ビリオネアは作る

公開日
2021/01/31
次に何を書こうかと考えてた時に、書こうと思っていた2つのエッセイが実は同じだったことに気づいて驚きました。
 
1つ目は、Y Combinatorの面接を通過する方法についてです。このトピックについてはナンセンスなことが多く書かれていたので、私は何年も前から、創業者たちに真実を伝えられるものを書こうと思っていました。
 
2つ目は、政治家が時々言う「億万長者になる唯一の方法は、人々から搾取することだ」ということと、なぜこれが間違っているのかということについてです。
 
このまま読み続けてみてください。そうすると両方を同時に学ぶことができます。
 
どの人がビリオネアになるかを予測するのが私の仕事だったので、政治家が間違っていることは分かります。正直に言って、私は誰よりもその方法を知っていると思います。ビリオネアになるための鍵、つまりビリオネアの決定的な特徴が、人から搾取することにあるとすれば、NFLのスカウトがワイドレシーバーを探すときにスピードを重視するように、プロのビリオネアスカウトとして私は、必ずこのことに気づいていて、それに長けた人を探すことになっていたでしょう。
 
しかし、人を搾取するための適性は、Yコンビネーターが求めるものでは全くありません。実際にはそれはYコンビネーターが求めるものとは真逆なのです。Yコンビネーターが本当のところ何を求めているのか、Yコンビネーターから投資を引き出す方法を説明することで理解することができます。
 
YCが何よりも求めているのは、ユーザーグループを理解し、彼らが欲しがるものを作れる創業者です。これはとても重要なことで、YCの「人々が欲しがるものを作る (Make something people want)」というモットーになっています。
 
大企業であれば、あまり欲しがられていないプロダクトを不本意な顧客に押し付けることはある程度可能ですが、スタートアップにはそのような力はありません。スタートアップは、本当に顧客を喜ばせるものを作ることで、食べていくだけの稼ぎを得られるようにならなければなりません。そうでなければ、スタートアップとして生きていくことはできません。
 
ここに、創業者であるあなたと、あなたに資金を提供するかどうかを決めようとしているYCのパートナーの両方にとっての物事の難しさがあります。
人々がまだ持っていないにも関わらず、人々が欲しがるようなものを作るのは、市場経済ではとても難しいことです。ただ、それが市場経済の素晴らしいところでもあります。もし他の人がこのニーズを知っており、かつそれを満たすこともできれば、すでにそうなっていて、あなたのスタートアップが入る余地はないでしょう。
 
つまり、YCの面接中の会話は、何か新しいことについてでなくてはならないということになります。新しいニーズであったり、もしくは既存のニーズを満たす新しい手段です。そして、それは単に新しいだけではなく、不確かなものでもあります。もしそのニーズが存在し、それを満たすことができると確信していたら、その確信は急速に成長する大きな売上に反映されているはずであり、シードの資金調達を追い求めることはないでしょう。
もしもニーズが存在し、それを満たすことができるという確信があれば、その確信はがあれば、大きな収益に反映され、急成長し、シードファンディングを求めることはないでしょう。
 
ですから、YCのパートナーは、あなたが真のニーズを発見したかどうかと、それを満たすことができるかどうかの両方を推測しなければなりません。それが彼らの仕事であり、少なくともこの部分では、プロの推測家なのです。彼らには1,001のヒューリスティクス(発見手法)があります。すべてを話すつもりはありませんが、最も重要なものを何個か話します。なぜならこれらは偽造できないからです。そしてそれらを「ハック」するには、とにかく創業者としてやるべきことをやるしかありません。
 
 
パートナーが最初に見抜こうとすることは、通常、あなたが作っているものは多くの人が欲しがるものになるのかどうかということです。今現在、多くの人が求めているものである必要はありません。プロダクトと市場は共に進化し、お互いの進化に影響を与え合うことになります。しかし、最終的には巨大な市場を持つものでなければなりません。そのためパートナーは、巨大な市場に至る道はあるのか?ということを把握しようとします。[1]
 
時には、巨大な市場があることが明白なこともあります。Boom社がなんとかして旅客機の出荷に成功できたら、国際航空会社がそれを買わなければならなくなるでしょう。しかし、通常、市場があるかどうかは明らかではありません。通常、巨大市場への道は、小さな市場を成長させることです。この考え方は、言葉を作る価値があるほど重要なことなので、このような小さいながらも成長可能な市場を 「幼虫市場」と呼ぶことにしましょう。
 
