ペインへ気づくには。そしてペインを見極めるには。
目次
はい。おはようございます。ゼロトピックです。
今日は気づきとか、ペインを見つける方法とか、またその見つけたペインが本当にそうなのかを確認する時に使ってる方法を話せればと思っています。
というのも、Stailerとかをリリースして気づいたんですけど、あのプロダクトは会社を初めて3年で4つ目なんですよね。なのでもうプロダクト4つ作ってると。ゼロイチ4回やってる訳なんですけど、何からスタートするかというと、事業計画とかPLを引くとかそういうことからは始めてなくて、必ず1人のユーザーのでかいペインから全部スタートしてるっていうのがあります。1個ちょっと例外で失敗してるんですけど。それ以外は基本的には、自分のポリシーとして必ずユーザーが持ってるペインを撃ち抜くということが良いプロダクトだし、マスにスケールする上での、逆算した時の大前提になってきてると思ってるのでそういう考えでプロダクトを作ってます。
なので気づきが必要なんですよね。ペインに気づくって。だけどペインに気づくって多くの人は体験したことないんです。経験したことないというか。勉強したことはないし、そういう訓練をしたことがなくてできないんですよね。
ちょうどうちの会社に、ものすごいいろんな会社さんからお問い合わせがきて、たとえば、某有名なハイキャリア就職活動とかをしている人だったら絶対に誰でも知ってる名前のコンサルティングファームから話を聞かせてくれないかって。あんまりうちにメリットないかなって思ったんだけど、ちょっと1回聞いてみたんですよね。
そしたらやっぱり全然わかってないんですよね。ユーザーのペインというか、事業者のペインはどこにあるかとかエンドユーザーのペインがどこにあるかって。わかってないっていうのは、一般情報をリサーチして得た結果をまとめて頭にぶち込んできてるんですよね。ただそれって、誰もが知っている事実をまとめただけなんですよね。そこにはバリューがないと思っていて、その人のタイトルを見ると、めちゃくちゃ偉いんですよ。なので、なかなかそういうレベルの人でも本当に1人のユーザーさんが持っているペインに気づくとか、そこからスタートするみたいなのは出来ない。つまりこれはかなり高等なスキルなんだなっていうふうに最近思いました。
で、ペインに気づくって何からスタートするかというと観察。人の行動を観察するしかないんですよね。行動っていうのは完全なるファクトですね。
たとえば、データってファクトかと言われると結構怪しいっていうのを十何回ぐらい前に一回話したことがあるんですけど。やっぱりそこには集計するときの意思みたいなものも入るし、どういう軸で切るかとかも入るし、見せ方とかもバイアスの塊で、本当のファクトとして受け取るにはそれ自体の訓練が必要。
だけど、自分がこの目で観察したものって自分の目から入ってきた情報として間違いなく生々しいファクトじゃないですか。それをどう受けとるかには個人のバイアスがかかるんですけど。その意味ではものすごい一番フレッシュなファクトって観察することしか得られないと思っていて。
観察をするっていうことを多くの人はやっぱり数こなしたことがないっていうのが個人的な持論です。それ自体はいいんです。やればいいんで。
やったあとなんですけど、やっぱりね、僕も自分が気づいたペイン以外のペイン、たとえば「こういうのに気づいたんです」って言われた時に本当にどうか何もわかんないし、何も判断出来ないんですよね。判断できないんで、余計なこと言っちゃダメだなって最近思ってます。
結構以前から起業家の方からご相談を受けたりすることも多いんですけど、やっぱりその起業家が見つけたものが、簡単に言うと、良いトピックなのかどうかって第三者視点で判断するのは不可能だっていう前提に立って、それも伝えた上で「こう思う」とか「こうなんじゃないか」みたいな、できるだけ客観的にお伝えするようにしてたりします。
そもそも客観的に判断できない僕に相談するのはどうなんだみたいなのはあると思うんだけど。凡人なんで大した話ができないわけですよ。
ペインの4象限
だけど自分でも分かるものっていくつかあると思っていて。そのペインを見つけた時に「これって本当にペインだな」って思うものとか、「いやこれ事業にならないな」って思う時に結構直感で考えた後にどういう切り分けしてるんかなってのを最近1回自分の中で整理したら、すごいシンプルで簡単なグラフで表せることに気づいたんですよね。
