【前編】VR黎明期での市場選定と高速プロトタイピング|クラスター 加藤直人氏
【前編】VR黎明期での市場選定と高速プロトタイピング|クラスター 加藤直人氏

【前編】VR黎明期での市場選定と高速プロトタイピング|クラスター 加藤直人氏

この番組は、East Venturesの村上さんとスタタイのコラボ番組です。

East Venturesの村上です。いま最前線で戦うスタートアップの創業者をゲストに迎え、創業のインサイドストーリーやスタートアップを立ち上げ・経営する上での考え方を語っていただくPodcast番組「The Founders」の書き起こしです。

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今回のFounder

誰でも手軽にバーチャルルームを作ることのできるバーチャルSNS「cluster」を運営 / 拡大に向けてエンジニア・ビジネス職問わず積極採用中

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目次

3年のひきこもりから起業へ

村上:けっこう有名なお話で、創業前は引きこもっていたという。

加藤:最近はひきこもらなすぎて、ひきこもってたのは嘘なんじゃないかという説が流れてますけど、実際にちゃんとひきこもってました。京都大学に行って、大学院を半年ぐらいで中退して、3年間ひきこもり生活をしてから会社を作りました。3年間ひきこもっている時は結構ガチでひきこもってました。あんまりネガティブじゃなかったんですけど、なんか楽しく家の中で遊んでいたりプロダクト作ったり、開発したりとかしてたら気づいたら引きこもってたという感じだったんです。

まあでも、1年間に会う人はコンビニの店員さんとかそれくらい。あと共同創業者ですね。共同創業者も同じく大学の社会不適合組なんですけども、中退してひきこもってた組なんですけど、一緒にプロダクト作ったりとかしてたという、そんな感じでしたね。

村上:別に意思を持ってひきこもっていたわけではなくて、気づいたらひきこもりの状態になっていたんですね。

加藤:そうですね。気づいたら「あれ、ひきこもってるのかおれ」くらいの感じですね。ひきこもれた理由も、元からプログラミングとかで稼げてたっていうのがあるんですよね。まあ、個人でゲーム作ったりとか、あとはゲーム作りを受託するという形で作ったりとか。プログラミングのスキルを使って、コンシューマー系ゲームの下請け会社でアルバイトしたりとか、そういうことをやっていて稼げたというのがあるので、ちょこっと稼いで残り時間は家でゴロゴロするか、自分の好きな開発したりとか本読んだりというそんな生活を気づいたら3年やっていたという感じです。

村上:そのひきこもり生活からどうやって対極の起業に至るんですか?

加藤:学校を辞めたときも、何かしら世の中を変えるようなものをしたいみたいなことを考えていたんですね。SFが大好きというのもあって、ガンダムの影響で大学で宇宙をやり始めて。量子コンピューターとかもやってたんですが。僕は掛け持ちして卒論を2つ書いてるんですけど、量子コンピューター系をやったのは、攻殻機動隊とかそういうSF世界が大好きだからというミーハーな感じでやり始めたんですけど。アカデミアを辞めたのもアカデミアの時間軸ってすごく長いので、僕の求めてる感じでもないなと。どういうことをやるのが自分にとって合ってるのかみたいなことが、ひきこもり始めたときは分かってなかった。

起業するっていう発想がなかったんですよね。たまたま開発ブログを書いていた時にスカイランドベンチャーズ木下さんから声をかけていただいて。そのときに、そんなに開発できて、しかも暇な感じなんだったら絶対会社作るべきだよっていうふうに言っていただいて。支援するから会社作りなよって言われて、「なるほど、会社を作るっていう手段があるのか」ということに気がついたというような経緯ですね。

関西にはスタートアップという選択肢は本当になかったので、純粋にそのカルチャーを知らなかったんですよね。木下さんにこれ作りなよって言われてすぐ作るってわけではなかったんですけどね。すごい警戒してたので。木下さん、見てくれはちょっと怖いじゃないですか。いかつい人にいきなり「支援するから会社作りなよ」とか言われても、「ちょっと怖いな。どういうこと?」みたいな感じだったんですけど。

ただ、その後にあの木下さんの出資先の方を紹介してもらったりとかでスタートアップの力学というか、ベンチャーキャピタルの力学のような全体像がなんとなく見えてきて、会社を作りました。

超黎明期でのVRというマーケットの選定

村上:それは最初からVRの事業だったんですか?

