Ripplingの投資メモ

Ripplingの投資メモ

Ripplingは人事、福利厚生、給与計算のソフトウェアにIT管理も加えた、従業員識別プラットフォームとなっているHRスタートアップです。

現在はシリーズBの段階で、投資家にはピーター・ティールのFounders FundやYコンビネーター、Kleiner Perkinsなどを迎えており、評価額は$1.4Bのユニコーン。

それだけでも注目に値するのですが、Ripplingがとりわけ世間を騒がせたのはシリーズAの資金調達のときです。

一般的に資金調達のために投資家にアプローチする際には、ピッチ資料を用意して臨みます。

しかしRipplingはピッチ資料なしでシリーズAの調達に臨み、$45MというシリーズAにしては平均を大きく上回る額を、リード投資家に超名門VCのKleiner Perkinsを迎えて実現しました。

この偉業は、ピッチ資料の代わりに活字ベースの「投資メモ」を準備したことで成し遂げられました。

今回の記事では、そのRippling Memoを全文翻訳してお届けします。

目次

Ripplingメモ

Ripplingの仮説は、企業内のすべての部署を横断的に管理する単一の従業員情報システムを企業は持つべきだというものです。

今日の世界ではそうなっていません。

イントロダクション

Ripplingの仮説は、企業内のすべての部署を横断的に管理する単一の従業員情報システムを企業は持つべきだというものです。今日の世界ではそうなっていません。

概要

ほとんどの企業では、従業員のリストを管理するシステムを何十も持っていますが、ほとんどの場合、これらのシステムは従業員が誰であるかについて、システム同士、または中央のシステムに対話しません。

場合によっては、これらのシステムは、従業員がログインしたときに認証できるように、各従業員のユーザー名、およびパスワードについてさえ分かっていればいいときもあるかもしれません。各従業員の部署、上司、給与、住所、その他について知っておく必要のあるシステムもあります。

従業員情報が何かしら更新されたら、システムの多く(全部の場合あり)はアップデートされなければなりません。そしてそれらは中央集権的に管理されているわけではないので、個別に手動でアップデートしなければなりません。

企業のシステム中にバラバラにある従業員データを秘密裏に維持することが、会社経営のほぼすべての管理業務の根本原因になっていると私たちは考えています。

すべてのビジネスシステムの基幹となる単一の従業員データシステムがあるべきです。企業も従業員もこの一箇所に集まることができて、従業員の変更点を変更し、他のシステムすべてに伝えるのです。

これがRipplingであり、私たちが取り組んでいることです。

私たちの戦略

私たちの戦略は、詰まるところ3つに分けられます。

Part.1:従業員データの記録システムになれれば、真に成功するビジネスを構築できる

従業員データの記録システムになることは有利です。なぜならこのシステムは、この基礎となる従業員データにアクセスする必要がある他のビジネスソフトウェアやサービスカテゴリでも使用できるプラットフォームの力を持っているためです。

極端な話、従業員データの記録システムになってしまえば、システムへの排他的なアクセスを持つプロダクト群を構築することができます。それをしていたのが前職のZenefitsです。ZenefitsはHR部門内の従業員データ記録システムで、顧客が保険情報をZenefitsに繋げるために、彼らはZenefitsを保険ブローカーにせざるを得ませんでした。

この接続性が顧客を一層楽にするので、Zenefitsの顧客の多くは彼らから保険を買いました。しかし、保険以外にも従業員記録との結びつきが強いところはいくらでも恣意的に結びつけることができました。

そこで、あなたはRipplingが好む別の方法を取ることができます。:他の企業と幅広く提携し、再販業者になるのです。つまり、他の企業があなたのシステムで動作することを許可し、するとあなたは彼らに新規送客でき、その代わりとして彼らはあなたに収入の一部を支払います。

