネット業界の話になり、彼が僕のブログを読んでたので「じゃあ会ってみよう」ってなって会ったんだけど。
 
結局その後入ってきて今残ってるメンバーでいうと柴田さんとか結構古いメンバーだと思うけど、当時いたメンバーも今いるメンバーも、僕1人も創業するまでの知り合いを1人もチームに入れてないんだよね。
 
柴田:僕も入社する1,2年くらい前に会いましたけど、その時堀江さんはdelyを始めてましたもんね。
 
堀江:柴田さんが起業してたときにお互い起業家として会って、それこそ前田ヒロさんのオフィスで行われたイベントで会いましたね。その後に柴田さんは1回P&Gに行って、またdelyに入ってもらってるから、実際は本当に起業を通して出会ってる人たちでしかチームを作ってないんだけど、これには1個理由があって。
 
もともとの知り合いを誘っちゃうと、あまりにもアンフェアな意思決定をしちゃう。「あの人仲良いし、ちょっと能力ないかもしれないけど上にあげなきゃいけないから」みたいな、そういうの嫌なんだよね
 
だからそういうのは一切やめようっていうのは1個ありました。そういうふうに寄せ集めのチームを僕らはどんどん作っていって。
 
柴田:もともとdelyに20人くらいいたって聞いてたんですけど、僕が入ったときにはもう、堀江さんとたけさんともう1人が辞める予定っていうタイミングのときに入ったので、いわゆる崩壊したみたいな話を結構聞いてましたけど、その後に来た感じですね。実際、崩壊というのはどんな感じだったんですか?
 
堀江:良いことしか覚えてないから正直あんまり覚えてないんだよね(笑)
 
まあでも、人が辞める前日の夜に「堀江さん、明日ちょっと時間とってもらっていいですか?」って言われて「ああ〜また来た」みたいなのと。
 
当時シャレー渋谷っていうマンションにいたから、辞める際は前日に連絡がくるか、「ちょっと外で話したことあるんですけど良いですか」って言われて、外のベランダに呼ばれてIKEAの古い椅子みたいなのに座って喋ってた。
 
でもなんだろうね。当時チームが壊れて、もちろん1個ビジネスが失敗したってのもあるけれども、そこまで深い人間関係ではなかったというのはあるかもしれない。
辞めたメンバーも、今になってすごい仲良いんだよね。前もうちの経営合宿に来てもらったりとか。
 
柴田:結婚式あるとみんなそこで集合してみたいな感じで。
 
堀江:いまだに飯食ったりするんだけど、当時はそんなに人間関係良くなくて。まあもちろん、みんな多分ギラついていたから。
 

堀江さんと柴田さんの出会い

 
柴田:そうですね。僕も堀江さん覚えてるかわからないですけど、誘われた時の初めの言葉は人事的なところを繋げてくれっていう話だったんですよね。
 
堀江:そうそう。なんか誘おうとしてたんじゃなくて、柴田さんが元々やってたスタートアップがあんまり上手くいかなかったんだけど、傍から見てて人間関係すごく上手くいってそうだなと思っていて。
 
チーム崩壊して毎日辞める連絡がどんどん来てた時に、たまたまFacebookの上の方に柴田さんの写真出てきて、「ああ、こんな人いたなあ。1回会ったな」と思って。ちょっと連絡してみて、なんでこの人たちこんなビジネス上手くいってないのにチームは割と上手くいってるんだろうみたいに思って聞いたんだ。
 
柴田:そうですね。その時僕もちょうどP&Gにいてどうしようかなと思ってたときに連絡きて、そこでもう決めた感じだった。で、いざ入ってみたら結構ピリついてましたね当時の空気(笑)
 
堀江:それだけは覚えてる。その日は鮮明に覚えてて。普段あまりにオフィスも汚かったし空気悪いから外で面接してたんだよね俺。わざとオフィスを見せないようにしてたんだよね。
 
でも柴田さんがオフィス行ってみたいって言うから「うわ最悪だ」と思って連れてきた。そしたら逆に柴田さんは、P&Gもすごい良い会社だけどもっとひりつきたい時期だったと。それでオフィスを見たらひりついてたから入っちゃったと。
 
