セコイアキャピタルが行う世界のトップ起業家への7つの質問
公開日
2021/02/24
著者
矢本さんのTwitterはこちら
おはようございます。ゼロトピック第22回目です。
今日はですね、セコイアっていうアメリカのトップティアVCがあるんですけど、セコイアってウェブサイトが結構充実していて、いろんな起業家とか投資家向けのインタビューをコンテンツとして配信していて、その内容がすごい面白いんですよね。
しかもセコイア自体がトップファームなので、インタビューの相手がTwitter・Square創業者のジャック・ドーシーとか、Zoomのファウンダー兼CEOのエリック・ヤンとか、あとはOktaのCEOのトッド・マッキノンとか、あとはDoorDashのトニー・シューとか。ものすごい起業家としてグローバルの第一線で超活躍している、日本の起業家からするとスケールが二桁違うレベルの起業家が、日々何を考えているのかみたいなことを知れるって意味ですごい良質なコンテンツがたくさんあって最近よく読んでいます。
そのコンテンツのなかに7 Questionsみたいなやつがあって。これ何かって言うと、セコイアが7つの質問のフォーマットを用意していて、それをセコイアのパートナーの人とかがこういったトップ起業家、あるいは他にもセコイアが投資している、シードとかアーリーの投資もやってるんで、最近投資受けたばかりのシード起業家、これから伸びていくとセコイアが見出したような起業家に対してもインタビューをしてて、そこの内容とかがめちゃくちゃ面白いので、今日はそれを紹介しつつ、自分もその質問に答えるならなんて答えるかなみたいなのを考えてみたいなと思います。
Sequoia Capitalの「7つの質問」
で、その7つの質問っていうのが、ちょっとずつ変わるんですけど大体同じで、エリック・ヤンの例で言うと、
Question 1が「あなたが日々学んだことは何か?」
2が「これから会社を始める人へのアドバイス」
3が「どんな小さな変化が、あなたの人生に大きい変化をもたらしましたか?」
4つ目が「知ってればよかった、と思うような知らないことはなんですか?」
5つ目が「いま、あなたの枕元にある本ってなんですか?」
6つ目が「自分が間違ってたって気づいたのはいつですか?」
7つ目が「あなたにとってどの時間の単位が1番重要ですか?」
という質問で、質問自体はすごい抽象的なんだけど、答えるには割と考えないと良い答えは出せないような、すごい良い質問だなと思っています。
そのなかの特に、今回は2つ目の起業する人にとってのアドバイスみたいなものをちょっと簡単に紹介したいなと思ってるんですけど。
たとえばZoom創業者のエリック・ヤンだと、この質問に対して、
とにかく企業文化が自分にとっての最優先事項です。チームよりも製品よりもビジネスモデルよりも投資家よりも何よりも企業文化が1番重要です。チームとか製品っていうのは、全部時間をかけたら直せて、修正してより良くすることはできます。だけど企業文化っていうのは初日、Day 1から確立されてなければいけない。それが明文化されているかどうかはおいておいて。企業文化っていうのは初日から確立されていて、そしてかつ、一度文化的な問題を抱えるとそれを修正するのはすごく難しい。だから企業文化は、自分にとって常に最優先事項です。それを大事にしなさい。
みたいなアドバイスがエリック・ヤンのなかにありますと。
実はこれに関連する発言というか、他の質問だったりとかで、他の起業家もものすごい重要視しているものの共通項としてこの企業文化が挙げられることが多いなと、見てて面白いなと思いました。
たとえばDropboxの共同創業者のアラシュ、彼はエンジニアかな、がいて、彼も会社を始める人へのアドバイスでDropboxにおいてめちゃくちゃ特別だったことの多くは、初めに採用された人の持っていた資質に由来する、その段階で正しい判断をして完全に信頼できる人を見つけなければいけないですと。
で例として挙げてるのがドリュー。創業者で社長のヒューストンですね。最近はFacebookの社外取締役になったドリューヒューストンは、彼が完全に信頼していて、文化的にも完全にフィットしていてビジネスサイドにも対応したスジャイっていう人間、最終的にCFOになったんですけども、そういうシニアレベルで早い段階で採用した人間がものすごいキーになったっていう発言をしています。
またそのエンジニアの副社長として入社してた、まあVP of Engineeringですかね、エディタヤ(Aditya)さん。彼に関しても、誰も彼を管理しようとしたことはないけれども、スケールアップの方法を知っていて、すべてのリードのスペースを与えて、彼らがリードしていってくれたと。