従業員情報の記録システムには価値があるというこの考えは、我々の戦略の中で最もユニークではなく、そしておそらく最も議論の余地もない部分です。

他のほとんどの人事管理システムおよび給与計算企業は世界をこのように見ています。ADPは米国マーケットでは最大の給与計算企業で、彼らは売上のほとんどを給与計算ではなく、ADPアドオンサービス(タイムトラッキング、パフォーマンスマネジメント、BenAdminなど)を多く販売することで稼いでおり、これらはコアとなるADP給与システムにプラグインします。Zenefits、Gusto、Namelyも明らかにこの戦略を重要視しています。

これはHR以外でも見られ、Microsoftのエンタープライズ部門での戦略でもあります。MicrosoftのActive Directoryも従業員データの記録システムです。これはたまたま人事部ではなくIT部門が使っていただけのものですが、MicrosoftはActive Directoryを企業に持ち込んで、他のサービス(Exchange Server, Sharepoint, Window`s PC)をアップセルしています。そしてそれらはActice Directoryと綺麗にプラグインします。

つまり、多くの企業が従業員データの記録システムとなることには価値があると認めており、Ripplingだけがこれを狙っているわけではありません。そこで疑問が生まれます。どうやって従業員データの記録システム市場で「勝つ」のですか?

Part.2:オンボーディングソフトウェアがあなたを従業員データの記録システムに変える

Ripplingには従業員を雇うためのボタンがあります。採用マネージャーとして、あなたは私たちに従業員の給料、上司、部署、職場、その他いくつかのことを伝えます。

次にRipplingはその新入社員に接触し、電子署名のための書類を生成します。そして新入社員に社会保障番号、住所、銀行口座などの詳細を尋ねます。

これらの採用とオンボーディングの流れが、この新入社員オブジェクトの組み立て方です。Ripplingはこの従業員記録を構成する各従業員の属性を収集し、データベースに書き込んだ後、顧客のすべてのダウンストリーム・ビジネス・システムにメータリングしています。

この従業員データの取り込みポイントであること、また、このプロセスの他の誰よりも上流にあることから、Ripplingは定義通りの記録システムです。他のビジネスシステムが従業員情報を私たちから受け取っているので、私たちは真実の情報源のデファクトスタンダードになります。

少し違った言い方をしています:新入社員がRipplingに社会保障番号を誤入力したら、どこもかしこも違ったデータが出てくるということです。- 給与支払い、保険履歴、退職金など。

この結果、私たちは、従業員のオンボーディング・ソフトウェアに独自のこだわりを持っています。私たちの競合にとっては、従業員のオンボーディングツールというのは便利な機能で、顧客の役に立つかもしれません。しかし私たちにとっては、従業員のオンボーディングツールこそが最重要なのです。オンボーディングで勝てば、あなたは他の何でも勝てるからです。

しかし、最終的には、私たちが成功すれば、他の企業もこのソフトウェアがB2Bエコシステムの中で中心的な役割を果たすという私たちの視点を理解し、従業員オンボーディングソフトウェアの開発に自社の努力を集中させることになるでしょう。そこで次の疑問が生まれます。「どうやって従業員オンボーディングソフトウェア市場で勝つのですか?」

Part.3:従業員オンボーディング市場で勝つためにはどの部署や機能領域にも一夫一婦制ではいけない

多くの企業は新規採用する際に、簡単なチェックリストを埋めるようにしています。従業員オンボーディング市場で勝つためには、他の誰よりも多くの新規採用チェックリストを自動化する必要があります。

しかし、こうしたオンボーディングタスクは多くの部署でバラバラになっています。- 私たちの体験ベースですが、企業のオンボーディングタスクの30%はHR関連です。また、財務、法務、施設関連の業務も多く、新入社員が入社するたびに完了させなければなりません。

もしあなたの会社のミッションがHRソフトウェア、財務部門のソフトウェア、あるいはIT部門のソフトウェアを構築することならば、このオンボーディングの課題の一部しか解決することはできません。なぜなら、企業が抱えるオンボーディングのペインは部門や機能エリアごとに固有のものではないからです。

効率的に従業員オンボーディングの問題を解決するには、あなたは、従業員のライフサイクルイベント(採用、転職、引越し、昇進、退職)を中心にプロダクトの方向性を示し、これらのライフサイクルイベントが与える下流への影響もすべてフォローしなければなりません。