幼虫市場の完璧な例は、1976年に設立されたAppleの市場かもしれません。1976年には、多くの人が自分のコンピュータを欲しがっていたわけではありません。しかし、ますます多くの人がコンピュータを欲しがるようになり、今では地球上の10歳の子供たちの誰もがコンピュータを欲しがるようになりました。(彼らはそれを「電話」と呼んでいますが)
 
理想的な組み合わせは、何かしらの変化の最先端にいるという意味で「未来に生きている」創業者であり、自分自身が欲しいものを作っている人たちです。きわめて成功しているスタートアップの多くはこのタイプです。スティーブ・ウォズニアックはコンピュータを欲しがっていました。マーク・ザッカーバーグは大学時代の友人とオンラインで交流したいと考えていました。ラリーとセルゲイはウェブ上で物事を見つけたいと思っていました。これらの創業者たちは皆、自分や仲間が欲しがっていたものを作っており、そして、彼らが変化の最先端にいるということは、将来的にこれらを欲しがる人が増えることを意味していました。
 
しかしながら、理想的な幼虫市場は自分と仲間ですが、それだけではありません。例えて言うなら幼虫市場は地域的なものかもしれません。ある場所でサービスを提供するために何かを作り、その後、他の場所にも拡大していくのです。
 
初期の市場の決定的な特徴は、それが実際に存在することです。これは当たり前のことのように思えるかもしれませんが、それがないということが、ほとんどのスタートアップのアイデアの最大の欠陥なのです。 今作ってるものを緊急に欲しがる人がいるはずですし、聞いたこともないような小さな会社だったとしても、バグがあってもいいから使いたいと思ってくれる人がいなければなりません。数は多くなくてもいいのですが、数人はいなければいけないのです。ある程度のユーザーがいれば、もっと多くのユーザーを獲得するための方法はあります。彼らが望む新しい機能を開発したり、彼らのような人々を探したり、彼らの友人に紹介してもらう、などです。しかし、これらのテクニックはすべて、初期ユーザーグループあってのことです。
 
これは、YCのパートナーがあなたの面接の間に、ほぼ確実に掘り下げることのうちの1つです。あなたの最初のユーザーは誰になるのか、彼らがこれを欲しがることをどうやって知るのか? もし私がたった1つの質問に基づいてスタートアップに出資するかどうかを決めなければならなかったとしたら、それは 「人々がこれを欲しがることを、あなたはどうやって知るのか?」 になるでしょう。
 
最も説得力のある答えは、「私たちや友人がそれを欲しいから 」です。
さらに良いのは、あなたがすでにプロトタイプを作っていて、とても粗雑なのに友達がそれを使っており、口コミで広まっているという話が出てくることです。あなたが嘘をついていなければ、パートナーのデフォルトはノーからイエスに切り替わります。つまり、他の不適格な欠陥がない限り、あなたは面接を通過できるということです。
 
しかしこれは満たすのは難しい基準です。Airbnbは満たしていませんでした。彼らは最初の部分を持っていました。彼らは自分たちが欲しがっていたものを作っていたからです。でも、広まりませんでした。だから説得力を持つためにゴールドスタンダートに至っていなくても、気を悪くしないでください。Airbnbが至っていなかったのであれば、この基準は高すぎるに違いありません。
 
 
実際には、あなたがユーザーのニーズを深く理解していると感じられれば、YCパートナーは満足するでしょう。そしてAirbnbsはそうでした。彼らはホストやゲストのモチベーションを上げる要素をすべて教えてくれました。初めは彼ら自身がホストだったので、実体験から知っていました。彼らは私たちが聞くこと全てに答えました。私たち自身は、ユーザーとしてアイデアにあまり期待していませんでしたが、それにもかかわらず成功したスタートアップはたくさんあったので、そんなことは何の証明にもならないことはわかっていました。そのとき私たちは「彼らは自分たちが何を言っているのかをちゃんと分かっているようだ。彼らは何かを掴んでいるのかもしれない。まだ成長していないけれど、彼らならYCの間に成長させる方法を考えられるかもしれない」と考えました。そして、彼らが実際にその方法を見つけたのは、バッチが始まって3週間後のことでした。
 