それが横軸がペインの強度で、縦軸がペインの頻度。人生において発生する頻度で4象限切った時に要は強度が強くて、頻度が低いもの高いもの。強度が弱くて、頻度が低いもの高いものって出てくると思うんですよ。

このどこにマッピングされるかで本当に事業になるかなとか、いい気づきなのかなっていうのはなんとなく自分は振り分けてるんだなと最近考えてて気づきました。
1番分かりやすいので、ペインの強度がめちゃめちゃ強くて、頻度がめちゃめちゃ高いものって人類の敵じゃないですか。こういうものは、人が解決できるものは火急的速やかに解決されていくっていうのがこの世の中だと思ってるんですよね。
なのでここに残っているものって現時点で人類にはどうしようもできないものが多くて、やり方というか対処の仕方っていうのが、それがある前提の社会に適応していくか、それすらも解決する技術を待つかのどっちかになると思うんですよね。
たとえば、槍が毎日空から降ってくるとかってそれが頻度高くて強度高いし、当たったら死んじゃうんで危険じゃないですか。で、こういうものに対しては人類はものすごい英知をかけて対策すると思うんですよ。これ例が悪いけど。
今すごくシンプルにいい例があって、新型コロナウイルスとかは強度もものすごい、死んじゃうかもしれないっていう強烈な不安を世界に与えるって意味で強度が強いし、頻度って意味でも毎日これに対してケアをしないといけない状況がずっと続いてるって意味でものすごい頻度が高いので新型コロナウイルスって現時点においてはまさに右上にマッピングされる。
だけど、人類今どうしようもできてないですよね。なんで、適応する社会に変わっていってるっていうのが現時点だと思います。で、技術待ちの部分はワクチン。特効薬。これが今開発できる可能性がすごい低いと思われているですけど、まさに右上にあるもの。
で、右上にあるものはやはりスタートアップとかだとどうしようもできないものが多いのかなとは結構思います。そこなかでもまれに、こぼれ落ちているものとかを解決できるとか。そこを王道としてやり切る会社はあって、そういう会社が本当にこれまでだと大きくなってきた会社なんじゃないかと思いますね。
なので、①は誰も気づいていない頻度が高くて、強度が強いものを探すっては絶対に大事だけど、探して見つかるものじゃないんで。なぜならほとんど解決されてるんで。だからこれには気づきがここにハマるまで頑張る、粘る、実験を繰り返すってのが一番重要だと思ってます。
多分優先順位的に、次にどの象限を狙うかというと、強度が強くて頻度がそこまで高くないっていうものがやっぱりプロダクトに落とし込みやすいかと思ってます。
すいません1個補足がありました。
SNS、コミュニケーションの承認欲求って強度が高くて頻度が高いんで、SNSってこの右上の頂点にいるんじゃないかと思ってます。毎日開くとか、あのスティッキネスはやっぱりものすごくペインを解決するために作られている。あれ自体がペインをさらに生んで、それを解決するためにまたSNSを使うっていうループに入ってるんで、無限にエネルギーを生産する機械みたいな感じだと思ってるんですよね。なのでSNSは強いっていうのはそこなのかなって思ってます。
マーケットプレイスは頻度の低さを強度の高さでカバーしている
次はそこの下に当たってく、強度が強くて頻度がそこまでではないっていうものをどんだけやれるかって。僕がここに当てはまるものを考えた時に、マーケットプレイスがめちゃくちゃ多いんですよ。なんとなくあそこは。
たとえば、くらしのマーケットってあるじゃないですか。くらしのマーケットって多分何年もかけてものすごい事業規模に今なってて、初めの頃は鳴かず飛ばずだったっていうのはいろんなところで話されていて。
本当にすごい起業家だなって思うんですけど、くらしのマーケットって、サービスを説明するといろんな、たとえば、エアコン掃除とか、水回り掃除とかそういうハウスクリーニング系の業者さんってバーティカルにたくさんいらっしゃるんですけど、そういう人たちを事業者側では獲得して、そういう人たちに注文、発注ができる。で、コミュニケーションもできて、終わったら評価もできるっていう。いわゆるマーケットプレイス。ツーサイドマーケットプレイスなんですけど。
エアコンの掃除って年に1回とか2回とかしか起きない、なんで頻度はめちゃくちゃ低いんですよ。だけど、たとえば夏暑くなってきた時に、エアコンつけてあのカビ臭い匂いがした瞬間に「あ、掃除しなきゃ」ってなるじゃないですか。その瞬間にみんなクエリ叩いて検索したりだとか、家のポストに入ってるチラシから業者に注文するんだけど、これ高いなとか、ここ大丈夫なのかなとか。あとは、情報がなんかすごい怪しいサイトだなみたいなものが当時だったと思うんですよ。