こういった創業の初期に入ってくれた一部のメンバーの持っていた資質がいかんなく発揮され、かつ、彼らが持っていた資質によってその企業ってこういうふうに進めるんだってものが自律的に生成されていった。要は企業文化が初めの数人によって形成されて、のちにそういうものに共感したり、そういう場所でパフォーマンスできるような人が集まってきたっていう、そういうような話を2社ともユニコーンで、上場企業というクラスの企業の創業者であり、CxOクラスの人が言っていて、すごい面白いなというか。
10Xのカルチャーについて
よく日本でも最近だとカルチャーが大事でしょカルチャーが大事でしょって言われると思いますし、Andreesen Horowitzが書いた本、まだ日本語訳はでてないんですけど、それもカルチャーについての本だったと思うんですけど、いかにカルチャーが大事かってのがこういう先人の話からも良くわかるなと思います。
ひるがえって、僕らがやってる10Xという会社も極めて宗教的じゃないですけど、カルチャーの濃い会社に仕上がってるなと思っています。もちろん仕上がってるっていっても数年なので完成しているとかそういう意味ではなくって、成り行きというか、そうありたいと思いながらやってきたら、結果そうなったなっていうふうに思っています。
どういうことかっていうと、僕ら小さいことはやらないっていうのが初めからすごいカルチャーとしてあるんですよ。要はせっかく自分の時間を投資してやるからには大きいもの、社会に意味のあるもの、で我々にとってもやることに大きな価値があると感じられるようなことに集中しようよ、そういう機会って普通に生きてても見つかるわけじゃないから常にそういうものを探し続けようよっていう。そのためには、たとえば逆算性がなきゃだめだよねとか、ひとりひとりって普通の人でいちゃだめだよねって。自立しなきゃいけないし、あとは極めてイケてる人から「あいつもイケてる。だからおれはこっちを頑張る。だから君はそっちを頑張ってくれ。」っていう背中を合わせるような人間の関係が生まれないとダメだよねっていう高いスタンダードを求めるっていうのがうちにとってのカルチャーで。
もちろん入社してそこに苦しんでいる、苦しみながらフィットさせようとしてる人も少なからずいるんですけど、どちらかというとそういう資質をもった人間が、初めの1人目、2人目、3人目、4人目、5人目っていうそのあたりまでで集まったことによって、その共通項が生成されて、その共通認識を僕は言語化したにすぎないっていう。それがカルチャーだと思ってるんですけど。
初めの数名で10Xの文化とか10Xらしさってのが決まってきてるんじゃないかと思います。こうやって言うとすごい厳しい会社のように思われるかもしれないんですけど、逆で、物凄い働きやすいというふうに社内評価を得ています。
それは、任せているんで。自分で野山に出ていって、虎を狩って、毛皮を売るような完成を持っているような人とか、槍を研いで、誰にも作れないような槍を味方に供給できるような人っていうのは、人からの管理がどうこうって言うよりは、大きなミッションに対して自分で考えて進むことを好むんですよね。だからそういうタイプの人にとっては、うちは居心地の良い場所になってるんじゃないかなと思います。
あ、そうだ思い出した(笑)7つの質問に自分で答えてみようってのをやろうと思ってたんでした。
それをちょっと今からやってみようと思っていて。
矢本さんが答える「7つの質問」
Question 1「あなたが日々学んでいることの中で、参考にしていることはなんですか?」
参考にしていることはなんですかって言うと、難しいですね。これめちゃくちゃ難しいな。なんだろう。たとえばAirbnbのCOOのベリンダさんは、望む結果から逆算で仕事をすること、これがAirbnbで学んだことですって答えてたり、OktaのフレデリックさんというCOOの方は整理整頓の力、これは母から受け継いだもので、それが自分の当たり前だと思ってたけど、子供ができた時、それは、そういう機会は母が与えてくれたことで、それが良かったみたいな話をしてますね。
で、僕が日々学んでいることは何かって言うと、企業文化の話のなかにもあるんですけど「自己を律することの重要さ」みたいなものですかね。自分を律せられない人間ってやっぱりかっこよくないなって思うし信頼できないなって思うんですよね。どういう人間関係の間にもやっぱ信頼って必要で。投資家だったり、友人だったり、家族だったり、従業員だったり、仲間だったり、クライアントだったり。そういう人たちとの間で信頼を得つづける必要があるし、そういう人たちを裏切りたくないってのがやっぱり僕のなかには根底にあるんですよね。