柴田:「そうそうこれこれ!こんな感じや!」と思っちゃったっていう(笑)
 
堀江:アホやん(笑)
 
あんなに適当に入って、会社が成長したからよかったけどあれで会社クラッシュしてたら親とか悲しむね。せっかくP&G入ったのにみたいな(笑)まあそういう感じで柴田さんが入ってきた。
 
僕が1番最初に柴田さんに任せた仕事思い出した。出社初日に「チームで合宿するから来てくれ」みたいな。
 
柴田:来てくれっていうか、合宿全部ファシリテートしてくれって。誰も知らないのに初日にそれやれって言われて、スタートはそこからでしたね(笑)
 
堀江:そうだね。チームの中心メンバーになって欲しかったから、早めに巻き取って欲しいなと思ってやったんだけど、どんな感じだったんだっけな?
 
CTO大竹さん号泣事件
柴田:そのときの合宿で覚えてるのは大竹くん号泣事件(笑)
 
1日目の終わりとかにみんなでお酒飲みながら火を囲って、自分たちが思ってること全部喋ろうみたいな時間を設けて話し始めたらみんなどんどん出てくるようになって。その場にいた人の半分以上が号泣してて(笑)そこからスタートしたって感じでしたね。
 
堀江:自分の弱さとか、自分の犯したミスとか、お互いが積もり積もったスタートアップの失敗してる時期にある不安な話とかが結構出てきて。
 
今だとすごい泣き虫なの知ってるけど、当時は大竹君が泣くなんて、全然感情なんて見せないから「えっ!?大竹泣いたんだけど」みたいな(笑)それで周りがつられたんだよね(笑)
 
大竹くんが「辛かった」って言ったんだよね。
 
今でも辛い時は辛いんだけど、「辛かった」って言えたことが結構重要だったんだよね多分。1人で抱えちゃってたんだろうね。
 

delyのバリュー "Heart to Heart" の起源

 
柴田:そうそう。だから弱みとかをちょっと見せたりして、自分の本当に思っていることを言うみたいな感じの一歩目だったのかもしれない。そこから僕らは「何か思ったらすぐ言おう」みたいなことを大事にしてきた感覚がありますね
 
堀江:そのときから柴田さんがずっと言ってた言葉がHeart to Heartで。それが今のバリューの1個になってるんだけど、当時結構冷やかされてたよね(笑)
 
柴田:冷やかされてたし、バリューになるの恥ずかしくてやめてほしいと言ったくらい(笑)
 
堀江:Heart to Heartって、ちゃんと心と心が通じ合っていることみたいな話だと思うんだけど、これってもともとP&G時代に先輩が...?
 
柴田:そうそう。上司が言ったことなんで全然僕が作った言葉ではないんですけど、すごい仲良くさせてもらった先輩が言ってて。delyに入ってきて結構それが必要だと感じ始めたので、もうずっと言い続けてたっていう感じですね。
 
堀江:それはP&Gの中でみんなが使ってる言葉なの?
 
柴田:いや、日本人の上司とシンガポール人の上司が一緒に仕事してて「僕らはHeart to Heartだもんね」みたいなことを言ってたっていうのを聞いただけなので、全然P&G全体で使ってる言葉とかではないんですけど。そこから使うようになって、なんか僕のキャラみたいな感じになって始めは冷やかされてたっていう(笑)
 
堀江:そうだよね。でもまあ、当時から柴田さんに課されてたミッションは人間関係、ちゃんとみんなを繋ぐっていうことで。当時から僕も課題に感じてたんで、「やばいな」と思って柴田さんに頼んで入ってもらった。
 
僕らも最近もずっと話してるけど、結局人間関係が良いチームって別に楽しいだけではないんだよねという。僕はよく登山にたとえて言うんだけれども、まず登ってる最中に苦しいのは苦しいんだけど、その苦しみを共有して楽しめる、感情を共有して楽しめるチームだとすごい良い思い出に残るから、登山した後に「成功しました!」って一緒に喜べるチームかどうかって1個重要だよねって言ってる。
 
柴田:結構よく話すのが、めっちゃ金持ちになるとか、サービスがめちゃくちゃ有名になるかわりにチームは殺伐としてるみたいなのはマジで嫌だよねって話。やっぱりハッピーになるためには良いチームであるとか、一緒に喜べるみたいなものが大前提の絶対必要な条件となっている感覚がうちの中ではありますよね。
 
