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スーパーと変わらない価格で、注文された商品を20分以内に届けるMesh。その安さの秘訣を聞いてみた

日付
2022/04/12
Mesh:ダークストア型スーパーマーケット
Mesh は食品・飲料・日用品を主に取り扱い、ユーザーはスマホアプリで注文すると20分以内に商品が届く。今年の夏を目処に、東京23区内からサービスを開始する。
 
ダークストアとは、ECで販売された商品の物流拠点である。商品はあるものの消費者が入店して購入できる場所としては使われず、デリバリースタッフがピックアップするための拠点として使われる。
 
コロナ禍も後押しして、海外では創業約1年以内にユニコーンも複数生まれている領域だ。
 
Meshとはどんなサービス?
 
「アプリで注文したら20分以内に商品をお届け」するデリバリー専門スーパーです。食品・飲料・日用品を主に取り扱い、ユーザーはスマホアプリで注文すると20分以内に商品が届きます。
 
Image credit: Mesh
Image credit: Mesh
 
━━━ 取り扱う商材を拡大する予定はあるか?
 
どこかのタイミングで拡大する可能性はあります。ユーザーが求めるものを注意深く見た上で、商材を拡大すべきなのか、それとも異なるUXを作っていくべきなのか。たとえばクラシルさんのように、レシピ機能を設けてそこから注文できるようにするとか。まだまだ未定ですが、一案としては考えています。
 
また、パン屋さんやコンビニさんといった様々な小売店にquick-commerceを実現できるソフトウェア・物流機能をas a Serviceとして提供することも検討しています。
 
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マネタイズはどうしている?
 
私たちの売上は大きく2つで、商品価格と送料です。
 
私たちは商品を食品卸様から仕入れているので、原価を抑えることができ、手の届きやすい価格を実現できます。フードデリバリーなどのプラットフォーム型だと、行っていることは「買い物代行」なので、利益を得るためには小売価格より高い金額で販売せざるを得ません。
 
もちろん買い物代行にはダークストアよりSKU(商品の選択肢)が多いため、また違ったメリットを享受することはできますが。
 
私たちは食品卸様から野菜などを仕入れているので、小売価格を提示しても粗利が生まれるようになっています。
 
さらに、私たちは倉庫を自社で持っています。この運営費用が一般的なスーパーと比べてざっくり3分の1程度になっています。
 
━━━ 3分の1になるのは、人件費などがほとんどかからないから?
 
そうですね。
 
まず、物件自体も安くすむんですよ。来店客のことを考慮しなくていいので、2階や地下でもよかったり、駅前じゃなくてもよかったり。
 
さらに、内装も安くすみます。実店舗型のスーパーって冷蔵庫や什器や棚などをすべて特注して作ってるんですよ。たとえば魚を並べている冷蔵庫ですが、もちろん物にもよりますが、あれは1個当たり1,000万円くらいします。特注しているから本当に高いんですよ。
 
私たちはそれらすべて既製品で十分なのでかなりコストを抑えられますし、必要人員も3分の1ほどに圧縮できるので人件費もかなり抑えられます。
 
デリバリースタッフはUber Eatsのようなギグを考えている?
 
いえ、現状は2つの理由からシフト制で考えています。
 
1つ目が、おそらくシフト制の方がコストを抑えられると思っているからです。フードデリバリーはお昼時に需要がピークを迎えて、しばらく凪の状態が続き、晩ご飯の時間帯にまた需要がピークを迎えるんですね。
 
Uber Eatsはこういうピーク時に報酬を上げることで配達員を増やし、需要が下がれば報酬も元に戻すということをやっているんです。
 
一方でスーパーの需要は、世代間で差はあれど、おしなべて見るとあまり極端なピークを迎えることはないんです。なので予測しやすいですし、配達員の人数コントロールもそこまで過敏に行う必要がないので、シフト制で十分対応できると思っています。
 
2つ目が、私たちはまだまだ初期のスタートアップであるため、まだまだオペレーションを磨き込まなければならないからです。ギグ形式で不定期で入られるよりも、一定期間しっかりコミットしてくれるシフト制の方がオペレーションを磨き込みやすいんですよね。
 
しかし、将来的にはコストの観点でやっぱりギグの方が良いとなる可能性は否定できないので、常に検討はします。
 
━━━ 災害などが起きて、想定外の需要が発生した時にシフト制で対応できるのか?
 
それは一定やむを得ないことだとは思っています。ギグでも同じことが起きていて、いくらギグだろうと大雪の日なんかはものすごく遅延します。もちろんギグの方が調整はしやすいんですが、どちらにせよ天井がある。
 
シフト制の場合でも配達員のプールは用意してあるので、ある程度の融通は効きます。アルバイトが「今日入れる?」って急遽お願いされるのをイメージしていただけるとわかりやすいですね。
 
それでも足りない場合は、ロジクエストさんやCBcloudさん、エコ配さんなどの配達機能を外部に提供しているサービスを利用させていただく可能性もあるかもしれません。
 
「23区内なら20分以内で届ける」と掲げているが、そのための最適な拠点数は?
 