年に1回か2回だけはものすごい強いペインが生まれるっていう。で、それがたとえば水回りであったりとか、僕がくらしのマーケット1回使ったのはトイレ詰まっちゃったんですよね。トイレに、流しちゃいけない紙が、お尻拭きみたいなのと流れてうんこと一緒に詰まって、もうなんかすごくカオスな状況になるっていうのがあったんですけど。この時にくらしのマーケットさん使わせていただいて、みたいな。
このタイミングだけしかないんだけど、ものすごいペインが発生するっていう。で、このタイミングをある一点に固まってるんじゃなくて、たとえばエアコンの時、夏の6月あたりとかだし、うんこは分かんないけど不定期で発生するし、水周りだと、これも分かんないけど、不定期でぶっ壊れて、蛇口がぶっ壊れて11月発生するみたいな。この不確実性があるんだけど、そのタイミングでは絶対こういうクエリで検索されるとか、想起されるものは同じっていうタイミングがあって。それを一つ一つ丁寧に束ねて、巨大なマーケットプレイスになったっていう例だと思うんですよね。
だから頻度が低くても強度さえ強ければユーザーって絶対探すし、絶対欲しがるので、それが束ねてあると要は1月から12月まで点があるとすると全部にピークが分かれている状態になって、需要が安定するという形。マーケットプレイスとして、すごい機能するって、なんかそういう仕組みになってんじゃないかなと思いました。
で、よくよく考えるとメルカリとかもこうなんじゃないかと思うんですよね。
例えば、自分が持っている服の在庫とかを売りたいって、なんかやる時はまとめてやる気がしてて、そんなに毎日毎日服売りてえなとはならないですよね。むしろ邪魔だから、早く売りたいなみたいな。だからそのタイミングでばっと使うみたいな。
ユーザーさんがもちろん服だったら夏とか冬が多分メインだと思うんですけど、Tシャツ買うか、アウター買うかみたいな、なんですけど、ジャンルが広がっていくことでそれ以外でもピークがしっかり立つようになる。
たとえば、引っ越しのタイミングでチェア売りたい、ソファ売りたい、買いたいみたいなのがちょこちょこ発生することによってピークを年中立たせる。これによって成立しているマーケットプレイスなのでそれも強度がものすごい強いですよね。普通のセカンドストリートとかに持っていくと、二足三文で買い叩かれちゃうんで。だけどメルカリに持っていくことでお金に換金するっていう強烈なペインを頻度は多くないかもしれない、一人一人のユーザーで見ると。もちろんファンのように使っている人もいると思うんですけど、多くはそうじゃないと思うので。
という形でこのへんはマーケットプレイスが多いかなと思っていて、マーケットプレイスという性質を使って頻度の低さをカバーするっていうのが多いのかなって思っていますね。
で、ここのペインの問題は結構見つけるのはやっぱ同じように難しいんですけど、それぞれタイミングを撃ち抜けるかがすごい重要になってくるんじゃないかと思ってて。
水道が詰まった時に「水道詰まった」って検索してちゃんとくらしのマーケットが上にある状態なのか、もしくはそこで乱立しているサイトに負けない信頼を持っているとかあるいは、くらしのマーケットって検索してもらえる状態にあるとかそういう純粋想起を得られるところになる、かつそれを類似したユースケースの束にできるかっていうのがめちゃくちゃ重要なのかなと思ってて、時間かお金がかかるんだと思っています。これについては。
数量って一日でなんとかなるみたいなものでもないですし、多くのユースケースを拾っていこうと思うとそれだけお客様のサポートも必要だしっていう形で、多くの束を束ねるにはそれなりのビジネスオペレーションを構築していく必要があって。お金で買っていくってよりはそのオペレーションを築ける組織を作るってことに時間をかけて丁寧に丹念に練りこんでいって、その練兵された組織がそのまま元になるっていう。
だからメルカリって簡単に会社が壊れることはないと思うんですよね。事業が壊れたりとか。くらしのマーケットさんも同じですし。それがすごいかっこいいなと思っているんですけど。なのでここは結構エグゼキューションがすごい難しかったり、胆力とかが必要じゃないかなっていうふうに思っています。