加藤:そうですね。「会社作らない?」って言われたときにどんな領域にするかというのを考えて、何個かやりたい領域があったんですよね。バーチャル領域の発展に関わるというのが1つ。

宇宙が大好きだったので、宇宙やりたいとか量子コンピューターやりたいとかその辺はすごく考えたんですよね。SF的な世界観が大好きなので、SF的な世界観から実現できるようなことをやってなんぼだろうと。ただ僕みたいな、3年間ひきこもってましたみたいな人間がお金稼ぎますといっても寒いだけなので、そういうSF的な世界観を作りたいなという厨二病心を持ったまま振り切りたいなと何個か挙げた中で、量子コンピューターは早いなと。専門でやってたからわかるんですよ。ビジネスにするってなるとまだ早い。まあやりようはあると思うんですけどまだ早くて。

宇宙もやはり、何も経歴がないスタートアップの初手として2015年段階でやるのはちょっと早いかなと感じました。今は宇宙とか結構ありだと僕は思うんですけど。

2014年にOculusがFacebookに20億ドルとかで買収されて、たった1年半とかの会社が20億ドルつくって訳が分からないなって感じなんですけど。普通にそれもニュースで見て、それでVR被ってたというのも結果としてあるんですけども、そういうのもあり、2015年の段階でそのディベロップメントキットみたいなのが普及していて、2016年にOculusのコンシューマーバージョンが出る、SONYがPlayStation VRというのを出すという情報が2015年段階でわかってた。なので、コンシューマーバージョンのデバイスが出るロードマップが見えていたので、このタイミングに入っていくっていうのはすごくありだなっていうふうに考えたというのが、VRを選択したということが第1の理由ですね。

村上:2015年に創業した時、コンシューマーデバイスが出るか出ないかぐらいじゃないですか。それは早いとは思わなかったんですか?

加藤:他の宇宙とか量子コンピューターに比べたらマシかなっていう。比較対象がその辺だったというのがあって、0から産業を作っていくみたいなところに携われるんだとしたらそれはすごくいいなと思ったのと、あとコンシューマー向けのデバイスが出るんだとしたら何かしらビジネスを作り得るというふうには思っていた。かつ、VRのヘッドセット以上に3D CGでしたね。3D CGの技術がゲームだったりとかで使われてたり。僕はもともと個人のゲーム開発者として受託とかでゲーム会社の下請けで働いたりとかしてたんで、ゲームの3D CGの技術がわかっていた。僕、ゲームエンジンの本とかも書いてますからね。それもあって、3Dゲームの3D CGの技術がインターネットと結びつく、デバイスと結びつく、AIと結びつくみたいな世界観というのは絶対くる。すごい大きいトレンドだろうっていうのは分かっていたんで、ビジネスを間違えなければそんな簡単に死なないだろうというふうに思っていたと。

もちろん今からするとすごい甘い考えもたくさんありますよ(笑)たくさんあるんですけど、そこできちんとお金を回すというのは十分に可能なんじゃないかみたいなことを考えていた。

村上:マクロな未来が割と解像度高く見えていったから張れたっていう。

加藤:クラスターもここ最近はコロナとかでだいぶ案件が増えて、ありがたいことにビジネスも利益が出るようになってというのはあるんですけれども、たまたま来たというよりかは、時間が巻いたという感覚なんですね。僕の肌感ではビジネスになるのに10年くらいかかるかもと思ってたので。すごい時間がかかる覚悟をしてましたね。たまたまですけどパンデミックが起こって、これは必然的にですけど、バーチャル上のプラットフォームが集まる技術を整えていたクラスターの需要が高まってきたという感じでしたね。

clusterまでの高速プロトタイピングとSFの世界観を共有する初期メンバー

村上:でもクラスターにたどり着くまでに4つぐらい、なんならもっとプロダクト作ってますよね。

加藤:そうですね。4つか5つくらい作って、ただVRであったりバーチャル技術とコミュニケーションをするみたいなところが基礎ではあったんですね。だから1番最初デモとして作ってたのはVR上の会議システム。それこそ、そういうスタートアップが海外含め国内もいますよね。会議をやりますであったりとか、あと、中でみんなで動画を見ますとか、メッセージやり取りするアメーバピグっぽいやつとか。 あと純粋になんかゲームに振り切って脱出ゲーム、それも1人プレイのゲームじゃなくて、コミュニケーションしながら、ユーザーが作ってみたいな脱出ゲームを作るためのものであったりとかを作っていましたね。まあそういう作っては捨て、作っては捨てをやっていて、クラスターというものが半年くらい経ってできたんですよね。