堀江:そうだね。「IPOしたい」みたいなのが優先されてるわけじゃなくて、それは社内の会話でもほぼ出なくて。別にそこを目的にしているというよりかは、挑戦している時にちゃんと楽しいチームで良いよねとか、その方が僕らの幸せの基準に合ってるよねって話と、あともう1個は結構感情の話で。そういうチームの方がおそらく、仮に雪山登山をしててものすごく険しい状況になったとしても助け合えるし、誰かがミスしても許せるし、誰かの顔を見るとこいつの為に頑張ろうって力が湧いてくるみたいな話で、プロジェクトの成功確率が圧倒的に高まるよねっていう2点があって。これを僕らは昔から信じてる
 
普段経営しているチームの中でどういうふうに使われているかというと、まず結構やるのが、何か問題が起きた時とか「あの人ちょっとなんか違和感あるな」とか「あの人僕のこと嫌いなんじゃないか」とかなんかあるじゃん。寝るときにちょっとモヤッとすること。そのモヤッとをすぐ解消する文化みたいのができたよね。
 
柴田:誰かが(言うか言わないか)迷っている時はそれ直接本人に言いなよっていうのはかなり多いですよね、うちの場合は。直接部屋で話しづらければ、外歩いてでも話してこいぐらいの感じで。
 
話してみると大したことないってこと、結構多いじゃないですか。でもそのモヤモヤをぶつける時の心理的ハードルってすごく高くて。社内で一定の信頼関係がないと、多分言い出すのはすごく難しいと思うんですけど。
 
堀江:話すと意外と本当にどうでもいいことがあるのは、人間って寝る前に「なんかちょっとモヤっとするな」みたいなことを考え始めると、どんどん変な方にミスリードして考えちゃったり、「あの人もっとこんな悪いこと考えてるんじゃないか」みたいに考えるんだけど、翌朝普通に話してみると全然普通になんかもっと違う事情があったり。
 
「なんか最近あいつ暗くない?辞めんじゃね?」みたいな。そういうことがあっても、実は話してみたら彼女と別れちゃいましたかもしれないしい、お父さんが病気になっちゃったかもしれない。そういう話もあるから、なるべく問題を大きくしないうちに話せる人間関係を保っておくことと、何かあった時にすぐ話すという文化を今も実践し続けてるよね。
 
柴田:そうですね。だから普段そういうのをしない人にとってはちょっとびっくりするぐらいいちいちちゃんと話す会社かもしれないなという気はしますね。
 

Heart to Heartのコミュニケーションがチーム崩壊を防ぐ

 
 
堀江:最初のテーマにもあったけど、端的に言うとスタートアップのチーム崩壊を防ぐ唯一の一手というのはHeart to Heartのコミュニケーションだって話なんだけど今日は。
 
過去僕らはそういうことが結構ある。結構あるというか無限にある。毎日のようにある。
 
柴田:それこそ「堀江さんのこれめちゃくちゃ嫌やわ」みたいなこととか、家がめちゃくちゃ近いからすぐ近くの川で話すみたいにやってたし、他の人に対しても何か悶々としている人がいたら、あえて嫌だろうけど無理矢理話させちゃうとか、そういうのはすごくあった。
 
堀江:でもさ、話して最終的に嫌な気分になったこと1回もないんだよね。
 
柴田:本当ですね。これは本当にもう、絶対に話した方がハッピーエンドが待ってるんですよね。
 
堀江:絶対待ってる。結局この成果って目に見えないんだよ。なぜかと言うと(チームの崩壊を)防げてるから。退職率が何%改善しましたとか分からないんだけど、俺の感覚ではめちゃくちゃチーム崩壊を防いでるし、マネジメントの崩壊も防いでるし、退職も防いでる気がしていて。勝手な思い込みとかなくなるから、すごいハッピーなチームの基本的な考え方なのかなっていう。
 