YCの面接で一番良いのは、パートナーにユーザーのことを教えてあげることです。なので、もしあなたが面接の準備をしたいのであれば、その最良の方法の1つは、ユーザーに話をしに行き、彼らが何を考えているかを正確に見つけることです。いずれにしても、それはあなたがすべきことです。
 
これは妙に信憑性があるように聞こえるかもしれませんが、YCのパートナーは市場について教えてくれる創業者に頼りたいと考えています。VCは通常、アイデアの潜在的な市場をどのように判断するかを考えてみてください。VCは自分自身が事業ドメインの専門家ではないため、そのアイデアを誰かに伝え、その人の意見を求めます。YCにはそんな時間はありませんが、創業者が(a)自分たちの言っていることをわかっていて(b)嘘をついていない、の両方についてYCパートナーを納得させることができれば、外部の専門家は必要ありません。YCパートナーは、アイデアを評価する際に、創業者の皆さんを事業ドメインの専門家として利用することができます。
 
これがYCのインタビューがピッチではない理由です。できるだけ多くの創業者に資金調達のチャンスを与えるために私たちは面接をできるだけ短くしました 。10分です。それは、ピッチ中の間接的な証拠を通して、彼らが何を言っているか分かっていて、嘘をついていないかどうかを、パートナーが見極めるのに十分な時間ではありません。パートナーは掘り下げて質問する必要があります。順番に聞いていくほどの時間はないので、ランダムに聞いていく必要があります。[2]
 
YCの面接を成功させる方法について私が今まで聞いた中で最悪のアドバイスは、面接の主導権を握って、自分の望むメッセージをしっかりと伝えるようにするというものです。言い換えれば、インタビューをピッチに変えるということです。⟨巧妙な言い回しです⟩ 人々がそれをしようとするのはとても迷惑です。人々に質問し、すると彼らはそれに答えることもなく、ピッチというどうみてもプレハブのかたまりでしかないものを提供されるのです。そんなことをすれば本当にすぐに10分が過ぎてしまいます。
 
 
YCの面接で何をすればいいか的確なアドバイスをしてくれる人なんて、現役のYCパートナーか元パートナー以外にはいません。単に面接を受けただけの人は、面接に成功したとしてもこのことを知らないのですが、パートナーが何を一番知りたいかによって、面接はあらゆる種類の異なる形をとるのです。ある時は創業者のことばかり、またある時はアイデアのことばかり。時には、アイデアの非常にささいな側面についての面接もあります。創業者は、自分のアイデアを完全に説明できなかったことを不満に思って面接から立ち去ることがあります。確かにそうなのですが、十分に説明したことになっているのです。
 
YCの面接は質問で構成されているので、質問に上手に答えることが上手くいくためのポイントです。その一部は率直に答えることです。パートナーはあなたがすべてを知っていることを期待していません。しかし、質問の答えがわからない場合は、強気で答えを出そうとしないようにしましょう。パートナーは、ほとんどの経験豊富な投資家のように、プロのでたらめ探知機であり、あなたは(良く言っても)アマチュアのでたらめ生成器です。そして、あなたがでっち上げようとして失敗しても、彼らはあなたが失敗したことを教えてくれないかもしれません。ですから、売り込もうとするよりも正直に話した方がいいのです。質問の答えがわからない場合はわからないと答え、どうやってその答えを見つけるのかを伝えましょう。もしくは関連する質問の答えを伝えましょう。
 
例えば、何かうまくいっていないことはないのかと聞かれたときの最悪の答えは 「何もない」です。これはあなたのアイデアが優れていると相手を納得させるよりも、あなたが馬鹿か嘘つきだと相手に伝えることになるでしょう。むしろ悲惨な細部にまで踏み込んでいく方がはるかに良いのです。何がうまくいっていないのかと聞かれた時に、エキスパートはそうするのです。YCのパートナーはあなたのアイデアがリスキーであることを知っています。それがこの段階での良い賭けの姿であり、つまり小さな確率で大きな結果が出る賭けなのです。
 
競合他社について聞かれた場合も同様です。競合他社がスタートアップを殺すことはほとんどありません。実行力の低さこそが原因です。しかし、自分の競合他社を知っておくべきですし、YCのパートナーには自分の相対的な強みと弱みを率直に伝えるべきです。YCのパートナーは、競合他社がスタートアップを殺さないことを知っているので、競合他社を上げ連ねて責めたりはしません。しかし、あなたが競合の存在に気づいていないか、または競合がもたらす脅威を過小評価しているように見える場合は、あなたに対して不利な立場をとることになるでしょう。彼らはあなたが無知であるか嘘をついているかどうかわからないかもしれませんが、どちらかを判別する必要もありません。
 
