実際に自分で作って自分だけのデータを貯めていくことが大事。STARTUP LIVE古川健介氏
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登壇者のTwitterはこちら(堀さん琴坂さんけんすうさん

目次

琴坂:けんすうさん、本読んでいただけました?

古川:本読みました!おもしろかったです!というのも、こういうスタートアップ系の本で、あそこまで体系的にまとまっていつつ、ケーススタディまでちゃんとついてるっていうのが日本にはあんまりなくて。海外の昔の本でHotmailの人の話とかがある、『Founders at Work』という本があるんですが、あれがすごく好きなんです。翻訳はちょっと特殊な感じなんですけど内容はよくてよく読んでて、あれの日本版欲しいなと思っていたので、すごいよかったですね。想像の3倍よかったです。

琴坂:堀さん、実はわれわれ『Founders at Work』って参照してましたよね、最初。

堀新一郎氏(以下、堀):そうです。やろうとしてることをすでにYコンビネーターのパートナーがやってることに気付き。ビジネスモデルでもそうですけど「このアイデアすげえイケると思ったら、実はすでに世の中に存在した」みたいな感じでしたね。

あの本読んですごい良い本だったんですけど、ケーススタディがそのまま載っちゃってるんで、「要は何なの?」っていうところがわかりにくくて、読後感そこらへんがちょっと消化不良な感じがあったので。そこを頑張ってまとめたら良い本になるんじゃないかなあと思って、あの本を参考にしながら、その上位互換をつくりにいこうっていうチャレンジングな試みでしたね。

古川:すごい。

琴坂:リード文って、堀さんが私の壁打ち相手だったんですけどドキドキしながらまとめて。けんすうさんとかから「まとめ方これクソじゃね」って言われたらどうしようみたいなことを考えながら(笑)

どういうふうに読んでいただけました?

古川:最大公約数として書くとしたら、これがベストかなという感じですね。「こういう考えもあるよ」とか、いろいろあると思うんですけれども、「一番最初に書かなきゃいけないことはこういうことだよね」っていうのがすごくまとまってて良いなというのと、こぼれたものはケーススタディの中で、個人の出来事として「こういう考えもあるよ」っていうのが入っているので、バランス取れててすごくいいなと思いました。

琴坂:ありがとうございます。ちなみにみなさん、これまったくやらせとか打ち合わせしてないですからね。心からの声をね(笑)

古川:心からの声ですね。ほんとに良い本だと思います。

琴坂:ありがとうございます。この本、ケースもそれぞれ分けていて、けんすうさんは第5章のところに登場いただいてますが、ご自身のケースってどんなふうに読まれました?

古川:僕、基本的に自分が嫌いなので、「この人、嫌だな」という感じと、僕が資金調達のところ話すって結構面白いなと思って。資金調達とか交渉ごとがそんなに得意ではないので、そのチョイスはちょっとアリだなと思いました。

琴坂:堀さん、なんでけんすうさんがここに入ったんでしたっけ?

堀:もうほかのパートが全部埋まってたので(笑)

古川:ちょちょちょちょ。穴埋めとしてね?

堀:いや、でもすごい資金調達でしたよね。まず、小澤さんっていう当時の業界の中で相当有名なエンジェル投資家から投資を受けるというのはすごいことだったと思ってるので、それどうやってやったのかなっていうのもあったし。あとグロービスさんからの巨額の資金調達。当時にしては、結構大きめの調達だったと思うんです。うん。本当に資金調達のパートはすごい興味あったのと、結構プロダクト周りの話はアル開発室さんも含めて、過去のブログとか見てもそこが1番面白そうだなと思って。これ本当にそう思いました。

なぜアルを起業したのか

琴坂:この本に書かれてなくて聴衆のみなさんが知りたいのは、今の事業。今の事業に至った経緯とか、どうしてそのアイデアになって、それをどうして事業にしようと思ったかってことも少し教えていただいていいですか?

古川:そうですね。もともと、次は全然違う何かをやろうかなと思ったときに、次はちゃんとビジネスモデルがパキッとはっきりしている、要は方程式があって、どちらかというともうちょっと大人な感じのものをやろうかなと思っていて実際にプロダクトも作って、事業計画書もできて、もうリリースできるなぐらいまでいったんですけど、そんなものを作って友達に見せたとて、みんな「いいんじゃない?」ぐらいの感じだったんですね。

で、そのときにちょうど出版社の偉い人から相談があったりして。こういう課題があるみたいな話を相談されたときに、それってIT企業の社長とかIT分かっている人が、漫画に思いがあってフルコミットでやるとそういう課題って解決できると思いますみたいな話をしたら、「そういう人がいたら探してくれ」と言わて、探してたんですね。そんなときに、もしかして僕が漫画系の何かをやったほうがいいんじゃないかと思って。

琴坂:まさかの自分が。

古川:そうですね。まさかの自分じゃないかと思って。企画書とプロダクトがある他のプランと、僕が「漫画の何か」をやるのはどっちがいいかと聞いたりしたら、みんな「うん、漫画だね」って言ったのでじゃあこれは漫画の事業やろうと思って、漫画の事業を始めました。

琴坂:どっちかっていうと企画とかよりも、やることが先行してそのあとどうやるかっていうプランが出てきたんですね。

古川:そうですね。1番やりたくなかったメディアとかコミュニティで熱量高くして、でもビジネスモデルどうすんだっけみたいなことは絶対やめようと思ってた。(でもそんな)ものをやっちゃってますね。

琴坂:なんでそうなったんですか?

古川:良い話で言うと、趣味が漫画しかなくて。漫画は今すごく売れてるし元気だけれども、何かミスることによって漫画自体が衰退してYouTubeとかばっかりになったりしたら老後困るなとか。 あとは、漫画によっていろいろ助けられたり人生の支えになったなと思ったときに、人生を懸けるとしたらそういうところに貢献できたほうがいいなとか、その辺ですね。

琴坂:人生を懸ける、ですね。

古川:そうですね。100歳までやるとしたら、今から60年ぐらいあるのか。

琴坂:ということは今のサービスは60年続けられる可能性がある?

古川:そうですね。60年飽きないものを探すのって結構大変だなと思うんですけど、そういう意味ではできるなと思った感じですね。

シリアルでも事業作りに対する悩みは変わらない

琴坂:2周目3周目と行くなかで、アイデア発見して事業作ってというのはどういうふうに進化していくんですかね?