実際、大竹君が最後辞めそうになったときも最終的には柴田さんが「話した方がいいんじゃない」みたいな。
 
柴田:はい、そうですね。僕入って2ヶ月くらいで、1人しかエンジニアいないのに辞めるって言い始めたからこれは本当にヤバいぞってなったんで、たけさんと個別でご飯行っていろいろ話しましたねその時は。
 
堀江:そもそも僕と大竹君は一緒に何年もやってたけど、一緒にご飯行ったことがなかった。
 
柴田:なかった(笑)仲悪かったですもん結構(笑)
 
堀江:今は普通に遊ぶし、プライベートの相談もするし、一緒に2人でこの前スノボ行ってきたし、仲良いけど(笑)
 
でもあれがまず1回目のHeart to Heartでチームの崩壊を防いだ事例だよね。堀江 vs 大竹っていう。バーサスすらしてないんだよね別に、無関心みたいな。
 
柴田:無関心。いや、まあお互いちょっと嫌いまで行ってましたね(笑)
 
堀江:まあまあそうだね(笑)お互いにちょっと信頼関係がないみたいな状態。
 
何か他にもクイックに話してトラブルを防ぐという今の話とともに、結局信頼関係があれば率直なフィードバックできるから改善にもつながるよねって話があって。
 
嫌なことだけじゃなくて、たとえばこの人に「こうやったらもっと上手くいくんじゃないかな」とか、僕に対しても「堀江さん、ああいう話し方良くないからこういうふうに話した方が良いよ」って言ってもらえる社長ってすごい成長するじゃん。言ってもらえない社長が結構多いじゃん。
 
いかにそう言ってもらえるようなキャラ設定をちゃんと作っておくかが重要。柔軟性のある人なんだなって思ってもらえるか。
 
これは普段から結構柴田さんがやってる気がするんだけど、柴田さんの主な仕事って、1日の3分の1から半分くらいで結構いろんな人と1on1したりしてるじゃん。率直なフィードバックをしてるんでしょ?
 
柴田:そうですね。マジで嘘つかないで、とりあえず思ったことを本当に全部伝える。採用とかでもそうなんですけど、それは絶対するようにしていて。信頼関係がないとだめだと堀江さんも先ほど言ってましたけど、言っても大丈夫だって相手にも思ってもらわないといけないというのも結構重要なことだと思うんで、常にそれは許容しますっていうカルチャーを発信すること、自分にも言ってもらって大丈夫だよって言いながら、できる限り思ってることを全部伝えることというのは本当に普段からやってますね。
 

チームランチは率直なフィードバックにつながる

 
堀江:最近僕と柴田さんが始めた各チームとランチするっていうのがあるけど、相手と話しただけでチャーミングなところあるなとか見えてくる。あれがあることによって、今日ご飯食べた2人に率直なフィードバックがしやすくなったんだよね。
 
柴田:その2人からしても(堀江さんに対して)しやすくなってるはずですよね。
 
情報のブラックボックスを消していくことで信頼を醸成する
堀江:なってるよね。今回おたがいの趣味がわかったから、「じゃあキャンプ行こうぜ」ってキャンプで話したら、多分嫌なことあったら「いや堀江さんあれはマジでないですよ」みたいなことをあっちから言ってきてくれるじゃん。
 
「あれはないですよ」って言ってくれるってことは、「ウザいな。辞めよう」「ウザいな。なんか反乱を起こそう」の前に、「堀江さんウザイから堀江さんに言おう」で済むじゃん。めっちゃ簡単に済むのに、なんか大事になる。これがないと大事になってしまう。
 

Heart to Heart には受け手の心構えも重要

 
柴田:Heart to Heartを実戦するときにすごく重要なこととしては、言う側もすごく勇気いるんですけど、受け手の度量みたいなのがめちゃくちゃ重要なので。
 
今日話している中でも、堀江さんが「何かあったら言ってね」って言ってますけど、それによって率直なフィードバックを受け入れられるよって見せてるのも結構重要。
 
多くの人が言われると結構嫌になっちゃったりするじゃないですか。こいつ言ってきやがってみたいな。受け手がちゃんと受け入れるっていうのも、これをワークさせるすごく重要な要素だなって思いますね。
 