パートナーはあなたのアイデアが完璧であることを期待していません。これがシード投資です。この段階でパートナーが期待できるのは有望な仮説だけです。しかし、彼らはあなたが思慮深く正直であることを期待しています。ですから、自分のアイデアを完璧に見せようとして、口達者になったり、知らないふりをするのであれば、必要でないもののために、必要なものを犠牲にしたことになります。
 
パートナーが「大きな市場への道がある」と十分に納得してくれれば、次は「その道を見つけられるかどうか」が問題になります。それは、創業者の全般的な資質、この分野における特定の専門性、そして創業者同士の関係性の3つにかかっています。 創業者の決意はどれほどなのか?彼らは物事を作るのが得意なのか?物事がうまくいかなくなった時にも進み続けることができるほどのレジリエンスがあるか?彼らの友情はどれくらい強いのだろうか?
 
Airbnbの創業者たちは、アイデア部分で良い成績を収めただけでしたが、この部分に関しては素晴らしい成績を収めました。オバマとマケインをテーマにした朝食用シリアルを作ることでお金を稼いできたというストーリーは、私たちがAirbnbに投資する唯一にして最大の要素でした。
当時、彼らはそれに気づいていませんでしたが、彼らには関係のない話のように思えたことが、実際には創業者としての資質を示す非常に良い証拠となったのです。それは、彼らが機知に富み、決断力があり、一緒に働くことができることを示していたのです。
 
 
それを示したのはシリアルの話だけではありません。インタビュー全体から、彼らが気にかけていることが伝わってきました。お金のためにやっているわけでも、スタートアップがクールだからやっているわけでもありませんでした。彼らがこの会社に一生懸命取り組んでいたのは、それが自分たちのプロジェクトだったからです。面白いアイデアを発見した彼らは、それを手放すことなんてできなかったのです。
 
平凡に聞こえるかもしれませんが、今作り上げようとしているものに真に興味を持っていることはスタートアップだけでなく、野心的な事業においても、最も強力なモチベーションの源泉になります。これこそがビリオネア、少なくとも会社を立ち上げてビリオネアになった人たちの本当の原動力です。会社は彼らのプロジェクトなのです。
 
ビリオネアについて、ほとんどの人が気づいていないことの一つは、彼ら全員がもっと早くやめられたかもしれないということです。彼らは買収されることもできたかもしれませんし、会社を経営する他の人を見つけることもできたかもしれません。多くの創業者がそうです。しかし本当にお金持ちになる人は働き続けている人です。そして、彼らが働き続けることができる理由は、お金だけではありません。彼らが働き続けているのは、他の誰もが働き続けているのと同じことで、やめたいと思えばやめられるのに、他にやりたいことがないからです。
 
それが、人を搾取しないということであり、起業して億万長者になる人の特徴です。YCが創業者に求めるもの、それは「真っ当さ」なのです。スタートアップを始めようとする人の動機は様々です。お金を稼ぎたい、かっこいいと思われたい、問題への純粋な興味、誰かのために働きたくない、などの動機が組み合わさってスタートアップをするのが一般的です。最後の2つは、最初の2つよりも強力なモチベーションの源泉となります。創業者がお金を稼ぎたいと思ったり、かっこよく見せたいと思ったりするのは構いません。ほとんどの人はそうです。しかし、創業者がお金を稼ぐためだけにやっているように見えたり、かっこいいと思われるためだけにやっているように見えたりすると、大規模な成功は望めません。お金のためにやっている創業者は、最初の十分に大きい額の買収オファーを受けるでしょうし、かっこよく見せるためにやっている創業者は、そう見せるためのもっと楽な方法があることを迅速に発見することでしょう。
 
Y Combinatorは人々を搾取するのを手段とする創業者をしっかり見ています。YCは彼らにとって魅力的な存在であり、彼らはYCブランドを欲しがっているからです。しかしYCのパートナーはそういう人を見抜くと、その人を拒絶します。もし悪い人が良い創業者になってしまったら、YCパートナーは道徳的なジレンマに直面することになります。幸い、そうはなりませんが。なぜなら、悪い人は悪い創業者になるからです。このような搾取的なタイプの創業者は、大規模な事業では成功しないでしょうし、実際のところスモールビジネスでも成功することはないでしょう。彼らはYC自体を近道だと思っているのです。
 