古川:あんまり進化しないなって思って。stand.fmとかnewnやってる中川綾太郎さんっていう結構仲良い友達がいるんですけど、いまだに話し合うのって「ビジョンって作ったほうがいいですか」とか「エンジニアの採用どうやってますか」みたいな感じで若手起業家と変わらないんですよ。なので、実際そこが短縮できてるとかそういったことはあんまりないなと思ってますね。ただ、辛いことがあったときに「こんぐらいの辛さだけど、3カ月後にこうなるな」みたいなのが分かってるのでメンタルは安定するかもしれないですね。

琴坂:こんな落とし穴があるとかそういう引き出しはあるんだけど、毎回解いている問題、直面する課題は同じで、それにひたすらアタックし続けてるっていう。

古川:そうですね。問いは同じだけど、思考は深くなってるとは思いたいですね。

堀:僕からも質問なんですけど、2回目起業される方たちって、1回目成功して2回目挑戦される方って「1回目より高い山登ろう」っていう意識だったりとか、失敗に対する恐れみたいなのが2回目だからあるとかそういうものって精神的に生まれたりするんですか?

古川:ある人も結構いますね。特にメルカリとか、CASHの光本くんとか、連続起業家がものすごい成果を出すのを目の当たりにしているので、すごいやっぱり緊張するというか、しょぼいことできないなってみんな思っていて。

メルカリの山田進太郎さんからはここだけの話、「けんすうが失敗すると、みんなやりやすくなるからドーンと失敗してよ」って言われてて進太郎さん、すごいなと思ったんですけど(笑)ただ、結構それいいなと思って。失敗する人もいるんだなとか、こんなしょぼいことになるんだみたいな例もあったほうが全体としてはいいので。僕は失敗してもいいというか、失敗を恐れるよりかは大きくチャレンジして、「めっちゃ失敗したけど、ああいうチャレンジありだよね」って言われるようなものにしようみたいなのはありますね。

琴坂:ここで、1番票を集めてる質問が面白くて。60年かけてもいいと言うアルがなかったとすると、今だったらどんな業界でどんなサービスをやってみたいですか?

古川:実際作っていたやつのひとつなんですけれども、インターネットを使わないメッセンジャーを作っていて。

琴坂:糸電話(笑)

古川:糸電話みたいな(笑)要はBluetoothでバケツリレーすると理論的にはメッセンジャーとして機能するよねってやつで、すでに海外にはFireChatとかあるんですけど。 世界で一番人口密度が高いのって東京なので、まず東京の高校生向けにパケ代が一切かからないメッセンジャーとして出して、高校生が多分2万人ぐらい東京で使うと理論上東京内はカバーできるんですよ。

とすると、インターネット回線に一切繋がらなくて、政府もキャリアも監視できなくて、何が投稿されているのか我々にも分からないメッセンジャーができて、それは面白いんじゃないかと思って実際に作ったりはしましたね。

琴坂:実際に作られたんですかそれ?

古川:実際に作りました。ただ、iOSとAndroidの場合は、画像とかを送るのにめっちゃ時間かかるということがあって。もうちょっと時代を待たないと心地良い使い勝手にならないなと思ってやめちゃいましたが、動きはしましたね。

琴坂:そのなんか、検討される際のアイデアの広がりってどこまで広がるんですか? 今の(アイデアは)サービスからハードウェアまで踏み込んだサービスですけど。「こんな変なのも考えた」みたいなものがあれば教えてもらいたいです。

古川:実際に作って動いてたのが、Gmailでログインすると今まで買ったYahoo!ショッピングとかAmazonとか楽天とかのECの履歴を全部引っこ抜いてまずログにしますと。そのあとは、Amazonで買ったときにそれより安いものがYahoo!ショッピングとかにあったら通知をくれるっていうサービスを作ったんですよ。そうすると、要はAmazonで2,000円だけど、Yahoo!ショッピング1,000円だよってことが。Yahoo!ショッピング超安いので、ポイント入れると。となると、後から価格比較ができるので、安心してAmazonで買ってれば安いときはYahoo!ショッピングに変えられるじゃないですか、キャンセルして。

というので、後から価格比較するっていうのを作ってたりしましたね。これ、いまだにちょっと欲しいですね自分でも。

アイデアの磨き方

琴坂:けんすうさん、そういうアイデアとかって何個ぐらいつくるんですか? 決め打ちで2,3個なのか、それともいろんなものをブレストして100個くらいリストアップするタイプなのか。

古川:リストアップはしないですけど、めちゃくちゃ出てきますねやりたいサービスが。

琴坂:その発想の源泉ってどこにあるんでしょう。

古川:こういうことできるよねっていうのが、ひっきりなしに出るので。出そうと思えば無限に出せます。

琴坂:リスナーの方々へのアドバイスとしては、どんなことすればそうなるんですかね? どうすればけんすうさんに近づけるか問題っていう。

古川:初期の頃、大学生の頃とかはセンスなんてないので、2ちゃんねるのひろゆきさんとかに「こういうサイトどうですか」とか「こういうアイデアどうですか」っていうのを送りまくってましたね。そうすると大体ロジカルに論破されるので、引っ掛かりどころというか、これ駄目なんだなっていうのを学んで精度を上げていったっていうのと。あと、やっぱり作らないと分からないというか、自分だけのデータをためないといけないと思ってるので、市場調査とかをしても僕はあんまり役に立たない派で。自分で作って自分だけのデータを詳しく知ってるというのが大事なので、実際に作るっていうのがいいと思ってますね。

琴坂:作って、使う人にぶつけてみてデータにするっていう。

古川:そうですね。実際、このボタンがどのくらいクリックされたかとかって絶対メディアには他の企業の情報が出ないので。それがないと判断できないなって思ってますね。

堀:プロダクトづくりする際ってのは、(けんすうさんは)ユーザー起業家なのかなっていう印象を持ってるんですけど。自分が使いたいものを作るところから始めるのか、今おっしゃっていたみたいに他の人に使ってもらって検証するっていう話もありましたけど。まあ正解はなくて人それぞれだと思うんですけど、けんすうさんにおいては、自分はこういうものがあったら絶対使うのになとか、欲しいなっていうところから始めることが多いんですか?