村上:なんでそんな高速に半年でたくさんのプロダクトを出せたんですか?

加藤:もともと僕はプログラマーだったというのと、共同創業者もプログラマーで、2人でたくさんものを作ってたんですね。ひきこもり時代からしょうもないwebサービスとか作りまくってたんで。それでプロダクト開発に慣れてて、ゲームとかもよく作ってたんで。

あと、スカイランドから資金調達をした後に即2人雇ったんですよ。京都で業務委託というかバイト的な感じだったんですけど、お仕事いただいてたゲーム会社さんがいて、そこで働いてたすごい一緒に働きたいなと思ったエンジニアとデザイナーを口説いて、一緒に東京に来てもらって。しかも資金調達する前ですね。口約束だったので、今考えると結構な事したなあと思うんですけど。口約束しかしてなくて、最初のファイナンスが1,500万円だったんですけど、口約束状態でファイナンス決まってて、会社作るんで会社辞めて来てくれませんかみたいな感じで口説くと。ファイナンスこけてたらどうしてたんだって感じですけど(笑)

村上:二つ返事でOKしてくれたんですか?

加藤:悩んではいたけれども、でも結構早いタイミングで。

村上:どう口説いたんですか?

加藤:バーチャル上のソードアートオンラインみたいな世界観を作りましょうっていう(笑)

これすごくいいなと思うのが、こういう共通言語として、アニメとかSFとかの世界観を出せるってめちゃくちゃいいんですよ。日本ってすごい恵まれてるなって思うのがSF、アニメ大国じゃないですか。だって「どこでもドア作りたい」って言ったら、みんな一瞬で腑に落ちるじゃないですか。これ凄いことですよ。単語が共通化してるんで、テレポーテーションを実現させたいと言われても、「え?」って感じがしますけど、どこでもドアを作りたいという言い方もできるんですね。だからバーチャルの世界を作るっていうときに、バーチャル世界でああでこうでって説明せずに、ソードアートオンラインみたいな世界を作りたいんですよっていう話をすると一発で伝わっていいんですよね。これは日本において人を集めていくという点において、日本人のすごいアドバンテージだなと思いますね。

これが採用の時にも役立ち、2人を雇い、7月に会社を作って開発を開始した。だから、エンジニア3名のデザイナー1名の4人状態とかだったので、「作っては捨て、作っては捨て」がすごい出来たんですよ。

当時はVRのコンシューマーバージョンが出てないですから、コンセプトで未来を見せないと意味がないし、形になるようなビジネスにならないと意味がないので、とにかくたくさん作って、いろんな人に試してもらいながら糸口を掴もうっていう感じでした。

大量のフィードバックを浴びて軸を作っていく

村上:プロダクトをいっぱい出していく中で、撤退の意思決定はどうしてたんですか?

加藤:Hive Shibuyaというコワーキングスペースにいたのが良かったんですけど、当時のスカイランドアソシエイトの廣澤くんだったりとか、岡山くんだったりとかに人を集めてもらって、ヒアリングがそこでできる。だからすごい良かったですよ。コワーキングスペースに入るメリットはそこですね。それで反応を見つつ、さっさと捨てて作ってっていうのを繰り返した。

村上:それは割と定性的な判断だったんですか?