これは、機能領域上のこれらの異なるすべての部門、そして彼らが使用するすべての異なるサードパーティシステムにタッチポイントを持つ必要があることを意味しています。特定のバイヤーや部署のためにソフトを作っても、最終的には全ての問題を解決してくれる会社に負けてしまいます。

オンボーディングサイドバー

注目すべきは、「オンボーディングソフト」という言葉が、企業によって異なる意味で使われていることです。

人事向けのプロジェクト管理アプリを構築して、誰かが入社した時にタスクを割り振ったり、完了を追跡したりする企業もあります。これらのアプリは「オンボーディングソフトウェア」と呼ばれることもありますが、ダウンストリームシステムとの接続がないため、私たちが構築したプロダクトとは関係ありません。

その結果、どちらも雇用主にとってはあまり役に立たない(これらのアプリはあなたに仕事をアサインすることはできるが、あなたのためだけにはできない)し、戦略的にも面白くない(ダウンストリームシステムとの接続がないので、従業員データの真の情報源とはもはや言えない)のです。

プロダクト概要

私たちのプロダクトを理解するには、見てもらうのが最も良い方法です。私たちはデモを提供することもできますし、もしうまくいかなければ、同様に高いレベルで概要がわかるウェブサイトもご用意しています。

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Ripplingは3つのソフトウェアカテゴリのハイブリッド:

・all- in-oneの給与支払い、福利厚生、人事管理システム

・Okta、OneLogin、OnePasswordに似た「アイデンティティ」/SSO/パスワード管理システム

・Windows PC用のJAMFなどに似たエンドポイントデバイス管理システム

表面上は、これは奇妙な組み合わせです。これら3つのシステムがそれぞれ企業内の従業員データのハブになっているからこそ意味があるのです。

しかし、ITシステムが従業員の記録とどのように結びついているかはすぐにはわかりません。

人事システムと従業員データの結びつきは明白です。

ITと従業員記録との関連性は、ITセキュリティが最終的にはシステムへのアクセスを制御することにあるということです。- 誰が、どのシステムにアクセスすべきなのか?これらのユーザーはシステムに組み込むべきなのか?彼らはどのレベルの権限を持つべきなのか?

これらの質問は言い換えると、「あなたの顧客は誰なのか」そして「彼らの社内での役割・レベル・機能は何で、それゆえ職務遂行時に必要な権限はどの程度なのか」ということになります。

これらの問い、すなわち、コンピュータやシステム上でアカウントを設定する際に、IT専門家が日常的に行っている事務作業の多くの根底にある問題は、根本的には従業員記録についての問いなのです。

別の言い方で、Oktaはこのカテゴリを「従業員アイデンティティ」と表現することがあります。しかしこの名前はOktaにとってはせいぜい願望といったところだと思います。Oktaの実際のプロダクトはシングルサインオンとパスワードマネジメントです。従業員のアイデンティティの本当のシステムは、アイデンティティという言葉の本来の意味に立ち返ると、企業内の各従業員の役割、部門、および機能に関する情報と切り離すことができません。すなわち、会社のHRデータです。

これに関する1つの事例:

多くの会社では、IT部門は会社のメールリストの維持管理責任があります。架空の会社Acme Co. では、engineering@acme.comのメールリストを56人分持っています。現在のITシステムは、56人を「ユーザー」として扱い、彼らのビジネス上の役割は何一つ理解していません。しかし彼らはランダムに選ばれた56人などではないのです!彼らはエンジニアチームに所属するれっきとしたエンジニアたちです。

誰かの部署や役割、勤務地など、人事の概念でITシステムに話しかけることができれば、その部署をメールリストに追加することができます。そうすれば、システムの管理が劇的に簡素化されます。

Ripplingのデモで私のお気に入りの部分の一つは、個人だけでなく"エンジニアリング部門 "や特定の職場の場所、または会社のすべてのマネージャーのようなHRの概念をRipplingでメールリストに追加する方法を見込み客に示すときです:

少し違った言い方をします:新入社員がRipplingに社会保障番号を誤入力したら、どこもかしこも違ったデータが出てくるということです。- 給与支払い、保険履歴、退職金など。

このことについての素晴らしい点は、Ripplingは、単にさかのぼってG SuiteやOffice 365のメールリストにバケツの中のすべての個人を追加するだけではないということです。

さらにもう一歩進んでみましょう:あなたが誰かをRipplingで採用し、この人物はエンジニア部門ですとRipplingに伝えると、あなたの会社のシステム上でのRipplingの設定をすべて書き換えます:

それは彼らがアクセスできるシステムを変更します - おそらくAWSとGithubあたりで、Salesforceではないでしょう。それは彼らが登録しているメールリストを変更します。それは彼らのコンピュータにインストールされているソフトウェアも変更します。

そして企業内の誰かの職種が変わったら、Ripplingはただ単に給与支払いと人事システムを変更するのではなくて、彼らがアクセスしているシステムや、購読しているメールリスト、パソコンのソフトウェアやアクセスレベルなどを再構築しているのです。

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競争環境

概要

前述したようにRipplingは3つの異なるソフトウェアカテゴリのハイブリッドです。

・all- in-oneの給与支払い、福利厚生、人事管理システム

・「アイデンティティ」/ アクセスマネジメントシステム

・エンドポイントデバイス管理システム

これはRipplingが3つの異なるカテゴリの会社と競合することも意味しています。すべてのディールがこれら3要素を含むわけではなく、ITのみだったり、HRのみだったり、あるいは両方だったりします。

競合の詳細

・給与支払いとHR領域に関しては、私たちはGusto、Zenefits、Namely、ADP、Paychex、その他類似企業と競合しています。もしもこの分野で顧客がRipplingを使うことを選ぶと、ほぼ必ずと言っていいほどリプレイスしています。

・アイデンティティ領域に関しては、私たちはOkta、OneLogin、LastPass、OnePassword、その他類似企業と競合しています。給与支払い・HR領域ほどにはリプレイスできていません。私たちが売り込んでいる会社の多くはまだこういったシステムを購入していないのです。

・デバイス管理領域に関しては、私たちはJAMF(Mac)、Microsoft(PC)、その他少しの、それほど大きくはない競合がいます。アイデンティティ領域と同じように、私たちが売り込んでいる会社の多くはまだこういったシステムを購入していないので、それほどリプレイスはできていません。

Ripplingがこれらの競合他社のいずれかに対して真っ向勝負して勝つ方法もあれば、負ける方法もあります。(HR領域に関しては、私たちはマーケットの他のどの企業よりも優れたプロダクトであると信じています)

しかし、それより重要なのが、これらの競合各社は自社のことをRipplingに比べると幾分も狭く定義しているということです。:彼らはHRソフトウェア、アイデンティティソフトウェア、デバイス管理ソフトウェアを作っています。それは彼らの文化、ミッション、キャッチフレーズに組み込まれています。彼らは彼らのスイミングコースにとどまることでしょう。

彼らは提携するかもしれませんが、この提携は常に無関係なシステムをつなぐ細いストラップになります。

これまでのパフォーマンス

概要

2018年5月頃に福利厚生管理プロダクトを発売しましたが、その時ほとんどの売上指標が劇的に改善しました。社内的には、2018年5月は、プロダクトの機能拡張から売上成長に焦点を移したポイントでした。