綺麗に配置すれば最小限の拠点数ですむのですが、どうしてもそれは不可能な話で。範囲が被ってしまう部分はありますが、だいたい40店舗くらい配置すれば「23区内なら20分以内で届ける」ことができますね。
 
Image credit: Mesh
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━━━ この拠点作りはゼロから開拓している?
 
はい。地道に不動産を探しています。
 
物件に空調がついているかどうかなどで結構値段が変わってくるのですが、だいたい1拠点を整備するのにショットで数千万円ほどかかりますね。家賃は港区でしたら月に数百万円を覚悟しないといけませんが、文京区とかでしたら月に数十万円くらいで借りれたりします。
 
━━━ イオンなどの実店舗と提携して物流拠点として使わせてもらったりはしない?海外ではWhole Foods Market の実店舗からAmazonが配送しているという話もあるが。
 
日本でも、Amazonさんはライフさんなどと提携して実店舗から発送していますね。
 
しかしこれ、オンデマンドデリバリーで素早い配送を実現するのは難しいんですよ。実店舗にデリバリースタッフが入り込むとなると、お客様をかき分けながら在庫を取らないといけないから少し厳しい。
 
さらに実店舗と提携するとなると、コスト上の問題もあります。実店舗を運営するための人件費や華美な内装などのコストは商品に乗っているんですよね。私たちはそれがないのでコストを下げられており、デリバリーという重い原価が乗ってきても小売価格を実現できる。一方で、実店舗はそのコストが圧縮できないのでどうしても高くなってしまう。
 
実店舗と提携することで少々コストが高くなったとしてもユーザーに受け入れられる可能性はありますが、初期においてはコストの観点から提携は積極的には考えていないですね。
 
Meshが失敗するとしたら、どういうシナリオで失敗すると思うか?
 
自分たちのサービスの話と、競合の話の2つがあると思っています。
 
自分たちのサービスについて、単に力不足ということもあり得ると思うんですが、それはすべてのことに当てはまるので一旦置いておくとして。
 
まず1つ目に、緻密にロジックを組み立てて収支を計算しているとはいえ、カート単価に関しては正確な予測が難しいと思っています。実店舗と異なり、クイックコマースのカート単価に関してはあまり実績値がないためです。
 
スーパーのカート単価ってだいたい3,000円くらいなのですが、Meshユーザーのカート単価も3,000円くらいになるのであれば私たちは黒字化できるというエコノミクスになっています。
 
実店舗型のスーパーって、ガリガリ君を1個だけ買われたとしても赤字にはならないんですよ。しかし私たちには配送原価がありますから、ガリガリ君を1個だけ買われてしまったら赤字になってしまいます。なので、カート単価があまりに低い場合はエコノミクスが成立しないリスクはありますが、この辺りの設計は腕の見せ所だと思っています。事実、エコノミクスがポジティブになっている海外のダークストアサービスもありますしね。
 
競合の話をすると、この領域にはかなりの大手資本が入ってきています。Uber Eats、DoorDash & Wolt連合、Coupangなどキャッシュがふんだんにある会社がいくつもあります。この事業はキャッシュがかなりかかるビジネスなので、その観点では彼らが有利とも言えます。
 
一方、事業成長 × エクイティの掛け合わせにより、キャッシュ観点でも大手資本に負けない戦いをしているスタートアップも数多くあります。我々も事業成長は当然のことながら、海外の投資家にもアクセスするなどして頑張っていきたいです。
 
なぜMeshが上手くいくと思った?
 
多方面から検証したのでいくつかありますが、もっとも決定的だったのはMVP()から注文が入ったことで実需を確認できたことです。
 
MVPとは、Minimum Viable Productの略で、顧客に価値を提供できる最小限のプロダクトのことを指す。まずは需要を確認するため、会員登録機能やポップアップなどは省き、コア機能だけを提供するために作る。
 
海外ではGorillasなどのユニコーンも生まれているので、それらのサービスを使っている方をTwitterで見つけてインタビューさせていただいたりもしました。
 
日本の方にも何度もインタビューしてわかったのが、ほとんどの人はスーパーに行ってから買うものを決めているんです。スーパーに行って初めて需要が発生する。これって、明日のお昼ご飯は明日にならないとわからないというのと同じだと思うんです。
 
つまり、フードデリバリーはオンデマンド配送であるがゆえにあれだけ伸びた。逆に、予約式だと伸びないんです。ユーザーは欲しいと思ったときに買うもの(食べるもの)を決めたいからです。
 
これはスーパーの買い物にも全く同じことが言えるとインタビューを通してわかりましたし、ヨーロッパでは複数のサービスが非常に伸びていますし、いけるだろうなという直感を得つつMVPを作ったら注文が入ったので、直感が確信に変わりました。
 
━━━ MVPはWeb版で簡単に作った?
 
LINE公式アカウントで簡単に注文ができる仕組みを作り、注文が入り次第30分以内に配達していました。(ここでは簡単に述べましたが、実は結構工夫しています。詳しく知りたい方は代表の佐藤までDMください!)
 

 
日本発のクイックコマースには OniGO や Quickget も存在するが、ここに今年の夏、Mesh も参入する予定だ。まずは東京23区内からサービスを開始する。