加藤:定性的な判断ですね。だからもう反応がピンと来ないんだったらダメでしょっていうような、なんか「これだ感」がないとやっぱりダメだなと。そもそも会社を作ったばかりの時に、自分自身まだセンスがそんなにないって自覚してたんですよね。ビジネスのセンスやスタートアップのセンスが最初から備わっている感じじゃないと思っていたので。

だからこそいろんな人に話を聞いたりだとかもそうでしたし、当時はIBM BlueHubというアクセラレーションプログラムに行ったりとかしてましたね。で、いろんなメンターの方に話聞いたりとか、とにかくあの自分の感性だったりとかを信じずに、周りがなるほどってなるようにやりながら、自分自身でもこれはいけそうみたいな肌感が生まれるまでは作っては捨てを繰り返すと。

村上:外部からたくさん意見を取り入れるじゃないですか。いろんなこと言われると思うんですけど、それって混乱しないんですか?

加藤:混乱しまくりですね。特に会社作ったばっかりの時は混乱しまくるんで。でも別にいいと思ってて。ふらふらしてても仕方がないとは言え、まあやっぱり当時はひとりひとり経営者から意見を聞くと、「やっぱこうかなあ。でもなあ、こうでもないなあ。」みたいな感じですよね。でもそれを経ることでしか軸みたいなものってできないのかなと当時思っていたし、今もそう思ってます(笑)

そういうのもあって、そもそも自分自身に社会人経験がない、ビジネス経験もないので信じるべきものを作っていくフェーズだと割り切ってはいました。

大量にシャワー浴びるようにインプットしながら、何かそれっぽいものを掴みきるまでは頑張ろうみたいな感じですね。まあ焦りますけどね。当時焦っていたし、どうすればいいんだろうなと思いながら必死でしたけど。必死になりながらいろんな意見を取り入れながら、道みたいなものを探すっていうのをやってましたね。

今はやっぱり信じるべき道だったりとか。クラスターのビジネスモデルの戦略とかもすべて言語化出来てますけど、当時はそんなことないですからね。いろんな人と会話しながら、やっぱこうなんじゃないかとか。

村上:VRという領域を変えようと思うタイミングはなかったんですか?

加藤:なかったですね。あまりVRヘッドセットにこだわってなかったというのもありますけどね。それこそ、今ではクラスターはスマホでも入れる、PCでも入れる、VRのヘッドセットでも入れるっていう感じですけれども。

もともとゲームで使われる3D CGの技術がよりインターネット的に使われていくようになる。インターネット的っていうのはユーザーがコンテンツあげて、「誰がこのコンテンツ欲しがるの?」みたいなコンテンツを世の中には数人とかが欲しがる人がいるというのがインターネット的。

だから、どこまで行ってもローグテールの力がインターネット的というものですけど、まあ糸井重里さんが、インターネット的って本を書いてますけど。

そのロングテールのインターネットのパワーみたいなものが、3D CGのゲームだったりとか、バーチャルっていう世界観と掛け合わさることだけはずっと信じてたし、ずっとぶらさずにやってた。そこだけは信じてるポイントだったんです。うん、まあゲームが好きだったってこともあるんですけどね(笑)

シンプルにそれが好きだったから、そういう世界がもっともっと一般の生活に入り込むっていうのはあるでしょくらいの感じ(笑)それだけが信じるポイントでしたね。

相当な何かを生み出してしまったcluster

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村上:それで半年ぐらいやり続けてクラスターにたどり着くんですよね。どうたどり着いたんですか?

加藤:純粋にいろんな人に作ったりとか、脱出ゲームのコンテンツとか作ったりしてたなかで、なんか純粋に今VRで100人とかでいいから、なんかすっきり熱狂してくれるものみたいなのにしようと。100人が熱狂してくれる。VRのディベロッパー100人が熱狂するものってなんだろうと。

彼らがずっと「なんでVRの勉強会をVRでやらないんだ?」みたいな話をされていたので、純粋にそれ作っちゃえばいいんじゃないかとパッと思ったんですよね。

VRの体験会みたいなのに行ったんですよ。ゲームを作って体験会で(VRヘッドセットを)被せてみたいなのをやったんですけど、1日がかりでいろんな人に被せて疲れたんですよ。体力をすごい消費して疲れてしまって(笑)もうフィジカルはクソだと(笑) こういう体験会とか全部バーチャルになった方がいいだろうっていうやけっぱち感で、こういう勉強会とかイベントみたいなもの自体をすべてバーチャル化してしまうっていうコンセプトのプラットフォームを作ろうと。

