数十億ドル規模の永続的なビジネスを構築する方法
(ヒント:10倍のプロダクトを作ること+既存のコスト構造を再構築すること)
前回の記事で、Uberはモバイルを使って既存の会社(タクシー)よりも10倍優れた製品を作り、そしてそれを低価格で提供することで数十億ドル規模のビジネスを構築したと書きました。「そして」と書きましたが、これこそが重要なのです。
私にとってエキサイティングなのは、Uberが最先発でもなければ、最後発でもないということです。
実際にリサーチしてみると、AirbnbからWhatsAppに至るまで、何十ものブレイクアウト企業の根底にあるのが「" 10倍の製品 "にして人々のお金を節約する」であることに気づきます。
Amazonはどうでしょう?限りない品揃えと利便性、そしてベストプライス。
Netflixの当初のマーケティングを覚えていますか?Netflixは、近所のBlockbusterよりも豊富な品揃えと利便性、そして延滞料金のないサービスです。
Airbnbはユニークな宿泊施設ばかりで、そしてホテルよりも安い。
Skypeはプレゼンス/チャットなどを導入し、そして国際電話を無料でかけられるようになりました。
WhatsAppは、Skypeが国際電話にもたらしたものを国際SMSにもたらしました。
Alibaba, Craigslist, CreditKarma, eBay, Expedia, Poshmark, Priceline, Orbitz, Shutterfly, Transferwise, TurboTax, .... まだまだありますよ。(もしあなたが何か作っているのであれば、ぜひご連絡ください:Twitter)
「10倍+低価格」が消費者にとってあまりに魅力的な組み合わせであることに驚きはありません。より良いものを、より安く手に入れたいと思わない人はいません。また、この組み合わせは口コミの強いきっかけにもなります。人はお金を節約してくれるサービスを見つけた時、そのことを話したがります。友達に20ドル節約する方法を教えることは、その友達に実際に20ドルをあげたようなものですから。
では、彼らはどうやってそれを実現したのでしょうか?というよりも、どうやってあなたにもそれができるでしょうか?
私には2つの重要な要素があるように思えます。
1. " 10倍のプロダクト "を作ることこそが重要。お金を節約することは火にガスを注ぐようなもの
Pinterestの元同僚であるDavid Rubinに指摘されたように、あなたのサービスは「お金を節約する」ことでリードすべきではありません。それ自体で消費者の心に響くような魅力的なサービスを作らなければなりません。
例を挙げましょう:
私が自分のテーゼについて人に話し始めたとき、彼らは反発しました。「タクシーよりもUberの方がよっぽどいいじゃないか」「Amazonは便利さが売りだ」「Airbnbはホテルでは得られない体験を提供している」
もちろん彼らの言うことは正しいです。しかし、多くの人の行動変化を加速させたのは「そして」の部分です。10倍のプロダクトがあったからこそ、その人たちは顧客であり続けてきたのです。
価格優位性を当たり前のように感じてもらえれば、あなたの勝ちです。逆に、「お金を節約すること」がブランドのアイデンティティになっているとしたら、それはサービスが十分に差別化されていないからだと思われます。節約は機能でしかないのです。そうなると、企業のユニットエコノミクスに大きな圧力がかかります。常に価格を最適化しなければならない状況では、永続的なビジネスを構築することは非常に困難です。フラッシュセールやディールサイトを考えてみてください。
例外として、「無料」はそれだけで10倍のプロダクトだと考えています。これまで多くの人がお金を払っていたものを無料で提供できれば(SkypeやRobinhoodのことですね)、成長の心配はほとんどいらないでしょう。
2. テクノロジーを利用して、既存のコスト構造を再構築する
さて、あなたは10倍のサービスを手に入れました。それはイージーパートです。10倍のプロダクトをより安く、持続可能な方法で提供することこそが肝心なのです。
重要なのは、テクノロジーを使って既存のコスト構造を再構築することです。これにより、構造的なコスト優位性が生まれ、規模の経済やネットワーク効果があれば、成長しても持続する優位性が得られます。
ここでは、企業がこれを実現するために用いた戦略をいくつか紹介します。
Eコマース
Eコマース企業は、オペレーションを集中化し、規模の経済の恩恵を受けることで、実店舗型の小売業者をディスラプトしました。


シェアリングエコノミー
「シェアリング」エコノミーは、企業が遊休資産の潜在的な価値を引き出すことを可能にし、それによってアセットヘビーなアプローチをディスラプトします。


P2Pマーケットプレイス
P2Pマーケットプレイスは、仲介手数料や中間業者を排除することで、マーケットプレイスへの参加者にコストを還元し、運営コストを削減します。


"フルスタック" スタートアップ


新興:AI、バーチャルリアリティ、その他?
早い話、これまで述べてきた既存の技術に加えてAIやバーチャルリアリティなどの新興技術が、消費者のコストを削減する新たなクラスの10倍プロダクトを生み出すと想像せざるを得ません。
たとえば、バーチャルリアリティでサファリに行ったような体験ができるのでセレンゲティ(訳注:タンザニア北部の自然豊かな国立公園)に行く必要がないとか、ニューラルネットワークで診断されたので即座に処方箋がもらえるとか、そういうことを想像してみてください。


これらの戦略を活用した将来のスタートアップに期待せずにはいられません。
あなたはどう思いますか?どのようなスタートアップがこれらの活動をしていると思いますか?ぜひあなたの意見を聞かせてください。
※この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文:How to build an enduring, multi-billion dollar business by Sarah Tavel