じゃあそれをどうやってやるかっていうと、やっぱり隙を作らないというか、人間なんでどうしても間違いをしてしまうことはあるんですけども、自分ができる範囲においては非常に高い領域、スタンダードで自分を律し続けるというのが重要なんじゃないかなと思ってやっているし、それが今は良い方に良い方に転んでくれてるなというふうに思います。
昨日ちょうどね、投資家のミーティングがあって、いつも登場するDCMの原さんという、僕がものすごいリスペクトしてるんですよね。リスペクトしてるし、彼からリスペクトされるような起業家でありたいなっていうのも常に思うので、そうすると変に自分を偽るとかではなくって、やっぱりこう、彼を成功させたいみたいなのもあるんですよね。そのためにも事業も頑張るし、期待を裏切らないような人間でいようっていうなんか自然な強制力みたいなのは絶対かかる。それは僕にとってはすごい良いことだなと思って、人間は弱いし、易きに流れやすいので、そういうことをしないっていうのが自分なんですよっていうのをメッセージングするようにもしてるし、なんか良いんじゃないのかなっていうのは思っています。ちょっと雑ですけど、自分を律することの重要さ、ですね。なんかエピソード1個あるなと思って、なんかうち、僕の親父って教師だったんですけど、僕が小さい時よくパチンコ行ってたんですよ休日に。僕らほったらかして。で、タバコ吸ってパチンコして、みたいなのをやってて、ダメだなこれって思ってたんですけど、なんかあるときやめたやめたって言ってやめたんですよねスパッと。パチンコやめるしタバコやめるし。今まで楽しんでやってたのになんでやめるんだろうと思って。後から彼はそういうことはしてたけど、自律する能力が高いなって客観的に子供ながらに見ていて、そういう部分を遺伝的に引き継いでたり、育ててもらった環境の中から学び取ったのかなってのは思ったりします。
次Question 2で、「起業する人にアドバイスをお願いします」っていうので。僕自身がまだ2年ちょいとかしかやってないのでアドバイスもクソもないんですけど、なんですかね、ひとことでいうなら失敗ってこれは失敗ですって何かを認めてやめた瞬間に失敗になると思っていて、やめなければ、死ななければ、やめなければ基本的には絶対に成功できるっていうふうに僕は思ってるんですよね。そういう人間だと自分を信じてるし、少なくともこの人たちは成功する人間だって思っている人を集めてたり、そういう人たちの環境を作っているので。なので、やめないこととか死なないこと。たとえば今みたいなコロナショックとか金融危機とかたとえば起きたとしても、どうやって死なないようにするかってアンダーラインを自分で必ず色濃く引く必要があって。さらにそこを割らないようにマネージするってのは誰にでもできることなんですよ本来的には。だからまずは死なないっていう。あとは諦めない。自分が諦めないように自分を律する工夫をする。やめたり諦めたくならないような環境を作って、自分をしっかり前を向かせ続けるというのが良いんじゃないかなと思ってます。
昨日ちょっと見た中田ヒデさんと本田圭佑さんのインタビュー、2人が対談している動画があって、まあヒデさんがイタリアで1番気にしていたことは「いかに前を向いてプレーできるか」。ボールをもらうときとかも、いかに後ろ向きにもらわず前を見れるようにその前のポジショニングで必ず後ろ向きにならずに半身で常にいたりとか、周囲を見る時にも半身で見るとかそういう工夫をしてたみたいな話があって。
それが大事かなと思います。後ろ向きにならないような自分なりの工夫を持つみたいなのがすごい大事だと思うので、まずは生き残ろうっていう。生き残ったうえで、どこに張ったらジャンプするかっていうのは正直予想はできるけどだれもわかんないし。Howって無限の方法があって、どれを選んだら勝ちなのかっていうのはベンチャー誰もわかんないものなので、そこは生き残って試行回数を増やすっていうのが僕にとっては良い手段だし、これからの人にも再現性はあるんじゃないかなと思います。
次。「どんな小さな変化があなたの人生に大きな変化をもたらしましたか?」
これ明確で、全然小さくないんですけど、地震に遭って死にかけたことですね。命の有限さをはっきりと理解したこと。あとは有限さと不確実性ですね。明日なくなるかもしれない、いつなくなるかわからないという不確実性と、有限さってのは明確にリミットがあって、終わったらそこから先は何もできないっていう。それをのうのうと生きているうちはわからなかったんですけど、23歳のときに経験して、これ僕死ぬんだって思ったのが自分にとっては良い変化をもたらしてくれましたね。なんでも自分で考えるようにしよう、自分が納得できるように行動しよう、あとは本当に大事なもののために自分の命を使おうという意識が生まれたのはそれをきっかけにしてからなので、まあ地震の経験ですね。