加藤:実装も超シンプル。「とりあえず数百人集まって、スライドになにか映して喋れる、以上!」というだけの物を作ったんですけど、それを作ろうって言ってから、ローンチまで2週間ですね。もちろんその手前で4つぐらい作ってたやつを流用したんで2週間でできたっていうのはあるんですけど。 これがすごく反応良かったんですよね。アハ体験じゃないですけれども、「イベントなるものはバーチャルで行けるっていうこの体験はすごい。なるほど。」というのはありました。

その熱量みたいなものが感じられて、それで次のファイナンスに繋がりましたし、こっちの方向だと。具体的に集まってる熱量感みたいなのが、インターネット上に可視化された瞬間がそのクラスターという1番最初のα版を出した勉強会で、200人くらいがウワッて集まった。というので、これは相当な何かを生み出してしまった感があったんですよね。でもそこから何をするかというと、この生み出してしまった熱量みたいなものがおそらくこれは発明であるということはわかっているけれども、どうビジネスにするか。そこからはすごい悩ましい時期ですね。

村上:そこはまだ確立されてなかったんですね。

加藤:そうですね。かつ2週間で作ったんで、やはり張子の虎でもあったんですね。コンセプトだけの状態だった。まずはまともに動くようにしようっていうのにそこから1年かかったんですよ。この領域、クラスターも今やってて分かるのが、スマートフォンアプリとかwebアプリに比べると作らないといけない物量が純粋に多いというね。なので、まともにプロダクトとして動くのに1年かかった。で、正式版が出たのが2017年の5月ですね。

村上:結構プロジェクト開発に時間を要したと。

加藤:そうなんですよ。当時イベントをやるって言ったときに、誰も自由にイベントを作るとかできなかったんですよ。直にイベントを作ってみたいなことをやらないといけなくて。これはもうサービスとしての機能も全然ないし。というので、まともに動く状態にしようというところからスタートって感じですね。

村上:当時、ユーザーの使われ方としてはどうだったんですか?

加藤:この時期は全然順調ではなくて、その1年間はどちらかというと問い合わせベースでイベントやってみたいなのを月に1件とか2ヶ月に1件とかでやっていました。ただそればっかやってるとイベントの開発が進まないので、それもちょいちょいやりつつもいろんな機能補充していって、まともに動くようになった正式版のリリースが2017年の5月。

村上:その時にはもうビジネスモデルは固まってたんですか?

加藤:いや、全然です。ただまあ1年走らせながら、いろんな人だったり、経営者の方々とお会いさせていただいて、いろんな話を聞き、その時にイベントのマーケットってどうなってるんだっけとか、その時のイベントでお金稼いでる会社だったりとかを調べるようになり。ライブだとLive Nationっていう会社が売上1.5兆とかあるらしいぞみたいな。その辺の市場感だったりとか、リアルイベントの市場感っていうのをすごい勉強するようになりましたね。

そのときに、まあなんにせよ、イベントをバーチャル上で作るんだというのだけはわかってた。リアルであるものをどう載っけるかだけなので、どう作っていこうなんですよ。何か新しいものを発明するというよりは、リアルであるものをどうやってこっちのバーチャルに載せ替えるか。 分かりやすくやりうるのは、おそらくタレントさんがライブやったりすることだろうと判断してるので、アーティストさん、タレントさんがバーチャルのアバターで出てきてライブコンサートする。それによってチケットだったり物販だったりギフトだったりとかが発生する。これはなるだろうと思っていたんですよ。そんなの、特に日本でやるんだとしたら絶対発生するじゃんと思ってたんですよ。初音ミクとかいますし。なので、成り立たない理由がないと思って

というのもあって、まあとりあえず1つ1つやっていこうっていう感じでしたね。だから2017年に正式版出したあたりとかから、そこからバーチャルYouTuberというものが盛り上がり始めるのに半年かかるんですけど、バーチャルYouTuberに火が付き始めるのが、その年の12月なので。そこまで半年時間かかるんですけど、それまでの間にそのバーチャルタレントさんと組んで握手会的なことやったりとか、なんか色々やってましたね。いろいろやりながらも、冬の時代でしたね(笑)

熱量あるユーザーがいればビジネスとして成立する

村上:ビジネスとして成り立つと確信したのは2018年とかですか?