Ripplingはその当時から異様に急成長しており、ARRは$??Mで2019年1月を締めくくりました。

2018年1月から月平均20%の成長をしていますが、その成長率はさらに加速しており、直近4ヶ月での平均成長率は25%、そして1月に関しては29%でした。

最近では、売上が2倍になるまでの期間が4ヶ月から3ヶ月に短縮されました。

多くのスタートアップが右肩上がりの売上グラフを描く一方で、それと同じことを月次の成長率でも実現するのはなかなか簡単なことではありません。

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NPSスコア

同様に重要なのは、この成長はクライアントの満足度を犠牲にしてきていないということです。私たちの1月のNPSは70でしたが、直近数ヶ月のNPSは平均66でした。

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研究開発への投資

Ripplingのようなものを作るのにはお金がかかります。デモを見ていただいたらわかりますが、プロダクトのサーフェスエリアは大きいです。MVPを作り上げるためには、Zenefits、Gusto、Namelyなどの企業が何年も何千万ドルもかけて構築した給与計算、福利厚生、HRISシステムを(再び)構築しなければなりませんでした。また、Okta、OnePassword、およびJAMFのバージョンも一緒に構築しなければなりませんでした。

そのために、先行する研究開発に多大な投資をしてきました。ここ2年間のほとんどの間、RIpplingはほぼエンジニアばかりの会社でした(現在は40人強で、従業員の約3分の2です)。営業チームを強化し始めたのはほんの最近のことです。

このことのダウンサイドは、Ripplingのようなサービスを作るのは安くはないということと、これまで使われた営業費用ーおよそ$??Mーは他のスタートアップよりも多額にわたるということです。しかし、私たちの成長率を考えれば、このベットは正しかったのだと信じています。ー私たちは顧客が欲しがる正しいプロダクトを構築し、私たちより長い時間とお金をかけてきた成熟した大企業に打ち勝とうとしています。

当社の粗利益率は、製品がソフトウェアであることを示しており、当社の売上高とマーケティング比率(マジックナンバーなど)は、この成長が健全なファンダメンタルズに基づいていることを示しています。

Why now ?

この質問は複数のファームが好む質問であることを知っているので以下にその答えを記しましたが、私はRipplingは7年前に構築できたし、そうすべきだったのだと思っています。しかしそうはなりませんでした。だから私たちは今作っています。その点を踏まえて、今日では少し作るのが楽になった理由をご紹介します。

ペインは拡大している

5年前、Zenefitsの営業チームはSalesforceたったひとつしか使っていませんでした。今日では、多くのSaaS営業チームはだいたい10個ほど契約しています。Ripplingの初期はSalesforceだけでなく、Zoom、Calendly、Outreach、Gong、Intercom、Marketoなどを使っていました。マーケティングチームに関して言うと、おそらく数十ほどです。

結果として、その結果、今までは存在しなかった営業部門のシステム管理の頭痛の種が出てきました。営業部の誰か(VP of Salesなど)がそれぞれのシステムに新規採用者を追加する必要があります。もし誰かがADRからAccount Executiveに昇進した場合、彼らのアクセスはシステム中で再構築される必要があります。そして、誰かが去った時にすぐにアクセスを遮断しなければ、顧客の機密情報が漏れる危険性があります。

ある意味で、SaaS革命によるデッドウェイトの損失はシステムの複雑さの増大です。新しいサービスが増えれば増えるほど、それらを根本で結びつけるRipplingのようなものが必要になります。

これはHRテック領域において合理的な次のステップである

Zenefitsは「オールインワンHR」というマーケットの先駆者でした。元々はバラバラだった給与支払い、福利厚生、HRのシステムを組み合わせたことでZenefitsで採用ボタンを押せば、異なる各種HRシステムで自動でセッティングが完了するようになりました。Zenefitsの最終的な結果にかかわらず、私たちは市場について正しく理解していました。この市場ポジショニング(そしてそれほどではないがプロダクトも)はGusto、Namely、ADP、Paychexなどにおおいに真似され、彼らはいまやみんな自社のことを「オールインワンHR」と呼んでいます。しかしZenefitsが解決しているペインポイント(すべてのHRシステムに対して単一のオンボーディング)は、HR部門に関してはユニークなものではありません。今やあらゆる会社がオールインワンHRなので、合理的な次のステップはこのコンセプトをHR部門を超えて企業全体に拡大することです。