古川:僕はどちらかというと、こういう場をつくるとユーザーさんはこう動くはずだっていう仮説があって、仮説があるとめっちゃ試したいというか、実際どうなるんだろうに興味がありすぎてやっちゃうっていうのが正しい感じですね。

琴坂:やっちゃうっていうのは、それが検証できるぐらいのいわゆるMVPみたいなものまで作ってしまって、それで実際のユーザーのリアクションから検証するっていうことなんですよね?

古川:そうですね。最近、アルペイントっていう、Twitterでお題を募集するとその場でお絵描きしてシェアできるみたいなものをつくったんですけど、これはたしか先週に話が出て、今週月曜日にリリースして、そしたら結構ブワーッと使われて。

そうすると「これ、ただイラストアップされるだけじゃなくてGIF動画にしたほうがいいよね」とか「意外とApple Pencil使いたい人多いよね」とかで、そういうアップデートを今入れてたりして。ってやると1週間2週間で結構試せてインパクトも与えられるので、そういうのはつくっちゃうっていう感じですね。

琴坂:先ほどアイデアのときも「昔はすぐ思いつかなかったけど、壁打ちをしながらそのスキルを磨いた」とおっしゃいましたけど、そういう検証方法は、今のスキルに至るまでにどうやって学んでいったんですか?

古川:検証スキルはあんまりなくて、単にリリースが早い人と組んでるってだけだと思いますね。ちゃんと作るのは、簡単って言ったらあれですけど、できるんですけど。「これは後でいいや」っていうボールをひたすら前に投げ続けて早く最低限の実装ができるっていう人は結構貴重で。こういうのをつくってくれる人たちって大体そこが得意なので、アイデアがあったら1日2日でもう触れるものをつくって、そこから検証していくみたいなケースが多いですね。

琴坂:けんすうさんはそのチームを持っているという言い方になるんですか?

古川:そうですね。

もう起業ネタはないのではないか問題

琴坂:今質問の方でまた上の方に上がってきたのが、昔と比べ、起業の金銭的・資源的ハードルが下がったのは間違いないと思いますが、企業ネタはまだまだあふれているのか。インターネット黎明期に比べると、気軽に始められるネタがかなり少なくなってきたのではないかと思います。というなかなか良い質問来てるんですけどどう思います?

古川:すごいインターネット老人的に言うと、2000年のときにもう言われてました。「もう黎明期みたいなネタがあふれていなくてやり尽くしたよね」って2000年に僕聞いてたんですよ。僕もそう思ってたんです。もうさすがにないなって。でも結局じゃあそこから、SNSが生まれてとかなんかいろいろあったので全然あるんじゃないかなと思ってますね。

堀:これ定期的に言われるテーマですよね。

古川:そうですね。これ多分、前回言われたの2007年ぐらいにめちゃくちゃ言われていましたね。

堀:僕、日本国内でベンチャー投資に携わるようになったのは2013年からなんですけど、2015年ぐらいかな。2015年か2016年くらいにもうBtoCは終わった、死んだみたいな話になって、これからはBtoB、SaaSの時代だって言ってて。でも最近でいくと、アルもそうだし、stand.fmだってそうだしみたいな感じで。コンシューマーのサービスもどんどんどんどん面白いのがたくさん出てきているから、決めつけるのはよくないという気はしますけどね。

古川:そうですね。多分2021年、22年ぐらいにまたぶわっと出ると思うので。ちょうど今、僕の感覚だと2008年ぐらいの感じなので、2010年くらいになるとぶわっと出てくるみたいなことが起こるんじゃないかなと思ってますね。

琴坂:確かにそうですね。石油とかそういう堅い産業に比べると、ユーザー側の変容も起きてるし、ユーザーの持っているデバイスも環境も変わっているから、実は枯れたようでいてまた新しいスペースって変容したユーザーの行動とか変わったデバイスとかの状況によってまた生まれてくるんでしょうね。業界が流動的な状況はまだ続いていくのかなと。

古川:そうですね。結構みんなテクノロジーの進化で考えるので、「音声プラットフォームって駄目だったよね」とか15年ぐらい前に言われてたんですよたしか。15年経ってAirPodsとかで、割とそういうの聞くよねって今なってきたので。テクノロジーとか規制とか経済とか、いろいろ見たほうがいいのは事実なんですけど、ユーザーの変容が一番遅いと思ってるので、そこに刺すと結構まだまだあるんじゃないかなという気はしますね。

波が来た時に沖にいないと乗れない

琴坂:これに関係する質問で、これ良いなって思った質問があって。これタイミングってあるじゃないですか。どんなに良いものでも時期的に合わないとやっぱりだめとか。それで質問が、「Why now?に対して、今だって思える瞬間、思えた瞬間。そのとき、どういう思考と感覚を持っているか?」という質問がきてるんですけど。

古川:GREEの田中さんが言っててめちゃくちゃいいなと思っているのが、「波が来たときに沖にいないと乗れない」みたいなことを確か2004年とか05年とかに言ってたのかな。すごい良いなと思って、「だから僕はmixiがぐわって来てても焦らずに、いいエンジニアのチームをつくる」って言ってたんですよ。そのときに、2006年とか07年ぐらいの(GREEの)カンファレンスの取材記事とかを見るとこれからは確実にモバイルとゲームが来るみたいなことを言っていて。なのでそこに張ってますと言っていて。やっぱり本当にモバイルゲームの波が来たときに、GREEは沖にいたので、海で泳いでいたので乗れたっていう感じですね。というのを考えると、「今だ」と思える前に海に出て、「今だ」っていう波が来た瞬間に乗るっていう感覚に近いですね。

琴坂:沖に出てるから、陸にいる人間より早く波をつかめますもんね。それが来てることが分かりますもんね。

古川:そうですね。みんな波が来てザバーッて乗ってる人を見て、慌てて海に行くケースが多くて。これだとやっぱりちょっと大変なので。という感じのイメージですね。アルだと「ここ1週間ぐらいでこういう波かな」みたいなのがたとえば見つかったときに、すぐ乗れるとかはやっぱりエンジニアがいて、会社があって、ユーザーや出版社がいるみたいなのがあるからできるので、そういうの重要だなと思っていますね。

琴坂:それって学生とか、これから起業する方には多分できないと思うんですが、そういう方はどうすればいいですかね?できるかもしれないですけど、辛いですよね。まだ(波を)つかんでないのに会社作れないし、お金がない人たちもいると思ってて。

古川:でもやっぱみんな海には出てますね。delyとかもそうですし、海に出てないとそっちの方が難易度高い気はしますね。なので、海に出てなんとか溺れ死なないようにしておくっていうのをやればいいんじゃないかなと思ってる人です。

1番最初に作ったサービス「呪いのサイト」

琴坂:その中に行かなきゃいけないってことですね。けんすうさんの原点に触れるような質問として、学生の頃からけんすうさんはサービスを作られていますけども、初めに何か作ろうと思ったきっかけは何ですかという質問です。なぜ自分でやろうと思われた?