で、ほとんどのペインとか気づきって、この2つではない場所に実はマッピングされている可能性はあるのかなっていうふうに思っています。たとえば、タべリーっていうプロダクトをやっててすごく思ったんですけど、食の意思決定って僕は育休中に週7ご飯考えて作るってめちゃくちゃ大変だなって、超ペインだなって思ったんですけど、それ喉元過ぎたらそうでもなくなったんですよね。
もちろんそれを解決するためにタベリーってあるんですけど。タべリーの利用価値みたいなのってそういうモーメントでググッと上がって、そういうのが終わると下がるんですよね。それは他のユーザーさんの行動見てても同じだったんですよ。育休迎えた方とかはものすごいありがたがってくれるんだけど、それが終わるとやっぱり喉元を過ぎたように利用熱が冷めていくみたいな。
レシピサイトとかも同じだと思うんですよね。日々の料理の意思決定って薄いもので、ものすごい、「今日もうほんと辛いわ」みたいなそういうマインドでの意思決定ではないと思っていて、なので頻度はものすごく高いんですけど、実は強度に欠ける部分があって、これは事業としてのアップサイドというか、本当にインフラになるみたいなものを目指すのってめっちゃむずいんじゃないかってすごい思っています。
昨日、ちょっと象徴的なのだと、ロコガイドさんっていう穐田さんがやられている会社が上場して500億円ぐらい時価総額つけてて、穐田さんがクックパッド率いていた時はクックパッド3,000億円ぐらいあったと思うんですけど、ロコガイドの時価総額がクックパッド抜いてるんですよね昨日の時点で。みたいな。
クックパッドはあのクックパッドっていう事業とか、今クックパッドマートさんみたいな事業をやられてますけど、そのマートについて言及すると、基本的には単品買いというか、良質なものをいくつか買うっていうユースケースなんですよね。
で、それってものすごいペインがあるかというと、僕はやっぱりそうでもないかなって思っていて。代替手段がないことはないっていうか。ローカルによってはすごい貴重な手段になりうるんですけど、多くの場合、1点良いものを買うっていうことに対する熱量ってやっぱそんなに高くないかなと思っていて。富裕層以外は。
僕は今スーパー、スーパー、ネットスーパーっていうキーワードをとにかく使っているのって、やっぱそのワンストップショッピングっていう5,000円とか6000円とか大量なものを同時に買う。買わなきゃいけない。買いたい。っていう熱量とかペインの深さはものすごい強度が高くて、しかもこの頻度がものすごく高いんですよね。スーパーのGMVとかちょっとびっくりするぐらい高いんですけど、え、こんな名もないようなスーパーさんが何千億も年商あんのみたいな。やっぱそういう会社はたくさんあるんですよ。
それはやっぱりペインの強さ、頻度に表れているかなと思っていて。
ちょっとその辺は置いときつつ、クックパッドさんがどうこういう訳ではないんですけど、頻度が弱い。頻度が低い。強度がそこまで高くないものを事業にするっていうのはやっぱり10Xなものを世の中に作っていくみたいな意味だと結構難しい部分も多いのかなというふうに、時価総額を見ただけですが、ちょっとだけ思いました。
ただなんかね、もちろん会社さん会社さんごとに何か仕込んでることはたくさんあると思うし、もちろんそういうこと賢い人たちは考えてやっていると思うので期待をしているというか、人のことなんで頑張って欲しいなって思ってます。
強度も低くて頻度も低いものは事業にならない
強度もなくて、頻度が低いものをやるのは、そもそも事業にならないよねとかプロダクトにならないよねっていう部分だと思うので省きます。
けどなんだかんだやっぱり多くのものって実は頻度も強度も、まあ頻度は高いけど強度は弱いみたいなところにマッピングされやすいのかなって。ただ頻度高いので接する機会多くて想像はしやすい。想像はしやすけど、浅いインサイトで始めちゃうと強度は低くなるっていう構造になっているので。なので、ここにならないようにするにはどうしたらいいのか結構考える必要があるかなと思っていますね。
僕個人の答えとして、実験するしかないなと思ってるんですけどね。
今見つけたペインがどこにマッピングされるかっていうのは実験してみて、実際にプロダクトをプッシュしてみて初めて分かる部分も多いので。タベリーのケースとかもそう。だから手数がすごい重要だと思ってるし、そういうことを共通認識として持ってるチームを作っていくってところに、不確実性をコントロールする組織作りがあるのかなと思っていたりします。
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