堀江:確かに。言われた時に、「大事になる前に言ってくれたんだな、ありがとう」って思えることだよね。
 
柴田:そうそうそう。
 
堀江:これには全幅の信頼を置いてほしいんですけど、完全に、「この人の成果が上がって、より評価されてほしい」と思ってるから言ってる。そしてお互いにハッピーになりたい。
 
柴田:そこまで想像して、「嫌だっただろうにありがとう」ってちゃんと思えるというのが良いサイクル作るための受け手側の心構えなのかなと思いますね。
 
堀江:だから受け手に度量がないように見えると言いづらい。
 
柴田:うちの会社の人ももちろん聞いてくれてると思うのであえて言うと、何かあったら本当に全部言ってほしいですよね、うちの場合は。フラットにフェアにやりたいから。
 
堀江:言ってほしいけど、やっぱりどんどん会社が大きくなっちゃたり、僕がコミュニケーションから遠くなったりすると、より言いづらくなると思うからランチとか誘ってる。
 
あのランチ、前日ぐらいから僕も面白いこと言えなかったらどうしようとか結構緊張してるから(笑)
 
カジュアルにコミュニケーションできるチーム最高だよねって今日も言ってたじゃん。別に深い意味はないんだけど、コミュニケーションラインを作ることで問題が起きた時すぐ報告してくれたり。
 
あと、エレベーターの中で会った時になんか気まずいみたいな人が1人でもいなくなれば最高のチームじゃん。「またあの人と会えた!またあの好きな人と会えた!」って状態に全員があるみたいなの最高じゃん。そんな会社だったら行きたいじゃん。嫌な人とか気まずい人とか1人でもいたら行きたくないじゃん。行きたい度高めたいじゃん。
 
柴田:そうですね。コロナでそういうの本当に加速してますよね。距離感というか。
 

dely社内でアクセスできない情報はほぼない

 
堀江:だから結構うちの会社って、感情的な部分のワクワクっていうのが、「チームの人のこと好きです」とか「この人のために頑張りたい」とか「みんなのために頑張りたい」とかそういう思いっていうのがプロジェクトの成功確率を高めるのを信じてる会社だし、お互いの信頼関係があるほど良い方向にすべてが向かうっていうのを信じてるからHeart to Heartを重要視してますという話だね。
 
なんかもう1個、すぐ話すっていうのもあるんだけど、情報の透明性が信頼を生むっていう話もあると思っていて。結構これはここ数年で意識してるよね。
 
具体的に言うと、経営会議の議事録を取ってもちろん共有するし、全ての会議を最近は全部収録して、いつでも誰でも見れる状態にしとくとか、基本的にこの情報の透明性がないと不信感を生むよね。俺だけが知っててみんなは知らないとか。上司だけ知っててみんな知らないことがあるとか、この情報のブラックボックスを1つでも消していくことが信頼を生む
 
柴田:うちのなかでもオープンチャンネルとか、プロセスから見せるみたいなところは正義として捉えられているところなんで、多分人によってはびっくりするくらい情報が多いというか、アクセスできる情報が相当多い。
 
堀江:隠してる情報がほぼないよね。給与くらい。
 
柴田:人の話とか人事系の話ぐらいで、他は本当に極力出している感じなので。
 
堀江:そうだね。給与ってオープンにして嫌な気持ちになる人もいると思うから、だから評価とかはすごい情報に気をつけているんだけど。人事どういうふうに異動させるかみたいな話をあまりにもストレートにやらせると傷ついちゃう人もいるから、それはやらなくていいけど、それ以外の事業に関わる情報とかは基本的に全部公開だよね。
 
だからこういうのをなくすことで、一個一個のみんなの信頼を生んでいこうと。だからあれかもね、これだけじゃなくて普段から挨拶しようねとか、すれ違った時もスーって通りすぎちゃう組織よりは「どう元気?」みたいな会社でありたい。
 
あとはGoogleの本にも書いてあったけど、「電子レンジを汚した人がちゃんと片付けるのは当然で、そういうのができないのは悪党だ」みたいなのをGoogleですら書いてるんだけど、結構そういうのを大事にできない会社にしたくないなって思いが強くて。
 
柴田:さっきの話で、Heart to Heartを片方だけ意識したとしても受け入れてくれないわけじゃないですか。誠実さがない人って。そのサイクルを止めたくないから、きてもらう人には絶対そこを求めてる。
 