古川:一番最初につくったのは「呪いのサイト」っていう、めちゃくちゃくだらないやつなんですけど。 16歳ぐらいのときにホームページのつくり方を学んで、「世界中とつながるのすごいな、出してみたいな」と思って出してて。当時、アクセスカウンターっていう何人来たか数字で出てたので、これをめちゃくちゃ増やそうと思って、このページ見た人は10人に教えないと呪われるっていう。

琴坂:チェーンメールみたいなやつ(笑)

古川:チェーンメールみたいなものをやってたんですけどそれが最初で。そこにあった呪いの掲示板っていうのが、このサイト自体が友達ぐらいにしか見せないジョークサイトだったので一応友達が来たときにコメントできるぐらいのノリで掲示板つけたら、人を呪いたい人が、呪いたい人の名前と呪い方を書くっていう、すごいめちゃくちゃ盛り上がる掲示板になってしまって。それで「インターネットすごいな」って思った記憶はありますね。

堀:でも1番最初のHTML覚えて、ネットサーフィンするんじゃなくて作りにいく方に動いたっていうのがやっぱり違いますよね。多くの人はネットサーフィンで終わっちゃうじゃないですか。

古川:多分、時代のおかげはあって。マジでサイトがなかったんですよ。なので自分で作るしかないって感覚はみんなあったでしょうね。

琴坂:分かるかもなあ。私も黒歴史としてモバイル携帯サイトをつくってたんですけど。なかったですね。

古川:なかったのでつくるっていうのはありましたよね。

琴坂:そこが原点なんですかね。

古川:そうですね。あとどのサイトもしょぼかったので、高校生が数時間で覚えたHTMLでもまあ許される感じはありましたね。

琴坂:今、そういうスペースってあるんですか? 許される感があるぐらい、まだimmature(未成熟)なところ。リスナーの方々や、学生とかが行けそうな領域で。

古川:めちゃくちゃあると思いますね。アルペイントとかはまさにそれで、サイト的にはTwitter連携してTwitterに投稿するってところだけサーバー側使ってるんですけど、他はほぼフロントだけで動くし、実装自体はそんなに難しくないので、Twitterとかそういった既存のSNSに乗るものとかはまだまだあるので。今だったらそういうやつじゃないですかね。

琴坂:自分で全部つくろうとしないで、既存のAPIとかを活用したライトな開発をして、ユーザーニーズとか変容をつかめばそこを取っ掛かりに作れるイメージは今持ちました。

古川:質問箱も3日でリリースとかですもんねあれ。で、1カ月で数千万PVとかなんで。全然あると思いますね。

優秀なエンジニアを連れてくるのではなく、優秀な友達にエンジニアをやらせる

琴坂:けんすうさんがそうやってプロトタイプをガンガン作れるのは先ほどチームがあるからっておっしゃってたと思うんですけど、そのチームってどうしたら作れるんですか?

古川:これも持論があって。あんまり賛同してもらえないんですけど。みんな優秀なエンジニアとかを連れてこようとするんですけど、優秀な友達にエンジニアやらせるほうがいいんじゃないかと思っていて。僕、前職も今回の会社もCTOが中高の同級生なんですけど、仲良い友達で頭よければ、プログラミングをやってもらったほうがいいんじゃないかと思っていて。これの成功例は多分Facebookで。たしか、同じ寮の同じ部屋だからCTOにさせられて、させられてっていうか「手伝うよ」って言って土日でプログラミングを教えて月曜日からやるみたいな感じでFacebookができちゃうので。なんかそういうので、仲良い友達とやった方が良い派ですね。

琴坂:できあがった人たちを連れてくるのではないってことですよね。

古川:そうですね。そういう人たちって、ほかにも組みたいっていう人もいるし、そもそも仕事から(関係が)始まって組んでみたら全然できないとちょっとムカつくじゃないですか。でも友達だと「しょうがないかな」と思えるので。

琴坂:「おまえエンジニアできるって言ったのにお前まだ何もプルーブしてないじゃん」みたいなのありますよね。一緒に成長する関係性っていうのは結構重要なのかな。

古川:そのほうがやりやすいんじゃないかなと。

住む場所で起業の難易度は変わる

琴坂:謎の質問もちょっととっていきたいと思うんですけれども。北海道で起業準備中です。今札幌に住みながら起業するならどんなビジネスがよいですか?

古川:めちゃくちゃ無数に「もし地方だったらどうしますか」って質問来るんですけど、僕、絶対に地方でやらないっていうふうに答えていて。収入は住む場所によって変わるみたいな本(編集注:年収は「住むところ」で決まる -雇用とイノベーションの都市経済学があって、どこの土地でやるかってめちゃくちゃ重要で。

たとえば、札幌でやるってなった瞬間に難易度がめちゃくちゃ跳ね上がるので、その難易度でできる自信がある優秀な人ならいいと思うんですけど、そうでないんだったら難易度低い場所でやった方がいいんじゃないかと。日本からアメリカにとか、中国に行くっていうのはちょっとやっぱりビザの関係とかもあって敷居が高いんですけど札幌から東京はそこそこ低いので、東京の渋谷のこのへんとか、難易度が低い場所に行った人の方が成功している気がするし、そっちの方がいいんじゃないかと思ってますね。

琴坂:確かにそうですね。私、1回研究室でマザーズにIPOした企業全社と、ファイナンスした企業全部のロケーションのマッピングしたんですけどほとんど東京。85%ぐらい東京でした。

古川:Google Venturesの調査で面白かったのが、明らかに有意な結果に出た要因として、VCと会社の物理的な距離が近いと成功率が高いっていう。なのでなかなか会えないとか、物理的距離が遠いと目が行き届かなくて、結局ケアできなくて成功率が低いっていうのがあって。なんかでも感覚的にはわかるんですよ。今だとZoomで話せたりすると思うんですけど、そうなるとより会う価値が高まるので、おそらく札幌の起業家と会う時って、たとえば堀さんがわざわざ札幌行ったりとか、来てもらうことも避けるのでZoomになると思うんですけど。大事なのは打ち合わせではない、たまたま会った場所での立ち話10分とかの方が価値が高いときがあるので、そこがある人の方がどんどん有利になるので。

