事業サイドからVCに転身するということ
毎週のように、事業サイドからVCへの転身について私にキャリアアドバイスを求めてくる人がいます。他の人も興味があるかもしれないので、ここに記念として残しておこうと思いました。
これは大きな転換です。私はPinterestに入社する前に6年間VCにいたので、Pinterestを辞めてGreylockに入社したときは、自転車へ乗りに戻るようなものだと思っていました。しかし、実際のところは電車の車輪を1つずつ線路に戻していくような感覚でした。
大きな理由は3つあります。
まず事業サイド、とりわけプロダクト機能を担当している場合、常に「A地点」から「B地点」まで具体的に進んでいます。例えば、新機能をリリースするなど。
毎日、その目標に向かって前進します。例えば、エンジニアのリーダーと一緒に大きな決断をしたり、実験を行ったり、プロダクトレビューでゴーサインが出たりなどです。
時には挫折や不満もありますが、目に見えるB地点に向かって常に前進し、そこに到達したときには「リリース」という満足感が得られます。
ベンチャーキャピタルであなたがA地点にいたとして、B地点は「いい投資をしたい」というあいまいなものです。潜在的な良い投資先をどうやって見つけるかはわからないし、見たときにわかるかどうかもわからないし、本当に良い投資だったかを確認する(リリース)までには何年もかかります。
軌道に乗るために必要な車輪の1つ:結果ではなく、自分のプロセスやインプットにフォーカスを移す必要があります。レンガを1つ1つ積んで家を建てる(ような結果を予測しやすいもの)よりも、ガーデニングをするときのような不確実性や予測不可能性に近いものがあります。
多くのオペレーター(出身のVC)は1年目に過剰な投資を行いますが、それは(a)調整ができておらず、(b)結果の達成に慣れているため、「投資をする」という具体的な結果に焦点を当ててしまうからです。VCの真の成果は「LPに資本を還元すること」であることを理解するには時間がかかります。
これが、VCは簡単に「実行」(投資)ができて、そして素晴らしい結果を出す(大きなリターンを生み出す)のは非常に難しいとされる理由の1つです。ですから、心の準備として、何ヶ月も活動を続けても具体的なエビデンスは得られず、フィードバックサイクルはとてつもなく長くなることを覚悟しておくことです。
次に、ベンチャーキャピタルでは、年に10回ほど大きな決断をします。徹底的に調べて最終的にパスした(あるいは失った)企業が8社、イエスと言って投資した企業が2社。これらの決断は、一方通行の大きな決断です。一度YesかNoと言ったら、もう後戻りはできません。
これらの決断は、一方通行の大きな決断です。いったんYayかNoayと言ったら、もう後戻りはできません。
そしてもちろん、これらの決定に対するフィードバックサイクルは数年スパンです。数年です!その間にはたくさんの浮き沈みがあります。Pinterestでは、実験をリリースして3日後にはその実験の良し悪しがわかるようになっていました。
狂ったような変化です。事業サイドにいるときは、毎日何十もの双方向の意思決定をしています。一方通行の判断をすることは非常に稀です。ここの調整をすることが、線路に乗る上で絶対に必要な車輪の1つとなります。
最後に、事業を行っているときはエグゼキューションのストレスを感じます。VCとしては、そのストレスを不安とトレードしています。潜在的な投資について一方的に判断する不安と、投資後の結果に影響を与えるがコントロールはできないという不安があるのです。
この最後の点をよく理解する必要があります。あまりにも多くのオペレーターが、VCにキャリアチェンジして自社と一緒に仕事をすることで「オペレーション上の問題を解決しよう」と考えています。しかし、それは間違いです!それは妄想であり、企業にとって不健全なことです。問題を解決したければ、他のはけ口(このツイートスレッドみたいに!)を見つける必要があるでしょう。
この段落に対してSpotify創業者ダニエル・エクが質問
ダニエル・エク:なぜ投資家が企業のオペレーション上の問題を解決してはいけないのでしょうか。プロセス次第ではありませんか?
ありがとう、ダニエル。いくつか理由があります。1)自分でそう発言する人は、VCの仕事の現実を直視していないと思います。ポートフォリオに数社しかないときなら掘り下げることができるかもしれませんが、それはすぐにスケールアップできなくなります。
2)自分が企業を助けることを想像して投資先を選ぶかもしれませんが、それは自分にとっても企業にとっても危険です。会社の初期には確かに助けになるかもしれませんが、すぐにあなたの目的はあなた自身が余剰になることになるからです。
3)そしてオペレーターとして「本当に本当に」優秀でもない限り、フルタイムで会社にいないなら協力できないと思います。
ですから、繰り返しになりますが、これは大きな転身です。しかし、いったん軌道に乗れば、学ぶことが好きで、果てしない好奇心があり、創業者と一緒に仕事をしたり、創業者をサポートしたりすることにエネルギーを感じ、投資家としての気質があり、売ることが好きで、競争力がある人であれば、これ以上の仕事はないと思います。
※この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。