彼らの搾取は通常、自身の共同創業者に対するものから始まりますが、創業者の関係が会社の基礎であるため、これは悲惨なことになります。次にユーザーへと移りますが、これも悲惨なことになります。なぜなら、成功したスタートアップが初期のユーザーとして求めるアーリーアダプターは、騙すのが最も難しいタイプの人間だからです。この種の創業者が期待できる最善の方法は、一部の買収者がだまされて購入するまで、欺瞞の建物をよろめかせ続けることです。 しかし、そのような買収は決して大きなものではありません。[4]
 
 
プロのビリオネアのスカウトが、人を搾取することは望ましいスキルではないことを知っているとしたら、なぜ政治家のなかにはこれがビリオネアの特徴だと考える人がいるのでしょうか?
 
私が考えるに彼らは、一人の人間が他の人間よりも多くのお金を持っていられるのは間違っているという気持ちから始まるのではないでしょうか。その感情がどこから来るのかは理解できます。それは私たちのDNAの中にありますし、他の種のDNAにもあるからです。
 
もしも、ある人が他の人よりお金をたくさん持っていると気分が悪くなると言うことを制限するとしたら、誰が反対するのでしょうか? 私も嫌な気分になるし、大金を稼いでいる人はそれを公益のために使う道義的義務があると思います。彼らが犯している間違いは、人によっては人よりもはるかに金持ちの人がいるという嫌な気分から、非常に多くのお金を稼ぐための正当な方法はないという結論に飛びつくことです。こうなると、反証不可能なだけでなく、間違った発言にまで踏み込んでいます。
 
確かに悪いことをしてお金持ちになる人はいます。しかし、悪いことをしてもそこまで儲からない人もたくさんいます。実際には相関関係はなく、おそらく行動の悪さと稼ぎの悪さには逆相関があるのではないでしょうか。
 
このナンセンスな話の最大の危険性は、政策を迷走させることではなく、野心家を惑わせることかもしれません。金持ちの子供たちが、その前の世代がどうやってお金を稼いできたかを実際に見てきて知っている一方で、貧しい子供たちに、金持ちになる方法は人から搾取することだと教えることほど社会の流動性を破壊する良い方法があると思いますか?
実際のところはどうなのか教えるので、せめて自分の子供には本当のことを教えてあげてください。全てはユーザーのためにあるのです。ビリオネアになるための最も確実な方法は急成長する会社を起業することであり、急成長する方法はユーザーが求めるものを作ることです。新しく始まったばかりのスタートアップ企業は、ユーザーを喜ばせることでしか事業を軌道に乗せることなどできません。
しかし、これが北極星であることにはずっと変わりはなく、大企業は危険な時にここから目を離してしまいます。ユーザーを喜ばせることをやめれば、最終的には他の誰かがそうするでしょう。
 
YCのインタビューでパートナーが知りたいのはユーザーであり、10年前に出資し、今ではビリオネアになった創業者と話すときに知りたいのもユーザーのことです。ユーザーは何を求めているのか?彼らのためにどんな新しいものを作ることができるのか?ビリオネアになった創業者は、常にその話題について話したがります。そうやって彼らはビリオネアになったのです。
 

注釈
 
[1]YCのパートナーたちはこれを実践してきたので、創業者自身がまだ見ていない道が見えてくることもあります。パートナーは、取引のレバレッジを高めるために買い手がしばしば取引で行うような、懐疑的に見えるようなことはしようとしていません。
 
[2]実際には7分で十分でしょう。8分だったら気が変わるということはほとんどありません。しかし、10分が社会的には便利です。
 
[3]私自身、最初のスタートアップでは十分に大きな買収オファーを受けたので、これをすることで創業者を責めるつもりはありません。お金を稼ぐためにスタートアップを始めることは何も悪いことではありません。どうにかしてお金を稼ぐ必要がありますし、人によってはスタートアップが一番効率的な方法です。これらは本当に大きくなるスタートアップではないと言っているだけです。
 
[4]最近はそうでもありません。インターネットバブル期には大きなものもありましたし、確かに大きなIPOもありました。
 
※この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
 
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