琴坂:私、多国籍企業の研究もしてるんですけど、多国籍企業も結構そういうところがありまして。地域全体の統括責任者とかって、30個とか国見てると各地域に行けるのがやっぱ数カ月に1回しかないんですよね。そうすると、ビジットするときってすごい入念に計算して、自分の発言とか、会う人とかを決めてやっていて。ほとんど電話会議でしかマネジメントができないので、実際に行くときは本当に考えて、この工場にはこういうメッセージ、この代理店にはこういうメッセージっていうのを台本も決めてそれをカスタマイズして、みたいなことをやっているんですね。

多分それって、リモートワークの時代になるとスタートアップもやらなきゃいけなくて。そうすると、会う機会を劇場化する必要があって、これって相当難しいんだろうなって感じがしますね。

古川:まさに。うちだと、会う日をどうマネジメントするかみたいなものは気にしていますね。

けんすうさんみたいな子供を育てるには

琴坂:さあ、またちょっと質問をとっていきたいと思うんですけれども。「自分の子どもをけんすうさんみたいに育てたいです。どういう環境で育ってこられたんですか?子どもの頃の経験で、今起業した上での原体験みたいなものはありますか?」

古川:えっと、ないです。普通ですね。別にないんじゃないですかね。多分、教育はそんなに影響しないと聞いて。たとえば、親に言われたことと友達に言われたことでどっちが影響度高いかっていうと友達らしいんですよ。ほとんど。親に言われたことの影響度って全体でほとんど影響がないみたいなことを本で読んだことがあって。感覚値的にも「こういう髪型にしなさい」と親が言うのと、「その髪型ダサいよ」って友達に言われるの、友達に言われる方が深刻じゃないですか。

琴坂:深刻な感じしますね。

古川:っていうのがあるので、教育はそんなにだと思います。

堀:僕もまったくその通りだと思って。でも1個あるとすると、呪いのサイトつくったりとか、「明らかにこの子ちょっとほかの子と違うことしてるわ」っていうのを親も気付くと思うんですよね。16歳からそんなことやってると。そのときの親の接し方の方が何かあるのかなと思って。なんかこう、「やめなさい!」って言うのか「面白そうなことやってるわね」みたいな話はあるのかなって気はしたんですけど。けんすうさんのご両親は、けんすうさんのちょっと狂った行動に対してどういう接し方されてたんですか?

古川:みんなマイペースなので、大学時代とか裁判所とかから訴状が来たりとか、あと毎日のようにFAXで捜査関係事項照会書っていうのがきて。

堀:もう僕が親だったら発狂しますよ(笑)

古川:でもなんか「いいな〜裁判。やったことないから面白そう」って言われましたね。

堀:それだよね。そこだと思うんだよね。けんすうさんみたいに育てたいと思うんだったら、自分がそういう親にならなくちゃいけないってことですね(笑)

古川:そうですね。気にしないというか「へ〜」ぐらいの。多分、それも考えて言ってなくて。「へ〜、面白そう」みたいな感じでサッと終わった感じですね。

堀:自分のケツは自分で拭きなさいみたいな感じの教育なんですかね?

古川:なんですかねえ、うーん。

琴坂:鈍感力ですね、間違いなく。

古川:鈍感力(笑)あんまり、うん、気にしてないんだと思いますね。普通に。

堀:気にしてない、心配しないんでしょうね多分ね。

受託は波を待つのに適している

琴坂:心配っていうと、これも起業の方の話ですけども。たとえばここにコメントで「波待ち」でキャッシュが尽きちゃう可能性もありますが、波のうねりをどう見極めますかっていう質問が関係してて。そこらへんの不安の戦いとか、そこをどうマネージするみたいなのはどういうふうに考えればいいんですか?

古川:多分、波が来るまでの規模感だと思うんですけど、5人10人だったら普通に波に乗れるチームだったら何しても5人10人は食えると思っていて。普通に受託をするとかでもいいので。そんなに無茶しなければ潰れないかなと思ってますけどね。

琴坂:この波待ちのタイミング、アイデアを最後固めていくタイミングって、相当リーンな体制が正解っていうことなんでしょうね。

古川:そうですね。受託とか僕は結構肯定派なのが、受託って「3ヶ月の契約です」って言って自社サービスが来ると思ったら「今回終わりですね」で後腐れなく終われるので割とスピーディに波に乗れるっていうのがあるので。その意味だと安定していて、かつ働けばお金がもらえるっていうモデルなので。

琴坂:しかも案外結構、いろいろトライアルできますからね。「この新しいの使ってみよう」とか。

古川:おっしゃる通りですね。「この技術を使いたいからこれで提案しよう」とか。こういうサイトを試したいからリクルートからお金もらってリクルートに納品しようとか。そういうことをできたりするので、結構それはいいんじゃないかなと思ってますね。

琴坂:研究開発的な受託だとやめやすいし、キャッシュにもなるし。心の安定剤にもなるし。全然それはいいんじゃないかということですね。

堀:なんかYouTubeの方のチャット欄がだいぶ著名な方たちが入ってきて盛り上がってて(笑)そのなかで面白い質問があったので。「自分の頭で考え抜くこと」と、「周りの人や先輩のアドバイスを吸収したり、取り入れること」、まあさっきひろゆきさんにアイデア送って壁打ちしたりとかって話もあったと思うんですけれども、これらのバランスってどういうふうにやってますか?

古川:自分の頭で考えるの僕反対派で。これ、教育がいけないんだと思うんですけど。どう考えても、それぞれのことで自分より頭のいい人がいるじゃないですか。高い確率で。

堀:高い確率でいますね。

古川:なので、極限まで自分で考えないで頭のいい人たちに聞いて、一番いい答えを取ってくっていうのが多分正解で。その上で、絶対に自分で考えなきゃいけないもの、どう考えても世界で一番自分が今考えてて、自分が一番答えに近いっていうのが残るはずなので、そこに集中したほうがいいと思ってますね。

堀:僕も思ったけど、どっちかっていうと、最終的に自分は「考える」というか「決める」側ですよね。

古川:ああそうですね。そうだと思いますね。

堀:それで追加の質問なんですけど、自分で決められないときってのは、さらにいろんな人のアドバイスを聞いて、オプションAとオプションBの良い点・悪い点みたいなのをさらに検証っていうかチェックしにいくのか、どういうアプローチするんですか?