堀江:失敗してしまったときも言ってもらえれば全然OKじゃんうちって。というか、むしろみんなで褒める文化じゃん。最近もなんかソファにこぼしちゃったみたいな話があるじゃん。ああいうのも全然良くて、すぐ報告してくれればすむ問題。
 
柴田:まったく問題ない。気持ちよくみんなが掃除できますって話だし。
 
堀江:そうそう。さっきの登山の話にたとえると、1人でもチーム内に情報を隠してそうなやつとか、誠実さに欠ける人がいると何かそこからヒビが入ってチームが割れるんだよね。
 
柴田:どれだけスキルがあっても、そういう人は長期目線で見ると大きなガンになってしまうというのはあるなって。結構昔から僕らの採用基準というか条件みたいな話をよくしているところだと思うんですけど。
 
堀江:これは本当にずっと言ってますね。「採用基準なんですか?」って言われたら、ちょっとこれはまた別のパートでも紹介しようと思うんだけど、いろいろあるんだけどそのうちの1つが「今日この面接終わった後にこの人とご飯行こうってなったときにワクワクしますか?ワクワクしませんか?」。
 
あるじゃん。予定の30分前になって「うわ〜行きたくねえ〜」みたいな(笑)
 
そういう人なのか、会いたいなと思える人なのか。それって多分コミュニケーション能力とかじゃなくて、愛される人なのかとか、すごい笑顔が素敵で元気くれる人なのかもしれないし、なんかいろいろあるじゃん。
 
柴田:なんかめちゃくちゃノリが良くてみたいなそういう話じゃなくて、普通にこの人だったら一緒に行きたいなと思える。おとなしい人とかももちろんこの中に入ってるし。
 
堀江:その人の個性を愛せますかって話だと思ってて。いろんな個性あるけど、ちょっとこの個性はどうなのみたいな人もいるわけじゃん。それって経歴書には書いてなくて、話してみないと結構わかんないんだよね。
 
たとえば自分の話が長すぎるみたいなところもそうかもしれないし、あまりにも言葉遣いが良くないみたいな話もあるかもしれないし、人を傷つけちゃいそうなパーソナリティだよねとか、批判的かもしれないとか、それって履歴書には一切書いてないから。
 
やっぱり、一緒にディナー行く時にワクワクするかみたいなのは結構(採用基準として)合ってるよね。Googleもやってるよね。エアポートテスト。
 
 
出張前に飛行機が止まってしまいました。その時、隣にいた人と1日街で過ごさなければなりませんと。まあ夜飲んだりとか想定できるじゃん。その後ホテル帰って泊まらなきゃいけないけどどういう気持ちですか。気まずければアウト。ワクワクしてたらOKみたいな。これと一緒だよね。
 
うちのチームって今どんどん増えてるけれども、どれだけ増えても時間余ってるんだったらみんなとご飯に行きたい。
 
これは結構良くも悪くもあると思うんだけど、僕らは辞めたメンバーとも未だに仲良くて。僕もしょっちゅう遊んでて。関係ないじゃん。そういうチームを作っていくことが、世界一の時価総額を作る会社よりもまずは大事だし、それがないとそもそもそこまでいけないと思ってるから、僕らがこのHeart to Heartという言葉を重要視しているのかなと思います。言葉というよりはバリューだね。
 
スタートアップがチームの崩壊を防ぐための唯一の一手というのは、コミュニケーションをちゃんととろう、Heart to Heartで話そう、採用基準ちゃんと作っていこうという話でした。
 
ぜひ、こういうカルチャーではあるんですけど、delyの話聞いてみたいという方がいればぜひぜひ。今全職種、本当に全部募集中なので。
 
柴田:もし会社に来ていただけるなら感じていただける気がします。みんな本当に挨拶してくれるし。
 
堀江:この規模になってみんなちゃんと挨拶してくれるのすごいよね。最高だなそれは。
 
ということで、今日はうちのカルチャーの紹介をしたんですけど。まだいくつかバリューがあるので、なぜそれを大事にしてるかとか、それをどういうふうに実践してるかみたいな話をまたできればいいと思います。今日はありがとうございました。
 
※この記事は配信者の許可を得て公開するものです。
 
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