加藤:そうですね。ビジネスに関して言うと、LikeじゃないLoveみたいなものがありさえすれば、それが数十人から数百人いればビジネスにはなるだろうとすごい楽観的に考えていた。というか、ビジネスの本質ってそこだと思ってるんですよね。純粋に何か欲しい人がたくさんいる、でいくらでもお金払う、いくらでもサポートするみたいな。今のサロンビジネスとかもそうですよね。2008年くらいにWIREDの元編集長が、1,000人のtrueファンによるビジネスの時代がやってくるみたいなことを言っていて。

インターネット全盛期において、結局のところ1,000人お金を払い続けてくれるような、本当に愛してくれる人がいさえすれば小さくてもビジネスになると。

スタートアップの立ち上げ方の本質ってそこなんだろうなって思ってたんですよね。クラスターも、クラスターのファンみたいな方が数百人いらっしゃったので、じゃあどうやって広げていくのか、形にするのかという問題はあったけれど、ビジネスにはなるだろうって思っていました。

かつ、やってることがすごいシンプルだと思ってたんですよね。デジタル化されていないイベントというマーケットがこれだけのサイズ感あると。国内だけで数兆円の産業がここにあると。たった数パーセントでいいからインターネットに載せるっていうことができさえすれば、ビジネスにならんわけがないというふうに考えていた。

パンデミックは全然予想してなかったんですけど(笑)イベントなんていうのは、やっぱり僕も引きこもってたからわかるんですか、人の根源的な欲求なんですよね。ライブに行って、すごい心の底からうおおっていう感じになるみたいな(笑)

たくさんの人が集まって同じものに向かって熱狂している、その熱狂感みたいなものをシェアしあう、そこに対してお金を落とす。

どこまで行ってもそういう体験ってお祭りですよね。古くはお祭りからだと思うんですけど、一箇所に人が集まって火を焚いて火の周りでワーワー騒いでるみたいな感覚ですよ。この感覚ってどこまで行ってもなくならないはずだし、これがインターネットに載ってないっていうのがおかしいって感じだった。誰かがやらないと。誰もやろうとしてないんだったら僕がやろう。そうなると、僕の引きこもりも加速して僕も嬉しい(笑)

村上:こういう産業って課題解決とかじゃないじゃないですか。どうアイデアを出しているんですか?

加藤:僕はもうシンプルに作りまくって、人に話聞きまくるしかないんだろうなと思ってますね。結局なんかイベントで稼ごうみたいな感覚もひとりで生まれたのかというとそんなことはなくて。じゃあ生み出してしまったこの熱量をどうやってビジネスに変えていくんだっけっていうのを、いろんな経営者の方々だったりとか、いろんな人に壁役になってもらいながら話をしているうちに、それってイベント産業じゃんと。なんかイベント産業ってこういう構造してるらしいよとか、じゃあなんかその人に話聞きに行ってみようって話を聞きながら、なんとなく市場構造を理解していく。

そのためには何か動くものがないと話が進まないので、「とりあえず作ってみんなに反応を見てもらう、作って話を聞きに行く、以上。」みたいな感じですよね。それ以上も以下もないのかな、シンプルに。

ただ、もちろん正式版がでたのが、2017年5月とか6月とか、ちょうどIVS 2017で優勝させていただいたのが正式版が出たあたりなんですけれども。そこから半年くらいはどうしようかなと思いながら、なかなかビジネスにするのが難しいなと悩みまくってた時期ではありましたね。

悩んでるうちにバーチャルユーチューバーさんとかの波が盛り上がりはじめて。バーチャル空間でチケット売ったり、ギフトを投げたりとか、物販したいとかっていう世界観に振り切ってやっていこうっていうのもいろんな経営者の方と話をしているなかで、こうじゃないっていうふうに気づきをもらって振っていったっていうのがあったので。僕1人の発想ではないですね。

村上:今でこそVRもある程度ホットな領域として認知されるようになってきたと思うんですけど、当時ビジネスモデルも確立されてない中で、どうやってお金を集めたりとかしたんですか?

後編は明日(3/22)公開予定!

クラスター採用ページ(拡大に向けて各ポジション積極採用中のようです)

※情報開示:今回のインタビュー先のクラスターはEast Venturesの出資先です。