古川:まず、決断と判断を分けて考えていて。

堀:決断と判断、違うんですか。

古川:違うんですよ。判断できるものって、要はAを取ると50万稼げて、Bは100万ですだったら、100万のほうがいいよねって判断できるんですけど。判断できるものはデータを集めまくって判断するけど、マッキンゼーの人かなんかが言ってたのは「3日かけてデータ集めたものと、1週間以上かけたものってほとんど変わらないから、大体3日で集めて2日で判断ぐらいが一番精度が高い」って言ってるので、判断するときはそんな感じですと。

決断はもう決めの問題なので、不可逆な問題でないものは、1秒で決めても、1分で決めても、1時間で決めてもそんなに差がないらしいので早く決めて動かすっていう、この2つでやってますね。

琴坂:けんすうさんはスタイル的に、エビデンスとか理論を参照して決められてますよね。さっきのマッキンゼーの話とか。何かしらの理論を背景に判断されてるように思ったんですけど、それって昔からそうなんですか?

古川:「頭が思ったより自分はよくないな」って気づいたのが大学生ぐらいで。ってことはこれ、自分の頭で考えてこうじゃないかって思ってやると失敗するなと思って、一番正しそうなものを寄り集めてやってるっていう感じですかね。

堀:16歳から大学生のときはノリでやっちまえみたいな感じでやって、大やけどするみたいなことも多かったんですか?

古川:大やけどまではいかないですけど、あんまり何も考えてなかったですね。大学入って、たとえばひろゆきさんとか、堀江(貴文)さんとかと話すと、「あ、頭いい人ってめちゃくちゃ頭いいんだな」と思って。そういう勝負には行かないほうがいいなと思いました。

堀:到底かなわない人っていますもんね。

古川:到底かなわない人めちゃくちゃいるじゃないですか。最近だと、リクルート時代の同僚の尾原さんという方が今YouTubeのコメント欄にいらっしゃいますけど、めちゃくちゃ頭いいんですよ。死ぬほど知識もあるし、しかもそれを世界中飛び回って実際に経営者とかと話している生の話なのですごく良いので。だから尾原さんにLINEで「これどうしたらいいですか」って聞いて、そのままやったりしますね。

自分で考えるか、優秀な先輩の意見を受け入れるか

琴坂:何か質問の中で、自分の頭で考え抜くことと周りの人や先輩のアドバイスを吸収したり取り入れることのバランスってどういうふうに考えられてますか?

古川:バランスは、99%優秀な先輩のことを聞いてたほうがいいっていうのがあって。小澤起業家牧場っていうのがあってですね。ヤフーのCOOの小澤さんの投資先が集まってるんですけど、そこの起業家の一致としては「小澤さんの言うこと全部聞いてたほうが早かった」っていう。

当時は違うと思いますって反発したりしたけど、振り返ってみると全部正しかったというふうに言っていて。小澤さん自体は「いや、俺も間違えることあるし、そんなことはない」と言ってるんですけど、やっぱり経験のない若者が考えて、小澤さんが「いや、それは違うよ、こういう落とし穴があるよ」って言うのが正しかったので。なのでクラウドワークスの吉田さんとかは「自分はサラリーマンだと思って、株主は上司だと思って、言われたことは全部ちゃんとやる」っていうのを決めてたって言っていて、それは1つの考え方としてはすごくいいなと思いましたね。

琴坂:一般的なイメージと違いますよね。起業家っていうと「自分で決めて自分の信念で」みたいなイメージがある中で、けんすうさんも吉田さんもそんなこと(優秀な先輩の言うことを聞くこと)言ってましたし。実は起業家の方々ってオープンにガンガン取り入れてるって、私も感じますね。

古川:そうですね。自分の手柄が欲しいわけじゃなくて、会社を成長させなきゃいけないっていうことにほぼ全員が気付いて、自分が考えたとかどうでもいいから一番正しそうなものを取らないと死ぬって思うからそうなるのかもですね。

堀:ほんとそうですよね。いい話だなと思って。delyの堀江さんとかもすごい狂犬的なキャラクターでソーシャルでは皆さん認識してるかもしれないですけど、結構すごく人の話聞きますよね。

古川:めちゃくちゃメッセージとかしてきて。「どうしたらいいですか」とかすごい聞くし、アドバイスもくれますね。年齢とか年次とか関係なしに。

堀:ちなみに、今日起業の話であんまりエンジェル投資の話とか聞いちゃいけないなと思ってたんですけど聞きたくなっちゃったんで。けんすうさんのところに相談しにくる起業家の方で「出資してください」って言ってくる起業家の方たちで、今の話のような「ちゃんと人の話聞く人かどうか」についてはチェックされるんですか?

古川:多少はありますね。たとえば、動画をやっているONE MEDIAの明石さんという人がいて。非常に動画業界では有名で見た目も教祖っぽい感じなので注目浴びるんですけど。すごいガツガツしてて自分の意見はっきり言うんですけど、「こうじゃないですか?」って言ったときに(それが)正しいと一瞬で手のひら返せるんですよ。

堀:朝令暮改。

古川:そう。「あ、ほんとそうですね。僕が間違ってました。そうですね」っていけるので。ああいうキャラクターの人でもその変わり身の早さはすごいなと思うのでその辺はありますね。

琴坂:これってスタートアップの経営者だけじゃないかもしれないですね。私、大きな企業の方にアドバイスもするんですけど、こんな若造が言う話でも、中身があったらちゃんと聞いてくれるんですよね。偉大な経営者って、外見としてはそういう弱みを見せない強いリーダーってなってても、専門家の話を聞くときは本当にちゃんと聞いてて、怖いぐらいの目でジャッジしてくるんですよね。中身がよければスッと受け入れちゃう。その柔軟性を持っている人じゃないと成功しないのかなって私思いましたね。

古川:堀江(貴文)さんとかでもそうですもんね。昔、ライブドアにアルバイトでちょっといたんですけど、時給710円の僕の意見とかが、社長の堀江さんがロジックで正しいと思ったら受け入れるんですよ。ちょっとすごいなと思いましたね。

琴坂:この本も最初のパッションとしては、いろんな人がそうやって知識を共有している世界観が実は起業家の中にはあって、そこで共有できるようなものはオープンにしちゃおう。アクセスできない人たちにも最低限のものをあげちゃおうっていうのがあったんですよね。ね、堀さん。