マーケットの進化がRipplingのプロダクト開発を簡単にした

・エンタープライズ市場でのOktaの成功により、多くの企業がSAMLを構築し、私たちがプラグインすることができたユーザーAPIエンドポイントを利用することで、動きの遅いパートナーシップを必要とせずに何百もの統合を実現することができるようになりました。

・XXが販売している既製の税務エンジンを使用し、Xなどのベンダーに納税と支払いを外部委託できるため、5年前よりも給与計算システムを構築するのが簡単です。また、○○や○○のようなベンダーがあるので、福利厚生管理ソフトも作りやすいです。(Zenefitsでは、保険を管理するためには、基本的には○○と○○を作る必要がありました。今ではそれらはベンダーとの関係になりました)

・MVPが非常に高水準 ーRippling V1のためには非常に多くのプロダクトを作らなければなりません。多くのエンジニアを雇い、構築のために多額のシードマネーを調達する必要もあります。私は初期にはファイナンスすることができませんでした。加えて、このプロダクトサーフェスエリアの問題があったので、ReactとAPIファーストな開発が大きなサーフェスエリアをもつプロダクトの構築を可能にし、人数をそこまで増やすことなくエンジニアチームをスケールさせることができました。

ネットワーク効果と「SaaSのスーパーマーケット」

RipplingはHRシステムではない

RipplingはHRシステムではありません。ー 私たちはただのHRISシステムと一線を画すために従業員マネジメントシステムと呼んでいます。正確には、私たちが解決する問題は人事よりもはるかに広いと考えているからであり、その問題を解決するのに適したシステムは、人事システム、いや、人事部そのものよりもレベルダウンしたスタックであると考えています。

現在、給与計算システムを導入している企業は、従業員管理システムを導入した方が良いと私たちは考えています。広く統合して社員データを全社的に管理するようなシステムです。長期的に見て、私たちが正しい場合、マーケットはこの方向に進んでいくかもしれません。

「従業員マネジメントシステムは給与支払いシステム、HRシステムとどのようにして差別化するのですか?」と聞くのは価値があるでしょう。

ネットワーク効果はそのひとつです。

今日、ADPは米国最大の給与支払い企業です。しかしマーケットは細分化しています。ADPはマーケットシェア15%〜20%ほどしか握っておらず、数万の給与支払い業者が存在しています。それは市場のリーダーであることに自己強化的な利点がないからです。マーケットリーダーとしてのADPのポジションは、彼らのクライアントとしての私の経験をなんらより良くするものではありません。

それは、ADPが彼らの世界を視野狭く見てしまっているというのも理由です。給与計算とHRISについては7、8つのシステムしかありません。タイムトラッキング、パフォーマンスマネジメント、福利厚生管理、退職金などぐらいのものです。

しかし従業員マネジメントシステムは給与支払いシステムよりも非常に多くの領域があり、7,8万ほどくらいあります。

これにより、異なるダイナミクスが導入されます。市場のリーダーがスペース内の他の競合他社を凌駕する複合的な利点を迅速に持つようになります。クライアントは自然と現在および将来の業務システムとの連携が可能な製品を選択し、最も多くのクライアントを持つ企業が最も多くの統合を得ることになるので、最も多くインテグレーションできる企業が最も多くの顧客を獲得します。サードパーティのエンジニアは限られたシステムでしかアプリを構築してサポートできず、どこで構築するかの判断は当然ながら市場シェアに委ねられるからです。

このシフトの効果は、スマートフォンのアプリストアの導入が、携帯電話業界のシェアを急速に集中させたのと似ています。この従業員管理システムの新しい市場は、給与計算ソフトの市場よりもはるかに集中したものになるでしょう。:おそらく、市場リーダーは60%の市場シェアを持っており、ナンバー2のプレーヤーは30%の市場シェアを持っており、他の誰もが残りの10%の戦いをしています。

その結果、従業員管理システムのマーケットリーダーは、今日の給与計算およびHRIS企業の中で最も成功している企業よりもはるかに大きな規模で成功する可能性があります。Ripplingの強気のケースでは、私たちがその1人になる可能性があるということです。

※原文:Rippling Memo

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