あと「知ってたら良いなって思っていたけど知らなかったことって何ですか」って言われると、あんまりないですね。やりながら学ぶことが実務上すごい多いので、ファイナンスの話とかも結局やっていくとものすごいたくさんのことが気になるのでいっぱい調べるんですよ。そうするとファイナンスって結局、コーポレートガバナンスの話だなってのがすごいよくわかってくる。コーポレートガバナンスって結局は同関係者の利害を同じ方向にアラインするかっていう話なので、そういう本質的なところの理解から、先にある枝葉の、たとえば今だと信託SOとはみたいなのが結構よく議論になったりすると思うんですけど、そういうのはHowとしてのメソッドなので、Whyの部分をしっかり理解するようにするっていうマインドセットっていうか、学びのスタイルをもってさえいれば、もっといろんなことが学べるんですよね。なので知ってたら良いなって思うことはそんなないけど、あえて1つ言うなら、もっと自分が若い時、10代のころとかに、東京とか世界で起きてることをもっとこう、垂れ流しのように自分の頭の中に入ってきてくれてたら、自分がそのあと選んだ道とかはすごい変わっただろうなとは思います。はい、そんぐらいですかね。
で、「今あなたの枕元にある本は何ですか」っていうことで、最近っていうか今読んでいる本は、結構再読をしているんですけど、21 Lessonsっていうサピエンス全史を書いたユヴァル・ノア・ハラリさんの最新作をもう1回読んでます。
「自分が間違っていたことに気づいたのはいつですか?」
間違いに気づくのはほぼ毎日のようにありますね。はい、毎日のようにあります。
たとえばですけど、僕らはじめタベリーってアプリ作って、それも間違いだらけのかたまりだったし、うん。やっぱりそれを教えてくれるのって市場なんですよね。市場とかユーザーみたいな本物のフィードバックをくれる人。実際に僕らがターゲットとしてるというか、僕らのものを使って満足したり、不満だったりの人の声、声とかデータみたいなフィードバックってやっぱり自分を正すために必要だし、自分の妄想といかに現実がかけ離れているかってことを知る上では、すごい有用なものだと思います。で、そういうものと向き合わない人ってのは何やっても上手くいかないんじゃないかなとすら思います。
「自分にとって最も重要な時間の単位って何ですか?その理由は?」
自分にとっての単位でいうと、多くの人は分ですとか1年ですとか書いてるんですけど、僕にとっては1週間ですかね。1週間って何かをするには長すぎず短すぎずっていう単位だなって思ってて。僕らの開発スプリントも、創業から一貫してここ2年間くらい1週間でずっと回してるんですよね。1週間毎週毎週リリースをするっていう。で、その1週間のリリースのために、1週間のリリースをどうやったら高回転でやり続けられるようにするかっていう仕組みを整えるっていう。それはすごい良いことかなと思って。
しかもリリースってことはリリースした前と後で明確に世界が変わるので、そういう単位は自分の中では1週間でやり続けてきてるので、まあ1週間かなと思います。
なんかビルゲイツがね、昔、ラジオを叩き割れと。タクシーに乗って移動してる7分半の間にラジオを聴いちゃうと自分の仕事に対する没頭の時間が減っちゃうからラジオを割れみたいな話って、彼とかにとっては分の単位がすごい重要だったと思うんですけど、僕にとってはこの事業、事業というかこの会社を30年とか40年とかかけて兆円レベルの成功をさせたいなって。まあお金が目的じゃないんで、社会に何か大きい偉大なものを残したいなっていうのが目的でやってるので。それでいうと年単位で考えても良いんですけど、年だと先のことわからなすぎて。月も結構、1ヶ月後自分たちがどうなってるか予想するのは難しすぎるので、週という単位は現実を見れて、来週のこともなんとなく考えられるので、僕にとっては扱いやすい、すごい良い単位だと思います。
はい。ということで。今日はセコイアの7 Questionsに関連してお話をしました。この7 Questions、結構更新頻度も高いですし、今挙げた起業家以外にも投資家サイドの話もすごい載ってるので結構面白いですね。ここに並ぶ起業家の顔ぶれがやっぱりすさまじいです。こういう面々に少なくとも並んで見られるような感じになりたいなと思います。
ちなみにこういうの読む時には最近話題のDeepLっていう話題の翻訳ツールをめちゃくちゃ使いますね。もちろん日本語がおかしいところはあるので、外に出すには絶対手直しとか必要な感じなんですけど、自分で読んで理解するぶんにはGoogle翻訳の5倍くらい良いなと思っています。
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