堀:もうこの本のことはいいんだよ。

古川:え、いいの?(笑)

堀:けんすうさんの話の方が大事だよ。

堀:今回はパーカーとスマホケースもけんすうさんでそろえてきてる。今日のために。

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古川:仕事ができる人って、こういうことやりますよね。こういうとこほんとすごいなと思いました。発売した瞬間に買ってて、次のミーティングで着てたんですよもう。これはやっぱ徹底力ですよね、堀さんの。

堀:媚びる力ね、媚びる力。

古川:媚びる力(笑)絶対嫌な気しないですし。コストも3,000円するのでちょっと高いんですけど、それでも、それをやりきれるのはすごいですよね。

堀:本よりも高かったんでクリックするとき手が震えたんですけどね。

琴坂:それも事業を成功させるとか、目的を達成するための手段として認識されてるっていうのもあるのかもしれないですよね。話を聞く、相手に受け入れてもらうっていうときに必要なことをちゃんと丹念に、全てやり抜く力っていうのもあるのかもしれないですね。 コメント欄でも「(楽天の)三木谷さんも実はめっちゃ話聞いて受け入れてくれます。」って尾原さんがのコメントが。

古川:すごい人はそうなんですね。

赤川さん(ミラティブ)もいますね。赤川さんは今一番ヤバいオーラが出て、すごい経営者になってるっていう話をいろんな方から聞きますね。VCの方とかお会いした偉い人が「彼は10年に1度ぐらいの衝撃だ」って言う話を結構聞くので(笑)すごいんでしょうね。経営者オーラがある。

質問を拾っていきますか。

琴坂:いきましょうか。なぜ芸術家ではなく、起業家という手法を選ばれたのでしょうか?

古川:面白い。よく言われるのが「それ現代アートだよね」って言われるようなサービスをだしたりもするので、なんか現代アーティストなのかもしれないですね、ノリ的には。

琴坂:どういうことですか?

古川:要は、こういうサービスを出したときに、人はどう反応してどう動くか? みたいなのがめちゃくちゃ気になってやりたいからつくっちゃうみたいなのが原動力としては強いので。

堀:先ほどもおっしゃってましたね。

古川:そうですね。そこで言うと、現代アートをやってる人に近いなと思っていて。事業と芸術の違いは、芸術は課題の提案というか問題提起で、事業は問題解決だと思ってるので。提起の方にちょっと興味が強いのかもしれないですね。

琴坂:同じことですよね、方向性が少し違うだけで。

古川:そうですね。問題提起側のほうが面白いという感じですね。問題は解決できちゃうけど、問題の提起の方が難しいというか。こんな問題実はありましたよねとか、そういう方が好きなのかもしれないですね。という意味でアーティストとか芸術家に近いって言われるのは、そういうところかなという話です。

琴坂:今コロナ禍で状況がだいぶ変化してるっていう声もあれば、全然変化してないっていう声もあるんですけど。1年、2年、3年とかの先の世界って変わるのか変わらないのかってどう見立てられてますか?これから事業つくっていく人たちがリスナーの方にいると思うんですよね。

古川:変わったというよりは、10年かかるだろうなと思っていた変化がめちゃくちゃ早く来たっていうのが僕の感覚に近くて、たとえばこれ(YouTube Live)、コロナがなかったら普通に登壇とかしてやりそうだけど、Zoomでもいいよねってなってるとか、取材とかもZoomになったり、そういうところはあと5年ぐらいかかるかなと思ってたんですけど、すごい早く来たのでそういう意味では前倒しになってるなというのと。

これが進んでいくと多分、僕のアイコンがこうやって出ているように、顔とか動きとか性別とかがリアルなものとかけ離れたものが出てくるはずで。堀さんが堀さんっぽいキャラクターで、ちょっとどうぶつの森っぽく動いてるほうが聞きやすいよねとか、バイアス入らないよねとか。もっと言うとボイスチェンジャーで男性か女性かも分からないほうがフェアだよねとかになってくると思うので。そういった10年後以降に来そうだった動きが、意外と3年ぐらいで来るんじゃないかなと思ってます。

琴坂:すでに兆候があったものが加速するっていう話であって、何か新しいものが生まれるっていうわけではない?

古川:そうですね。基本的に、人は絶対バーチャルな世界にどんどん入り込んでいくはずで、それは不可逆だと思っているので、それが早まったっていう感じですね。

琴坂:この変化を受けて、アルの今後って変わります?

古川:エンタメはもろに影響を受ける最初のところなので、影響はあると思いますね。特に漫画家って、性別も、顔もよく分からない人のほうが多数で、バーチャルな世界に出てきてクリエイティブをするっていう存在に最初の方になるんじゃないかなと思っていて。その意味では注目してますね。注目というか、何かやりたいなと思っています。

堀:確かに。この間『鬼滅の刃』の作者の方が女性っていうの、意外でしたもんね。

古川:そうですね。女性で年齢も平成生まれというか30代そこそこで。読んでても分からないですし。

琴坂:その意味では、今けんすうさんは、すぐ波が見える場所にいるということなんでしょうね。

古川:いないとなっていう感じですね。

堀:ちょっと質問が来たので。けんすうさん、こんばんは。けんすうさんの文章化力と言語化力は高すぎると思うのですが、どのくらい時間をかけて1ブログ書いているんでしょうか。見直しているのか、それは最初からそのスピードだったのか、知りたいです。

古川:僕の昔のブログとかあるので読んでもらうと分かるんですけど、昔めちゃくちゃ下手で。なので、ある程度書いたから上達してるというのがひとつと。あと、途中で上手な表現とかを全部切り捨てて、早くただ分かりやすいだけの、冷凍食品みたいな文章にしようっていうのがあったのでそれで読みやすいように感じるんだと思います。

堀:ちなみに不勉強なんですけど、今までブログって何本ぐらい書かれているんですか?

古川:ええ、全然分からないですね。全然わからないです。

堀:1,000本は超えてますよね多分ね。

古川:nanapiとかでも相当書いてたので1,000本とか余裕で超えてますね。時間で言うと、たとえば昨日出した「誹謗中傷かどうかよりも、批判の量のほうが問題じゃないかなという話」は結構読まれたんですが、これはかなり気を遣って書いたので1時間ぐらいはかかっていると思いますね。

堀:その前に1回、Facebookで投稿してたじゃないですか。

古川:あれは10分ぐらいで。そこからここまでやるのに1時間くらいかかった感じですね。

堀:あそこから1時間かかるんだ。

古川:やっぱりこれは気を遣いましたね。

堀:Facebookに投稿してるのは、ブログに投稿するためのテスト的にやってるんですか?

