未踏に採択された10代のタッグが作るhidaneは、ブレストをゲーム感覚で楽しませる
公開日
2022/03/15
著者
サマリー
チームで楽しくブレストできるサービスの『hidane』がユーザー数を伸ばしている。hidaneではチャット感覚でアイデアを出し合うことができ、詰まった時にはAIがアイデアのヒントまでくれる。リリースと同時にTwitterで1,200RT以上のバズを生んだ。
手がけたのは、未踏にも採択されている10代のクリエータの2人だ。

チームでブレストをした経験がある方は多いだろう。よくあるのはホワイトボードにアイデアを書き出したり、色分けした付箋にアイデアを書き出して整理したり、最近だとSlackにどんどん投稿したり。対面で話しながら行うホワイトボードや付箋を使ったブレストはアイデアが出やすいし、Slackでのブレストはリモートが主流になった今、採用している企業も多い。
今回紹介する hidane は、ブレストに特化したツールだ。チャット感覚でアイデアを出していき、色分け機能やリアクション機能を使いながらアイデアを分類し、ディスカッションを生産的なものにしてくれる。さらに、煮詰まった時にはAIアシストボットが連想を広げて提案してくれる。
今年の2月にリリースされたばかりだが、その反響は凄まじく、Twitterでは1,200RTを超える反応があった。しかもそのどれもが肯定的なものだ。
ブレストに特化したツールだけあって、これまで代替的に使われていたツールよりも格段に使いやすい。既存のオンラインホワイトボードツールはユーザー登録が必要だったり、付箋のサイズの調整などが面倒だったが、hidane ではそのどちらも克服している。ブレストしたくなったら誰か1人が hidane を立ち上げて、招待URLを貼れば次の瞬間にはすぐにブレストを行うことができる。
すでに数多くのユーザーを抱えているようで、ユーザー層も個人から学校法人、企業など幅広い。
ここまででも十分魅力的だが、さらに hidane の魅力を引き立てる事実がある。なんと、これを作ったのは10代の若者2人だ。19歳の野崎氏と18歳の三橋氏は、IPAの「未踏IT人材発掘・育成事業」にも採択されている。
インタビュー
(以下、野崎氏)
2人はきっと素晴らしいチームなのだろうと感じるが、どうやって知り合った?
私たちは子供たちにプログラミングを教えるという活動をしていて、そのイベント会場で3年ほど前に出会って仲良くなりました。私が高校2年生で、三橋が高校1年生の頃ですね。
コロナ禍になってから、一緒にサービスを作ろうという話になって、2020年の4月くらいからチームを組んで開発を始めました。最初のうちは短期間で作ったミニサービスを複数出していましたが、今回の hidane は初めて1年ほどかけて開発しました。
開発に1年かけたとのことだが、本格的に開発する前に事業性の検証はしたか?
はい。まずはプロトタイプを作って、知り合い10人程度に使ってもらいました。「チャットのようなUIにすることで本当にアイデアは生まれやすくなるのか」を検証したかったので、「チャット感覚でブレストできる」だけのMVPを作りました。
hidaneの大きな特徴の1つに、ポップなデザインがあると感じる。何か参考にした?
Webサービスやアプリ、ゲームのUIも参考にしています。
hidane ではアイデアが出しやすい雰囲気を作りたかったので、楽しくかつリラックスできるというコンセプトでビジュアルのデザインを行いました。
どうやったら「楽しさ」などをデザインに落とし込めるか。表現力不足も感じ、なかなか苦労しました。
「楽しさ」の表現について考える中で、Webサービスなどだけでなく、人に楽しんでもらうという特徴を持つゲームのUIからも学べるのではないかと思ったんですね。そこで、スプラトゥーン(任天堂株式会社が開発)やFall Guys(Mediatonic社が開発)などの複数のゲーム作品のUIを参考にしました。
例えば、全体が硬い印象にならないように形や色を工夫したり、アイデアの個数や残り時間をポップアップで楽しくお知らせするようにしたりしました。

1番多いユーザー層は?
社会人や学生など、幅広い層に使われています。企業での企画に使われるだけでなく、学校の授業でも使われているようです。
学校というのは大学以外でも?
はい、そうですね。中学校や高校でもご利用いただいています。授業中に、意見やアイデアを出し合う目的で使われているようです。
三橋が在籍しているN高等学校でも、公開前にリモート授業と対面授業にて、1,200名ほどの生徒さんに使っていただきました。
ユーザー数はどれくらい?
3月上旬には、ユーザー登録数が6000人を超えました。公開から1ヶ月くらい経つのですが、今でも毎日100人〜200人くらいのペースで順調に増えています。
有料化は考えているか?
公開直前までは、公開と同時に有料プランを提供することを考えていて、Stripeを導入して決済機能も実装していました。
しかし、初期は無償で提供することで hidane を多くの人に使ってもらい、フィードバックをもらって改善することで、より良いサービスにしたいと考えました。また、色々なシーンで使ってもらうことで、自分たちでは想像もしていなかった新しいユースケースにも気づくことができます。なので、現時点では無償ですべての機能を使っていただけるようにしました。
今後は、多くの人に使ってもらう中で得られたフィードバックを参考にして、様々な改善を重ねていきます。未公開の機能には、GPT-3(深層学習を使用して人間のようなテキストを生成する高精度のAI)を使ってアイデアの幅を広げてくれるものなどもあるので、こういった機能の公開もしていきたいと考えています。
おそらく、スタタイ読者の皆様にはブレストする機会が多いと思われるので、以下のリンクからぜひ一度使ってみていただきたい。