古川:そうそう。ブログは相当気を遣うので、Facebookにテスト投稿して弾みをつけてるみたいなのはあります、友達限定とかで。

琴坂:けんすうさんにとってのブログってなんですか?

古川:トイレです。

琴坂:トイレ(笑)

古川:僕は頭の中の思考方法がブログ形式なんですよ。頭の中でブログで書いて、1記事思考がまとまると、それを外に出しておかないとずっと頭の中で占有しちゃうので。外に出しておいて、あとで自分で検索して見に行けたほうが便利だなと思って出すっていうのが一番意図としては大きいですね。

琴坂:そろそろ締めていきたいと思うのですが、(コメント欄の質問の)バーチャル世界論だけで、また別番組ができそうなぐらいな感じですね。

古川:マイネットの上原さんは、まさにそこの最前線というか。小さくなっているゲームを買収して再生させているみたいなイメージの方もいると思うんですけど、そこに人が住んでいるコミュニティと社会があるっていう観点で上原さんは事業をやっていると思うので、相当先進的というか、未来見てあれやってるんだろうなと思うので、マイネットは5年後とかに「ああいうことだったんだ」って振り返られることを今やってるような気がしますね。全然違ったらかっこ悪いのでどうしよう。違うかもしれないです(笑)「ホリシンさんがけんすうに求める成長要素ってなんですか?」ってコメント欄の尾原さんから。

堀:別に何も求めてないので、ないですね(笑)

古川:求めてくださいよ(笑)

堀:求められないですよね。逆に学ばせていただいてる。

古川:(質問)一次情報を1番持っているのは起業家自身だったりすると思うんですけど、頭のいい人に聞くっていうのはどうやっているのですか?

これは言い方難しいんですけど「一次情報こういうのがあって、なんとなくこのへんにありそうなんですけど」って頭のいい人に言うと、その人の中でテンション上がって「こういうことじゃないか!」みたいに会話が盛り上がったりするので、そういう感じでやってますね。なので「答えを教えてください」「こうですね」っていうのももちろんあるんですけど、それよりかは一緒に材料を目の前に、ああだこうだ話して、それがめっちゃ知的労働として楽しいみたいな、そんな感じの聞き方が多いかもしれないですね。

琴坂:クローズドにイエスかノーかじゃなくて、オープンな質問なんですよねきっと。ここら辺の話教えてくださいみたいな、そういう網の張り方をするっていう。

古川:そうですね。たとえば今日だと、アルペイントを尾原さんに見せたときに「なんとなく既存のネットワークの上でやったほうがいいと思うんですけど、どう思いますか」みたいなことを聞いて。そうすると「実はZoomはそういう戦略を取っていて、フリクションレスでどうこうするとか、バリューチェーンをこうしてる」みたいな話がぶわっと出てきて、解説してもらって、議論が始まって、みたいな感じの聞き方が多いですね。

堀:これ聞きたいな。やりたくないけど、やらねばならないことをやり始めるきっかけとして、どんなことをしますか?

古川:掃除とか、これからこの番組終わったら食器を洗わなきゃいけなくて嫌なんですけど(笑)これよく言うんですけど、「モチベーション」と「やる気」と「テンション」をまず分けて考えてるっていうのが。

堀:違うんですか、その3つ。

古川:違うんですよ。これまさに尾原さんに聞いたんですけど。 テンションはみんなで円陣組んでテンション上がる曲流して、かけ声とかで上がるらしいんですね、強制的に。やる気はそもそも存在しないらしくて。やり始めたら作業興奮でやりたくなるっていう。つまり部屋の掃除ってやり始めるまでは面倒くさいけど、やり始めたらハマって結構頑張れちゃったりするじゃないですか。

堀:止まらなくなったりしますよね。

古川:モチベーションはどちらかというとふつふつと湧き上がって、起業とか事業とかに使うようなもので。皿洗いとかやりたくないものをやれないのって、大体やる気の問題なので答えはすぐやるだと思っています。で、やりたくないと脳が感知する前にやり始めるというのがあって。お皿を1枚でも洗っておくと、「やる前」から「やってる途中」っていうステータスになるので、そうするとやれるようになるっていうライフハックでやっています。こういう話でいいんですか(笑)

琴坂:今日はけんすうさんスタイルを深掘りしていくという企画なので。私も今日お話をずっと聞いていて、けんすうさんのすごいところは、単なる謙虚さのプレーではなくて、ほかの方からの情報とかを受け入れようとするスタンスを崩していなくて、しかもそれをそのまま受け入れるんじゃなくて、かみ砕いてけんすうさんの中で統合されて1つの形になってるなって勝手に感じながらお話を聞いてました。

堀:そうなんですよ。誰かのことをディスってるとか全く見たことないから、生放送だからこそそういうアクシデント見たいと思って期待したんですけど(笑)

琴坂:残念でした、そんなことは起きませんでした(笑)

堀:鉄壁ですよね。

琴坂:この番組は『STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか』の出版を記念した番組ですので、ぜひ皆さん、この本読んでください。中にはいろんなことが書いてあります。これをもとにしてわれわれはスタートアップコミュニティに貢献していきたいなというふうに思っております。本当にけんすうさん、この本のご協力もありがとうございました。

次回は、LayerXの福島さん。

古川:福島さんは半端じゃないですよね。

堀:何か聞きたいことあります?テレフォンショッキングじゃないですけど。

古川:僕、ほんとにスタートアップの経営者で一番すごいの福島さんなんじゃないかと思っているぐらいなんで。多分、僕とテーマが似てるって言ったらアレですけども、大企業とイノベーション起こすっていうコクリエイトというか共創がこれからはテーマになるよねっていうのがあって。じゃあそれって、ディスラプトみたいなのではなくて、ルールハッキングでもなくて、ルールメイキングだよねって思ってやってそうな気がするので、その辺聞いてほしいです。

琴坂:いいですね、いい質問来ました。次回はそこらへんから深掘りしていきたいと思います。

古川:楽しみです。

琴坂:ありがとうございました。

※この記事は配信者の許可を得て公開するものです。

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